【第16回】勲さんの引退試合に出場します

2018/8/14
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これまでできなかった走りのメニューをクリア!

前回、トレーニングゲームに出場したことをお伝えしましたが、U-18に加わっての練習でも、今日ひとつの前進がありました。それはピッチを周回する約300m×15本を設定タイムで完走したんです。他のみんなは走り終わって普通にリフティングするんですけれど、僕は出し切って倒れ込み、リフティングするパワーも残っていなかったんですが(笑)。

U-18の練習もトップチームと基本的には同じ。週初めはフィジカル的なメニューで、週末に向けてゲームをイメージしていきます。自分が教えてもらっていたフチさん(片渕コーチ)も、現在のイリさん(入江U-18監督)も変わらないですね。だから、オフを取っている月曜の夜は毎週ソワソワして、最近はそれも懐かしい感覚を抱いています。

ちょっとずつできることが増えてきました

正直、今日はそれで練習が終わったというか(笑)。キツかったです…。でも、以前はちょっと苦しくなると、「もうだめだな」とガクッとペースが落ちてしまったんですが、今日は気持ちも付いてきたし、できることが増え、走るペースも上がってきていると思います。自分自身も喜びを感じながら。キツいメニューも、「出し切らないと」と思えるようになっています。

ただ、自分の体力も上がってきたことを感じますが、アルビレッジの人工芝の熱さも日を追うごとに厳しくなってきています。天然芝っていいですよね(笑)。まだ大丈夫ですが、これから足の裏も熱くなってくるんですよ。スライディングしたら傷もできる。高校生の頃に戻ったみたいですが、体は高校生じゃないので(笑)。老体にムチを打っています(笑)。

ここまでのJ2リーグを振り返って

トップチームは3日間オフを入れてトレーニングが再開していますが、雰囲気は悪くない。チームとして嫌な空気はないと思います。そこは上手く維持しながら、次のヴェルディ戦に向けて、気持ちを持っていけたらいいですよね。

ここまでのJ2リーグを振り返ると、最初は「より強いアルビレックスを見せよう」と、みんなが期待を持っていたと思います。ただ、相手もJ1から落ちてきた新潟に対して、強い想いや、準備をして臨んできていました。そこに苦戦したのは事実として受け止めないといけないと思います。たとえば3バックに対しての苦手意識ではないですが、勝利という結果を積めていなかった現実もありました。

ただ、ルヴァンカップや、リーグ戦を通じて新しいヒーローというか、新戦力が台頭をしてきました。僕は、チームは大きく成長してきていると思います。まだ半分終わってはいないですが、後半戦に向けていい形で入っていけるんじゃないかと。ここまではチーム力を大きくしていく、そういう部分ができたはず。これからに期待していきたいですね。

チームは着実に前進している

勉強や仕事も同じで、常にイメージした結果が得られ続けるわけじゃない。サッカーは常に勝敗があるので、落ち込んだり、立ち止まってしまっているようにも感じます。でも、少し引いた目線で見れば、チームは着実に前進しているんじゃないかと。もちろん、まだまだ突き詰めていかなければいけない課題はあります。

ただ、それを差し引いても、新太の活躍や、祥郎が存在感を発揮したり。ルヴァンによって光る選手が出てきました。おそらくルヴァンがなければ、そういう選手たちはなかなかアピールができず、チームもある程度メンバーが決まった中で進まざるを得なかったんじゃないかと想像します。彼らは試合でどれだけできるかを証明したと思いますし、チーム力を増してくれました。

前半の苦い経験を、後半は克服して

とはいえ、皆さんもそうだと思うのですが、今後の戦いを楽観しているわけでもありません。J2リーグをここまで戦ってきて、難しい相手がたくさんいると思いました。岡山や大分は、監督が複数年やっていて戦い方もしっかりしていますし、組織力としては現在の新潟より間違いなく積み上がっているものも大きい。そうした相手とやるのは本当に難しいことでした。

でも、新潟は選手や監督、スタッフの質で、積み上げのスピードをもっと速くし、解決できると僕は思っています。前半戦で非常に苦い、しかしいい経験ができたので、後半戦は克服してチーム力・組織力に変えてくれるんじゃないでしょうか。J2では特徴がある相手がいることを感じ取られたのは、これからアルビが大きくなっていくためにも良かったんじゃないかと思います。

夏に向けて、チームでテンションを維持すること

ここまでの前半戦では、集中していればあまりやられることのない失点が多かったことも見逃せません。これから夏に向けて、集中を保つのが難しくなる環境下で、どれだけチームとしてテンションを維持して無駄なミスを減らし、やりたいサッカーをできるか。すごく大事なポイントだと思います。

いま、ズミさんが足の違和感から練習に戻ってきました。集中を求め、安易なミスを許さない厳しさを持っている選手、経験のある選手は、チームのためになる要求をしてくれると思います。貴章さん、達さん、安田さんもそうですが、ベテランが上手く引っ張って、厳しい基準で練習が行われれば、締まったいいゲームができる。そう感じます。

