【橙魂結集】田中亜土夢選手インタビュー

2016/11/1
いつもアルビレックス新潟に温かいご声援をいただきまして、誠にありがとうございます。アルビレックス新潟は11月3日に2016明治安田生命J1リーグ2ndステージ第17節・サンフレッチェ広島戦に臨みます。J1生き残りをかけた重要な一戦に、サポーター有志の皆様の発案により、スタジアムに到着するチームを鼓舞し、エールを送るバスの出迎えを行っていただくこととなりました。

選手バスの出迎えは以前も企画・実施をしていただいておりましたが、アルビレックス新潟が今シーズンと同様にJ1残留をかけたホーム最終戦に臨んだ2012シーズンにも、同様にバス出迎えを企画していただきました。その2012シーズン、2013シーズンに、選手バスから出迎えの風景を撮影していたのが、現在はフィンランドリーグ・HJKで活躍する田中亜土夢選手。現在もアルビレックス新潟の戦いを常に追っているという田中亜土夢選手から、大事なホーム最終戦・サンフレッチェ広島戦に臨むアルビレックス新潟に向けてメッセージを寄せてくれましたので、ご紹介させていただきます。

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――フィンランドでのシーズンはリーグ戦が終了したと聞いています。亜土夢選手が所属するHJKヘルシンキは準優勝となったそうですが、今シーズンを振り返っていただいてもよろしいでしょうか?

亜土夢 僕自身は半分しか出られなかったんですが、そこまではチームも徐々にいい形、いい戦いができていた中でケガをしてしまったので、本当にチームに迷惑をかけたなと。自分がケガをしてしまったことでメンバーも変わらなければならないし、色々大変な部分があったと思います。いまは悔しい気持ちがすごく大きいですね。


――とはいえ、亜土夢選手は2年連続でフィンランドリーグのベストイレブンにも選出されました。

亜土夢 2年いて、2年とも選ばれたことは素直に嬉しいですね。繰り返しですが今年は半分しか出ていないのが悔しいし、もし出ていればまた違う結果になっていたんじゃないかと思っています。ヨーロッパリーグもそうだし、優勝争いも。そういうところでまた違った展開になっていたはずという自信があったんですけれど。


――ケガのリハビリでは日本に一時帰国もされていましたね。フィンランドで戦っている時も、日本でのリハビリの時期もアルビレックス新潟の戦いはフォローされていたようですが。

亜土夢 もちろん! もちろんしています。毎試合をチェックしていましたし、日本に帰国した時は試合観戦も行っていました。常にアルビを気にしながら僕は生活しています。


――新潟で戦った選手たちは、いまチームを離れても、アルビレックス新潟を気にかけてくれていることを本当に感謝しています。9月25日の鹿島アントラーズ戦はビッグスワンで観戦されたそうですが、スタジアムの雰囲気、サポーターの皆さんの応援を改めて感じられて、どんな感想を持ちましたか?

亜土夢 僕がいまプレーしているHJKは、普段それほど人も多くはないですし、盛り上がるのはダービー戦なんですよね。それ以外は、サッカー専用スタジアムではあるんですけれど、雰囲気はわりと静かな方なんです。でも、鹿島戦は26,000人くらいが入りましたよね。『この雰囲気はやっぱりいいなぁ』と思いました。たくさんのサポーターがいる中でプレーができるのは本当に幸せなことだと、スタンドから観戦して改めて思いました。


――鹿島戦、新潟は「橙魂結集」と呼びかけて勝利を目指しましたが、0-2と悔しい敗戦を喫しました。その試合後にサポーターの方々が、選手たちにブーイングではなく声援を送っていたのも印象に残っています。

亜土夢 それは僕も本当に感じました。厳しい状況だけど、サポーターは『サポートするしかない』とみんなを信じて声を出している。その姿に感動したし、改めて新潟のサポーターは優しいというか、温かい。ブーイングよりも、そういう応援や姿勢の方が、選手たちには響くと思うので。『いいなぁ』と思いました。

――その後、新潟はアウェイ・ジュビロ磐田での戦いに臨みました。この試合もご覧になったそうですが、亜土夢選手も知る片渕監督が指揮を執った戦いを見ての印象は?

亜土夢 やっぱり新潟らしさがすごく出た試合だったと思います。すごく懐かしい、気持ち良さを僕は感じていました。


――新潟在籍時代を振り返ると、亜土夢選手が新潟のサポーターの温かさを感じた、一番心に残っているのはどんな光景だったのでしょうか?

