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2017.09.28スペシャル
【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第348回
  「逆転負け」

 J1第26節、新潟×鹿島。
 父の一周忌法要で恵比寿・松泉寺→ガーデンプレイス会食。さすがに新潟行は断念した。その代わりに(翌週、『フットサルナビ』誌の締切が迫ってた関係もあり)、Fリーグ第20節、浦安×すみだ(浦安市総合体育館)を取材に行く。黒ネクタイだけ外せばいいかなと思ったけど、やっぱり略礼服は目立ちすぎるので着替えは持って行った。ちなみにキックオフは同じ18時だった。

 鹿島戦は翌日、FM-PORTタイムフリー&DAZN見逃し配信でダブルチェック。前半2-0でリードして、後半4点取られて2-4の敗戦。レアンドロにハットトリックを食らった。もう1点は金崎夢生のPKゴール。ちょっと言葉を失うような負けだ。ショックが後を引きそうな痛恨の逆転負け。

 2-0リードのハーフタイムはのんきに浮かれていた。浦安市総合体育館のハーフタイム(ビッグスワンより早くハーフタイム入り)も、スポナビ速報やLINEメッセージをチェックしていた。スコアを見て、これは勝っちゃうなとニヤニヤしていたのだ。首位の鹿島から勝ち点3ゲットか。これは自信になる。鹿島は攻めに人数をかけるからアルビのカウンターがハマるのだ。最終的な残留ラインがどこになるかわからないが、実際問題、残り試合全勝しないと苦しいくらいのとこまで来ている。この鹿島戦をきっかけに連勝街道が始まるのかもしれないぞと夢想した。

 で、ふと、関東サポのAさんご夫妻から聞いた話を思い出したのだ。Aさんご夫妻はホームもアウェーもほぼ皆勤賞なのである。何しろ関東サポだからホームゲームも新幹線だ。たまに酔っ払って長岡で途中下車&1泊したりしている。毎週、旅行している状態だ。もうサッカーが趣味だか旅行が趣味だかわからない。「ちょっと疲れたな、今週末はどうしようかなと思うこともあるんですよ」と言うのだ。それでも結局、出かけていく。「もし、見に行ってない試合でアルビが勝っちゃったら、と思うんです」。そんなに悔しいことはないそうだ。現地の皆が大喜びしていて自分たちだけテレビで見ている。そうなったらどうしようと思うと全部見に行くしかないという。

 僕はAさんご夫妻と比べたら全然見に行けてないし、恵比寿の法事から新潟移動は物理的に無理なんだけど、一瞬「自分が見に行ってない試合でアルビが勝っちゃたら‥」が頭をよぎった。が、よく考えたら悔しくはないなぁ。僕は何でもいいからアルビに勝ってほしい。ホームの皆に大喜びしてほしい。

 が、願いむなしく後半4分、いきなりレアンドロのゴールを許してしまう。スコア2-1は危険だ。鹿島の選手らに行けるぞというムードが漂いだす。アルビは勝ちつけてないから(まだリードしているのに)動揺する。

 そこからはたぶん実力通りに試合が決したのだろう。アルビは走力で実力差をカバーしていた。それが90分はもたない。次第に陣形が間延びして、真ん中にスペースができる。鹿島はそこを使う。最後はやられっぱなしで反撃の糸口も見出せなかった。

 しかし、何とかならなかったのかなぁという思いはぬぐえない。柏戦の数的優位に続いて、鹿島戦の2点リードは「絶対勝てるとは言えないまでも、最高に有利なシチュエーション」だった。うまく戦えば勝てたんじゃないかなぁ。アンチフットボールかもしれないが、ゴリゴリに守備を固める穴熊戦法だってある。相手にサッカーをさせない方法だ。2-0の後のゲームプランと戦術に工夫の余地はなかったのか。

 それから2-4にされてからだ。2-4にされたのはしょうがない。実力だ。だけど、もうアルビは後がないんじゃないか。「崖の上のポニョ」だか「崖の下」だか、とにかくヤバイんじゃなかったのか。何でフツーにサッカーしてるんだろう。玉砕覚悟でパワープレー仕掛けていいでしょ。どうせ負けるんだからキーパーも上げていい。当然じゃないかなぁ。僕には成す術(すべ)なく負けたように見えてしょうがなかった。

 アルビレックス新潟は本当に苦しくなったと思う。夏の補強が効いてそこそこ戦闘能力のある(鹿島から複数得点奪える)チームができたんだけど、いかんせん状況が最悪だ。そこそこ程度じゃ負けの渦に呑み込まれてしまう。流れが変えられない。

 Fリーグ取材の夜は、スポナビで結果を確認し、ため息をついて体育館を引き上げたのだった。外は雨だ。台風が接近している。駅まで傘をささずに歩いた。「見に行ってない試合でアルビが勝っちゃたら‥」の逆の心境に駆られた。何で自分は行ってないんだろう。負けてみじめなとき、苦しいとき、なるべくだったら僕もその場にいたいと思う。喜びも痛みも分かち合うのがセイゴローの流儀じゃないか。


附記1、アルビの得点はどちらも素晴らしい形でしたね。後半のガッカリ感のせいで帳消しにされそうだけど、これは忘れちゃいけません。

2、流血試合でしたね。気がつくとCBが2人とも流血していた。あとユニホームがビリビリになったりしていた。レオに弁償してもらいますか?

3、一応記しておきますが、Fリーグは3-1で浦安が勝利しました。ブラジル人選手のディドゥダがとんでもないFK決めた。

4、今週末の札幌も僕は参戦できません。まだ札幌ドームでサッカーを見たことがなく(厚別は2回くらいあります)、今回は絶好の機会だったんですけどね。地下鉄は「ドニチカ」っていう一日乗車券を買ったほうがおトクですよ。ひとりで動く方には三岸好太郎美術館(おばけのマールかわいい!)にちょっと立ち寄るのをおすすめします。あと宮越屋珈琲のチーズトースト日本一旨いです!
 

えのきどいちろう
1959/8/13生 秋田県出身。中央大学経済学部卒。コラムニスト。
大学時代に仲間と創刊した『中大パンチ』をきっかけに商業誌デビュー。以来、語りかけられるように書き出されるその文体で莫大な数の原稿を執筆し続ける。2002年日韓ワールドカップの開催前から開催期までスカイパーフェクTV!で連日放送された「ワールドカップジャーナル」のキャスターを務め、台本なしの生放送でサッカーを語り続け、その姿を日本中のサッカーファンが見守った。
アルビレックス新潟サポータースソングCD(2004年版)に掲載されたコラム「沼垂白山」や、msnでの当時の反町監督インタビューコラムなど、まさにサポーターと一緒の立ち位置で、見て、感じて、書いた文章はサポーターに多くの共感を得た。
著書に「サッカー茶柱観測所」(週刊サッカーマガジン連載)。 新潟日報で隔週火曜日に連載されている「新潟レッツゴー!」も好評を博している。
HC日光アイスバックスチームディレクターでもある。

アルビレックス新潟からのお知らせコラム「えのきどいちろうのアルビレックス散歩道」は、アルビレックス新潟公式サイト『モバイルアルビレックス』で、先行展開をさせていただいております。更新は公式携帯サイトで毎週木曜日に掲載した内容を、翌週木曜日に公式PCサイトで掲載するスケジュールとなります。えのきどさんがサポーターと同じ目線で見て、感じた等身大のコラムは、試合の感動がさめる前に、ぜひ公式携帯サイトでご覧ください!

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