【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 予告編

2018/3/1
 「今週は予告編」

 読者よ、2018年シーズンの開幕です。この予告編を書いているのはちょうど開幕節・讃岐戦の1週間前、チームが完全非公開の練習試合を実施し、ボランティアとクラブスタッフ合計550人がデンカビックスワンの除雪をした日です。除雪ボランティアには平ちゃんこと平畠啓史さん、そして早川史哉選手(!)のサプライズ参加があって、大変盛り上がったようですね。僕自身は先週から雑誌企画の「避難経路」取材にかかりきりで、映画『シンゴジラ』のロケでも使われた東京アクアラインの海底トンネルに潜入したりしてましたよ。

 つまり、まだまだ実感がともなってない。これはなかばアルビの宿命ですかねぇ。特に今年のように大寒波&大雪の年は、「開幕1週間前」と「連日、天気予報が雪マーク」が同時並行で報じられることになる。今年は福井の大雪が話題になりましたけど、中越も大変でしたね。生活実感は皆、「もう、雪いりません」だけど、チームのほうは着々と高知&静岡で準備を整えてるんだ。分離してますよね。何か遠くにチームがいる感覚です。

 これは情報だけが頼りですね。新潟日報やモバアルのレポートで春の訪れを知る。選手の動きやなんかは『マンデースポーツ』(NST)『とことんアルビ!!』(TeNY)等でチェックですかねぇ。僕のような関東在住はradikoのエリアフリー機能で聴く『グッドモーニングポートシティ・サタデイ』(FM-PORT)が命綱。

 だから開幕戦で実際に「鈴木政一監督の2018年アルビ」を見るまでは、情報と妄想がメインなんです。先週ならブルーノ・メネゲウ(長春亜泰)の新加入発表で湧きかえりましたね。かつてセレッソ大阪に在籍したこともある実力派らしい。何だかんだでクラブは補強がんばりましたね。そうなるとさっそく紙にフォーメーション表を書いてみたりする。ブルーノ・メネゲウは動画で確認してるだけなんだけど、妄想のなかでは完全にチームにフィットしてます。

 妄想のベースは昨シーズン終盤、4連勝締めしたチームです。新監督&新戦力も加わって、ものすごく強いんじゃないかと思ってしまう。といって昨シーズン、J2第42節・東京V×徳島(11月19日、味スタ)を見に行ったときの衝撃は忘れられない。アルビの日程が終了して、偵察のつもりで出かけたんだけど、今のJ2はこんなにレベルが高いのかと思った。勝ったほうがプレーオフ進出って大一番だったんですけど、敗戦ですべてを失った徳島が本当に素晴らしいチームだったんですよ。こんなチームが7位になって、プレーオフに出られないリーグなのか!

 思えばその試合で見た2人のスペイン人監督、東京V、ロティーナさん、徳島、リカルド・ロドリゲスさんもそうですけど、J2って名将揃いですよね。反町康治さん(松本)、柳下正明さん(金沢)、吉田達磨さん(甲府)はもちろん馴じみがあります。石井正忠さん(大宮)、相馬直樹さん(町田)、大木武さん(岐阜)、布部陽功さん(京都)、霜田正浩さん(山口)、間瀬秀一さん(愛媛)、井原正巳さん(福岡)‥、挙げたらキリがない。うちの鈴木政一・新監督もそのお一人ですね。今年は監督会見が面白そうだ。

 まぁ、今現在は連戦連勝を妄想しちゃってますけど、そう簡単にはいかないでしょう。試合数も多いし、じっくり行きましょう。今年は開幕節から香川遠征で、アウェーの旅も楽しめそうです。これまで縁のなかった西日本のチームが多いですね。四国九州、旨いものめっちゃありますよ。

 当コラム、「アルビレックス散歩道」はこの機会にもう一度、サッカーライフの楽しさに目を向けようと思います。例えば「中断期間のない下部リーグから仰ぎ見るワールドカップ」みたいな図式だってサッカーライフの1ページです。世界中の下部リーグ所属チームのファン、サポーターが同じ経験をしている。いつかどこかの国のサッカー好きと「下部リーグあるある」で盛り上がりたい。

 難行苦行と思えばつらいだけの「久しぶりのJ2」を、実りある豊かな経験に変えることもできるはずです。僕はサッカーが好きだという、いちばんの大大々前提から始めるつもりですよ。一緒に歩いて行きましょう。それでは皆さん、素晴らしいシーズンを!


追記、書き上げたまま寝かしておいて、水曜日、入稿前にもういっぺん読み返していたら、俳優・大杉漣さんの訃報が飛び込んできました。ご冥福をお祈りします。以前、徳島戦のコラムで書いたことがありますが、僕は大杉さんとご縁がありました。今年は対戦があるなぁと楽しみにしてたんです。悲しくてやり切れない気分です。あんなにサッカーの大好きな人が開幕目前に亡くなられるなんて‥。


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