ベテランと若手の総合力も新潟の強み

そういえば、ワールドカップを戦う日本代表もメンバーが話題を集めていますね。僕は、たとえば試合でのひとつのミスに対する捉え方は、ベテランと若手の選手では全然違うと思います。そういったひとつのミスで後々痛い思いをすることを、数々の試合で経験しているからこそ、ズミさんは厳しく言うと思うんです。

知っている選手がいるのは、本当に貴重なことです。もちろんミスを恐れず、前に前にと行ける若手の良さも間違いなくある。その折り合い、総合力を活かせるのが、選手構成を考えても新潟の強みであるとも僕は感じています。

10日東京V戦は、勝たなければいけない試合

明日は天皇杯。高知ユナイテッドは四国リーグなので、実質的には5部くらいだと思うんですが、失うものがない相手に対して、どれだけ力でねじ伏せられるか。相手に何もさせないまま、試合を進めていけるかを楽しみに見たいと思います。やる側としては本当に難しい試合。気持ちの持ちよう、プレーひとつひとつも本当に難しいと思いますが、だからこそ選手の強い意志が見えれば、天皇杯にも勝敗以上に大きな意味が出てきます。

そして、次に待つ10日のヴェルディ戦は、上に行くためには何としても勝たなければいけない試合だと思います。試合に勝つには、点を相手よりも取ることが前提になります。「点を取るんだ」という貪欲さに、僕は注目しています。

ヴェルディは監督が昨年変わって、「ファウル数が劇的に減った」と何かの記事で読んだことがあるんです。監督の手腕によって大きく変わってきているチームだと思いますし、オーガナイズされた攻守があるはず。新潟は組織力、全体でまとまりながら、攻守に闘っていってほしいと思います。

勲さんの引退試合に出場します

話は変わりますが、僕は7月1日に開催される本間勲さんの引退試合に出場させていただくことになりました。先日、たまたまアルビレッジで勲さんと会った時に、「史哉、出てよ」と言ってもらって。「いや、恐れ多いです」と話したら、「いいんだよ。出てくれ」と話してくださって。本当に嬉しかったです。その場に呼んでいただけるだけで、僕にとってはすごく光栄なことです。

昔、市陸で観戦していた頃の勲さんの印象は、ちょっと長めの茶髪でしたよね。言い方は悪いですが、「チャラチャラしているのかな?」という印象が当時はあって(笑)。でも、僕がジュニアユース、ユースと上がり、2種登録でトップチームの練習に参加させてもらうようになる頃には、キャプテンとして揺るぎない立場を築かれていました

キャプテンだったこともあると思いますが、人としての大きさを僕はすごく感じていて。「ミスターアルビレックスだ! カッコいいなぁ」という印象がありましたね。

勲さんとプレーすることがモチベーションだった

忘れられないのは、ユース時代に春季キャンプに参加させてもらった時です。プレシーズンマッチでエスパルスと対戦したことがありましたよね? あの時、僕もロッカールームに入らせてもらったんです。勲さんは決して多くはないんですが、「集中していこう」と話していて。『勲さんが雰囲気を感じ取り、必要と発する言葉にチームが影響されている』と高校生の僕は思いました。

繰り返しですが本当にカッコいい。新潟の選手で、新潟のキャプテン。その生き方を、僕も常に意識してやってきたつもりです。自分がプロになって、病気になって。その時、勲さんはちょうどレンタル(期限付き移籍)で新潟を離れているんですが、「新潟に戻ってくる」と聞いた時は本当に嬉しかったし、叶うのであれば、もう一度勲さんとプレーする。それが自分にとってのモチベーションでした。だから、勲さんの引退で、実現できなかったのは個人的にはすごく残念だったんです。

新潟の象徴の姿を見てほしい

今回、少し形は変わりましたが、同じピッチに立たせてもらえるかもしれません。ポジションも分かりませんが、勲さんの背中を見ながらプレーすることになったら。ボールを持ったら、とりあえず勲さんにボールを付けます(笑)。

「付けておけば何とかなる。勲さんに預けておけば」(笑)。勲さんは落ち着きや安心感をチームに与えてくれると思うし、難しいボールを簡単にさばいてしまう凄さを見てきました。それを感じられるかも、と想像するだけで楽しみですし、残り1カ月でコンディションを上げるのがこれからの目標です。

往年のスーパースターたちがビッグスワンに来られます。昔からアルビを見ている皆さんにとって、こんなに最高な試合はないと思います。多くの人に足をはこんでもらいたいですし、最近アルビを知って、勲さんのプレーをあまり見ていない方々にも、新潟の象徴の勲さんの姿を見てほしい。それが引き継がれることが、今後にとっても大事だと思います。僕も新潟出身のひとりとしてがんばっていきます。



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