【第21回】僕らは核の部分を見つめて、力にできれば

2018/8/14
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松本戦で目立った達さんの奮闘

いよいよJ2リーグは後半戦。新潟の折り返し初戦はアウェイでの松本山雅FC戦でした。この日はターレスが累積警告で出場停止。前線にはカワくんと、達さんがスタメンで起用されましたね。達さんは相手のラインとラインの間に立ち、ボールを回しやすくしてくれましたし、保持する効果的な動きをしてくれました。達さんを経由してサイドを使ったりという場面が多くありました。

結果はご存知の通り0-2の敗戦でしたが、そんな中でも達さんの奮闘は目立ちました。たとえば相手プレッシャーがあるため、ボランチのどちらかがCB付近までポジションを下げてボールに加わろうという時です。当然、本来ボランチがいるポジションにスペースが生まれますが、達さんはいち早くそういう状況に気付き、ポジションを移してつなぎ留めてくれました。もちろん、ボールを受けてもそれで終わりではなく、もう一度次のスペースに向けてアクションを起こす。それが、チームとしての前へのパワーにつながった場面もありました。

達さんは最終的に90分プレーをしました。これまでは終盤に投入されていましたが、普通の選手なら、あまり試合に出ていなければいきなりフルタイム出場はキツいんですよね。泰基もそうですが、足をつってしまうケースもある。でも、達さんはそのレベルにないというか(笑)、経験や準備の部分で解決しちゃっています。本当に頼もしいし、選手として見習いたいなと思います。

新潟を研究し、練ってきていた山雅

しかし、ゲームでは率直に言って劣勢の状況で松本の攻撃をしのぐ時間が多くなりました。新潟の4-4-2と山雅の3-5-2(3-6-1)が向き合うと、相手が段差を上手く作っている布陣なので、上手くプレスをかけにいかないと、自分たちのライン間を使われてしまいます。

そうした中、マサルくんとイソくんが相手ボランチに強く行くと、後ろの2枚のシャドーに空いたスペースを使われる。今度はクサビのボールに強く対応すると、フリックを使われてシャドーがDF裏を突いてくる。総じて、松本は新潟の4-4-2を研究し、「どう攻撃したら突破できるか」を練って試合に入っていたように思います。

自分たちが全体的にコンパクトにするか、相手を引き込むか。チームとして明確にして連動ができれば、という思いはあります。DAZNの中継で、安田さんの「ラインが低い!」という声が拾われていましたが、時にぶつかったとしても、いまチームがどういうことが求められているか、各々がどんどん発信して実行に移したいですよね。

自分がピッチに立っていたら

もし自分がピッチに立っていたら。山雅はロングフィードに特徴があるので、何でもラインを上げて前から行くと、一発で裏に引っくり返される武器も持っています。そう考えると非常に難しいんですが、相手のパスの質や方向で、チームとしてどう対応するべきかを突き詰めなければいけないな、と。

たとえば9高崎をいったん動かしてから、自分たちもラインを下げたり。DFライン、ボランチの選手たちも含めて、駆け引きを求めていきたいなと。繰り返しですが、松本はやりづらい相手だと思います。だからこそ、ひとつの状況を見て、みんなが動けるような「準備」が必要だと感じます。

新潟は想定外、山雅は想定内

松本山雅戦、CBに入った輝綺は9高崎にも厳しく対応していましたし、裏のカバーリングもしっかりしていました。改めて能力の高さと、色々なポジションをこなせるなと僕は思いました。それでも、2失点目は難しかったですね。ただ、ああいう失点は新潟にとっては想定外だったかもしれませんが、山雅にとっては想定内というか、日常で起こり得るものだったんじゃないかと思ったのです。

どうしても綺麗な形、シュートにこだわるのがサッカー選手としてはあるかもしれません。でも、ああいったアバウトな場面に反応することを、山雅は練習でも求めているんじゃないかと。ああいうことが普段起こっているかで、反応も変わってくるのでは。日常の中で、どれだけ“想定外”を消しているんだろう、と考えました。ロングスローひとつとっても、こぼれ球の意識も非常に山雅は高いし、研ぎ澄まされていました。

「もしかしたら」を、どれだけ予測できるか

僕はサッカーでは、ノッキングや「こうやろうと思っていたのに」という事故が起こり得ると思います。練習でもそうで、たとえば誰かがミスをしたり、置いていた人形にボールが当たったり。そうした時に、綺麗な形から戻すのではなく、すぐにプレーを始めたり、アドリブを効かせてスムーズに進むような工夫をする。即興的な部分も必要だし、変化に即応する姿勢が常にあるべきと思っています。