亜土夢 色々ありますが、僕は選手バスの“入り待ち(出迎え)”。2012年もそうですし、2013年も。僕はバスの中から映像を撮らせてもらいましたから。それに、クラブハウスの練習でも、たくさん見学に来てくれていましたし、練習試合でも新潟のサポーターは多く来てくださるじゃないですか。『変な姿は見せられない』という意識はすごくあったと思います。


――試合はもちろん、練習、練習試合にサポーターが駆けつけてくれ、声をかけてくれる。そのひとつひとつが、選手たちにはどのような影響を及ぼすのでしょうか。

亜土夢 『自分たちは応援してもらえているんだ』ということはすごく感じていました。そういう人たちのためにも頑張らなければいけない気持ちになるし、一緒に闘っているという気持ちはわき起こってくるものだと思っています。

(前橋育英高校から新加入も、ケガもあり出場機会が得られなかった)そういう時期もありました。新潟出身でしたし、僕への期待はすごく感じていたので、『期待をかけてくれている人達のためにも、試合に出て、いつかはチームを引っ張って行けるようにならないといけない』とはずっと思っていました。だから、いつでも応援をし続けてくれていることは、力になって僕を引っ張ってくれたと思います。


――先ほどお話のあった2012年もチームは残留争いの渦中にありました。ホームでの最終戦に残留がかかる札幌戦に臨みましたが、その時選手たちはどのような心境だったのでしょう。

亜土夢 『やるしかない』と思っていました。札幌戦に向けてはみんなが同じ気持ちでやれたと思います。その結果が残留というものにつながりましたし、サポーターも同じ想いでやってくれていた。それが“入り待ち”という行動にもつながったと思います。


――チームバスでビッグスワンに向かっている時、どのあたりからサポーターの姿を見つけることができたのでしょうか?

亜土夢 (ビッグスワンの正面入場口は交差点を曲がって100mほど直進したところにあるが)交差点のところにはもうサポーターの方々たくさんいたんですよね。交差点を曲がる手前から、もう「アイシテルニイガタ」のチャントは聞こえてきていたんですよ。だから、『あぁ、サポーターの人たちが待ってくれている』と思って。『これは撮って残しておきたいな』と、自分の携帯電話を持って、撮影のために構えました。

気持ちが本当に高まって、『絶対に勝たなければいけないんだ』という気持ちにさせてくれたのを、いまでもハッキリと覚えています。


――その映像には、老若男女、ほんとうにたくさんの方々がチームバスに向かって手を振っている姿が映っていました。

亜土夢 そうですね。そこが新潟らしさで、家族一代、二代、三代とみんなで来てくれている。それは映像を見て改めて感じたことでもありました。


――バスの出迎え、そして試合でもサポーターの皆さんから熱い声援を受けて、新潟は札幌に勝利して残留を決めました。ただ、勝った瞬間に残留は決まらなかったですね。

亜土夢 決まらなかったですよね。「いったんロッカーに戻ろう」という話になって、僕は先頭でロッカーに戻って行ったんですけれど、そうしたら後ろから声援が聞こえたんですよ(笑)。ピッチの方に戻ったら、みんなが輪になって喜んでいたので、その中に僕はいないという…(笑)。

それは成績から見れば満足はできないですし、「いい思い出」とは言えないんですが、本当に一丸となっていた。サポーターもスタジアムも、全体がそういう雰囲気になれた。本当にすごい力だったと思います。その力が新潟にはあるんだと思いました。


――アルビレックス新潟は11月3日に再び大事な試合を迎えます。改めて、亜土夢選手からメッセージを伝えていただけないでしょうか。まず、チーム、選手たちに。

亜土夢 僕が偉そうに言えることではないんですが、自分を信じてほしいと思います。ひとりひとりが『やれる』という自信を持って、それがチームになれば新潟は強い。サポーターがサポートをしてくれるし、雰囲気を作ってくれるはずなので、選手は勝利に向かって思い切りやるだけだと思います。

最後の最後なので、やれることは全部やるだけ。新潟らしさをしっかり出してやってほしいです。出場停止の選手がいる分は、みんながカバーするしかない。みんながサポートをしあう気持ちを持てば、必ず勝てると思います。それを新潟の選手たちは持っていると思います。


――サポーターの皆さんに伝えたいメッセージがあればお願いします。

亜土夢 選手を信じてサポートをお願いします。サポーターの皆さんには最後の最後まであきらめずに応援をしてほしいし、サポートをしてほしい。できるだけたくさんのサポーターがビッグスワンに足をはこんで応援してくれれば、そういう雰囲気を作れると思います。ぜひ、周りの友達をみんな連れて。知り合い、家族みんなを連れてスタジアムに足をはこんで、雰囲気を作ってもらえればと思います。


※動画は田中亜土夢選手が撮影した2013シーズン・ホーム最終戦での選手バス出迎え風景です。


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