【第30回】「アルビの勝利は周りを明るくしてくれます」

2018/9/18
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アルビに関わる皆さん、おめでとうございます!!!
まずはアルビレックス新潟に関わる皆さん! 約5ヶ月半ぶりのビッグスワンでの勝利、おめでとうございます!!! サポーターの皆さんの試合中の応援の勢いや、試合終了後の嬉しそうな顔を見ることができて本当に良かったなと。本当に幸せな気持ちになりました。きっと選手たちも同じ気持ちだと思います。

僕もスタジアムで観戦していましたが、新潟らしい一体感のある雰囲気が、ビッグスワンにはあったと思います。「蹴散らせ」など、最近なかなか聞けなかったチャントを聞いて、「懐かしいな」と嬉しくなりました。他の選手も「こんな歌があるんだ」と話していたんですよ。

この雰囲気を継続して、連勝街道を突き進んでいきたい。改めて、選手やチームは勝つことで、こんなにも周りの人たちを幸せにできるんだ、ということを理解しなければ、とも感じました。だからこそ責任と自覚も求められますが、誇りを持ち、今後に向かっていきたいですね。それでは試合を振り返りましょう!

チームの狙いを理解し、相手の嫌な場所を

立ち上がりから、新潟は岐阜の4枚のDFラインの背後を狙う意図が感じられました。チームの狙いを理解し、相手に嫌なことを。これを実際にピッチで表現できるかが、試合の流れをつかむポイントのひとつになると思います。狙いがあるからこそ、送り込んだボールを自分たちのモノにできればチャンスになるし、相手に渡っても、守備しやすいプレスを掛けられる状況が作れる。

この日、岐阜はセーフティーにスローインに逃れたり、難しい体勢でのクリアを強いられ、新潟は容易にマイボールにしたり、比較的高い位置から再度攻撃を始めることができていました。実際に何度もその動きから、チャンスを構築することもできていました。

1点目はまさに実を結んだもので、尚紀がボールを持つと、サチが中盤から背後を狙いました。まずはチームの狙い、そして長い距離を走れるサチの良さが合わさり、DFラインのズレを突けたと思います。最後はカワくんが落ち着いてゴール。前半のうちにリードできるのは精神的に楽ですし、試合を進めていく上で大きな意味を持ちました。直接ゴールには結びつきませんでしたが、達さんが相手の背後を積極的に狙っていたのも見逃せません。

右サイドを制圧した尚紀

尚紀のことも取り上げたいと思います。この試合は彼の良さをたくさん見ることができました! 尚紀の良さは、何度も触れていますが、攻守での対人の強さや推進力。ですが、最近はボールの置きどころが良く、タテに入れるボールの質が格段に良くなっていると感じています。その結果、1点目のようなギャップやズレを作る組み立てのスタートになりましたね。前述のように、サチの動き出しも良かったですが、尚紀からのタテパスと合わせ技で、勝負ありでした。

岐阜も両サイドの19薮内選手、7田中選手の突破を武器に、攻撃を仕掛けたい狙いが感じられました。しかし、右の尚紀と左の泰基との攻防で上回れず、逆に押し込まれてしまう難しい展開になってしまったと感じます。19薮内が結果的に前半で交代となったのは、尚紀が見せたパフォーマンスが高く、相手のプランを狂わせる要因であったことを物語っています。

高くなる基準は楽しみの裏返し

2点目のアシストも、高い位置での突破や仕掛けという尚紀の良さを前面に、精度の高いクロス。カワくんは合わせるだけでしたね。突破までは尚紀らしいですが、クロスはちょっと驚きました(笑)。

そんな調子の良さが、5点目にもつながったと感じます。1点、2点と得点に絡めたからこそ、自信が生まれ視野も広がる。ひとつ、ふたつのプレーでパフォーマンスが余裕が生まれるんだ、と。サイドハーフのサチを内側から追い越し、敵陣深くまで侵入したお膳立て。もちろん、ズミさんの落ち着きようもさすがでしたね。ホレボレするようなゴールでした。尚紀にはこの試合で得た自信を今後に活かしてほしい。彼への基準も高くなるんじゃないかと思いますが、楽しみの裏返し。どんどんチームに貢献してほしいと思います。

自分の良さを出すことに集中できたカワくん

取り上げることがたくさんあるのは嬉しいこと(笑)。カワくんのハットトリックは、どれも素晴らしいものです。ケチャップドバドバ、ですね(笑)。最近のカワくんは、足元でボールを受け、強引にでもシュートを狙いに行く姿勢が見られました。どちらかと言うと、ゴールから遠ざかった場所でもがいているようにも見えていたんです。