いまはアカデミーと練習をしていますが、ジュニアユースよりユースの方がそういった部分は高いレベルで持っていますし、当然ユースよりもトップの方が高い。でも、それは意識をしなければ終わってしまうし、自分たちで高められることだと思います。それは試合でも活きてくるはずで、「もしかしたら」のアクシデントをどれだけ予測できるかで、ミスを減らせる部分があると感じています。

どれだけ自分が当事者として思いを持てるか

正直、選手目線で見ると少し不運な失点は多いかもしれません。「負けている感じがしない」と思っている選手もいるかも知れない。でも、自分たちが変わらなければ、その状況は変わらない。どれだけアクシデントの要素を排して、変えていけるか。セカンドボールひとつや全体での守備、共通理解を持ってやるべきこと。それらを100に近づけられるか。

どれだけ自分が当事者として思いをもってやれるかも大事だと感じます。サッカーだけの話じゃないですが、他人事でズルズル行っていると、いつか自分にも回ってくるもの。今回、失点につながるミスをした選手だけじゃなく、どれだけ自分に当てはめられるか。失点場面だけじゃなく、その前のプレーや、もしかしたら試合に入る準備の部分まで、思いを致せるかもあります。

もうひとつは、上手くいかない時に、要求だけじゃなく、声がけによって、お互いがいいコミュニケーションに変わるかもしれない。感情的になる熱い部分も必要かもしれませんが、つながりを意識した中で、相手を思いやれるか。和や、つながりをどれだけ大きく太くできるかも、勝利のためには必要だと思い続けています。

山雅戦後のことでの自分の思い

試合後、アルウィンに来ていただいたサポーターのうち何人かの方々と、選手たちの間で感情をぶつけあったり、チームバスの前にサポーターの皆さんが集まる、という状況があったと聞きました。そうした状況は、選手やスタッフも、クラブ関係者も、もちろんサポーターの方々も望んでいることではないと思います。

相手を傷つけるような言葉や行動を、すべて受け入れることはできません。僕なりの感じ方で、これは色々な意見があると思いますが、それはクラブを強く想っているからこその感情ではないかと思うのです。だから、言われた側は、ぶつけられたアクションに対して感情的になるんじゃなく、「そういう人たちはどういう背景や想いをもって、クラブに関わってくれているのか」を感じるべきなんじゃないでしょうか。

僕らは核の部分を見つめて、力にできれば

何もなく試合をしている選手はいません。だからこそ、負ければ悔しい。悔しさややるせなさで、誰に言われなくても気持ちは高ぶっていると思います。でも、そこで投げかけられる感情的な言葉に反応するより、その人たちの想いを感じてもほしい。それはお互いにとって難しいし、辛い作業だと思います。

僕は、厳しい言葉もあっていいと思います。だからこそ、「本当はこの人たちはどういう人なんだろう」という核の部分を僕らは見つめて、力にできればいい。お互いが思いやりを持ちながら、感じられたらいいと考えています。

みなぎったパワーが伝わるくらいに

明日の天皇杯・FC東京戦はもしかしたらメンバーが変わるかもしれませんが、フレッシュだったり、普段なかなか出ていない選手の躍動が見たいです。そして、「リーグ戦でもやってやる!」というところを見せてほしい。新潟の選手たちのみなぎったパワーを、足をはこんでくださる観客に伝わるくらい、ぶつけてほしいと思います。

そして15日(日)はもうビッグスワンでJ2・横浜FC戦。アウェイでの横浜戦は、今季のベストゲームに近いものだったと思いますが、だからと言って次も上手くいく保証はありません。細心の注意と準備をして臨みたいですね。相手も新潟を何試合も分析して、対策してくると思います。その対策にも対応できる準備を、残りの日数で作ってほしいと思います。

西区民デーサッカー教室&交流会に参加しました

最後に、7月8日(日)は、僕の地元である新潟市西区の「西区民デーサッカー教室&交流会」に参加してきました。まだまだ未来のある子どもたちのエネルギーのすごさを感じられて、本当に楽しい時間を過ごさせてもらいました。

参加した泰基は「僕は子どもに蹴られましたよ!」と言って笑っていました。1年目ですが、楽しみながらやってくれているなと。祥郎がさすがだな、と思ったのは、自己紹介で自分の背番号をまず言ったんですよね。「自分を知ってもらおう」という工夫が感じられましたし、各々の子どもたちに対する想いが伝わってきました。

僕は個人的には、これから新潟を背負っていくたくさんの子たちと触れ合って、ちょっとしたことでも大きく成長するキッカケを作れればと思っていました。でも、参加した僕たち選手・スタッフにとっても、大きなものをもたらしてくれる、意味のあるイベントだったと感じています。今週のホームゲームもそうですが、7月29日は西区民デー。今回参加してくれた子たちをはじめ、多くの皆さんがビッグスワンに駆けつけて、そこでも選手にパワーを与えていただけたらありがたいです。


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