岐阜戦ではカワくん本来のゴール前での鋭さが終始光っていました。シュートまでの位置取りも素晴らしかった。加えて、そこへボールを供給する選手たちが、相手を押し込めたことで、カワくんが下りることなく、自分の良さを出すことに集中していた側面もあると思います。

得点を取れる選手は貴重な存在。どう活かすか、考えて試合を進められれば、今後の再現性も高いんじゃないかと考えています。カワくんだけじゃなく、新太もゴール前で持ち味を発揮できる選手。河くんと新太のストライカーとしての競争が、チームに活気を、そして良い影響を与えてくれるといいですね!


意味合いが違う愛媛戦と岐阜戦の完封

守備についても。愛媛戦と岐阜戦、どちらも完封ですが、その意味合いはだいぶ違います。愛媛戦は「しっかり耐えて、体を投げ出して」でしたが、今回は自陣ではなく、相手陣内や中盤を制して、何もさせないぐらいの勢い。岐阜の状態もあったと思いますが、サイドで制限をかけ、次、またはその後ろの選手がボールを奪えていました。寄せの徹底が、ボール奪取という形になって表れました。

どちらかと言えば、前半の守備に軍配が上がると思います。ただ、後半は3-0として、相手に合わせつつ、状態を見ながら余裕をもって守備をしていたはず。状況に応じて柔軟に守れた点では、いい対応ができていたのではないでしょうか。

守備の貢献が光った達さんとカウエ

中でも達さんの守備での貢献は圧巻でした。攻から守の切り替えが誰よりも速く、ボールを奪った岐阜の選手に対して、いち早くプレスに行く場面が何度も見られました。そこから奪ってマイボールにして、相手陣内からプレーを始めることがどれほど多かったことか。終始新潟の流れで進んだ大きな要因です。

もうひとりはカウエ。個人でボールを技術の高さを感じたのは前半終了間際。ナナメに入ってくるボールに反応して、相手を腕で押さえながら、マイボールにしたんですよね。いかにもブラジルの大型選手らしい。タイプは違いますが、そのプレーにレオっぽさを見て、「フィットしていったら、ますます面白い存在になるんじゃないか」と思います。

祥郎ワールド全開!

最後にサチについて。岐阜戦は“祥郎ワールド”全開でした(笑)。これまでも運動量や攻守の切り替えといったハードワークで大きな貢献をしてくれていますが、プロ初ゴール。大学時代から見ていますが、本当にタフで、たくましい存在になっています。ゴールを決めた時は、両手を上げて喜んでいましたね(笑)。

得点は最後まであきらめず、詰めていたから生まれたサチらしさを象徴するもの。これまで少し力みもあったように思いますが、これでいい意味で力が抜け、さらなるパフォーマンスにつながるといい。今後のサチが、さらに楽しみになりました。

「アルビの勝利は周りを明るくしてくれます」

冒頭で言ったように、勝利してアルビレックスに関わるみんなが喜べたのが、僕にとっては一番うれしいことです。正直、あんまり試合に観戦に来ない方でも、新潟日報で「アルビ勝利」と報じられているのを目にするわけです。「あ、アルビ勝ったんだ」と、興味がなくても、「久しぶりに勝ったんだな」と話題を提供できるだけでも良かったと思えるんです。

先日、学校の先生とやりとりしていたら、「勝って良かったですね。アルビの勝利は周りを明るくしてくれます」と言ってもらったんです。スタジアムに来てくれる人たちが幸せになるのはもちろん、『ちょっとした生活の一部に、アルビはとけ込めているんだ』と思ったんです。アルビはたくさんの県民、新潟を盛り上げる素晴らしい役割を持っているので、そこは誇りを持って次に向かっていければと思います。

金沢戦こそがチームの真価になる

次節15日は再びホームで金沢戦。ヤンツーさんは新潟のスタイルを知り、一緒にやっている選手もいるので、とても難しいですね。新潟への対策も練られている、と考えた方がいいと思います。たとえば尚紀。彼を見ていたこともあるので、今回の出来を見て、逆に良さを出させないような策を講じてくることも考えられます。後手に回らず、それを上回るものを出したいですよね。

勝ちたい。次の一勝が大事です。5-0で勝っているからこそ、もう一度気を引き締めたいし、次こそがチームの真価になるんじゃないかと感じています。チーム・クラブに色々な変化があった中で、「それでも俺たちはやっていくんだ」という強固な意志を示し続けたい。ぜひ応援よろしくお願いします。


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