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2018.10.04スペシャル
【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第390回
「夕陽と3連勝」

 J2第34節、水戸×新潟。
 Ksスタにこの前来たのはいつだったろうと考えて、2011年のJ2第8節、水戸×徳島だったとわかった。東日本大震災の年だ。すっかりご無沙汰だ。あの日は被災スタジアムのなかで唯一、Ksスタだけが試合開催を断行した。意地を見せたのだと思う。驚くなかれ、亀裂の入ったメインスタンドは立ち入り禁止だった。シーズンシートを買った水戸サポもバックスタンドで観戦せざるを得ない。あの試合は熱かったなぁ。しかも、見事に勝利したんだ。

 水戸駅前からKsスタへ向かう茨城交通バスの車窓から、あの日のことを思い出す。屋根瓦が落ちてブルーシートで覆われた家がいっぱいあった。先週、札幌市の元町駅で見てきた復旧工事(地下鉄駅に沿って道路が陥没)の光景もフラッシュバックする。災害は街を変えてしまうなぁ。水戸は東日本大震災以降、瓦屋根の家が少なくなったそうだ。まぁ、今は映画『カメラを止めるな!』のロケ地(水戸浄水場)になったりして、すっかり元気を取り戻した水戸なんだけど。

 そして、水戸ホーリーホックも元気である。約1ヶ月(2分を含む5試合)負けなし。13勝12敗8分(勝ち点47)の11位は十分、プレーオフ圏を狙える位置だ。今年はついにJ1クラブライセンスの申請を行った(申請が通ればホームスタジアムは笠松を使用する由)。他サポから「水戸ちゃん」と呼ばれ、愛される一方で、何となく上から目線で見られてきた歴史が変わろうとしている。現に「元J1の新潟」は18位だ。立場逆転だ。

 といってアルビも勢いはある。最大瞬間風速的には今季いちばんじゃないか。片渕浩一郎監督が就任して、「元J1の新潟」は夕陽に向かって走る感じのチームに変身した。これはホーム連勝という結果をもたらした。気持ちも伝わってくる。伝わってくるんだけど。サッカーの見巧者からは「夕陽に向かって走ってる場合か」「まだ夕陽に向かって走るのか」「夕陽に向かって走ってばっかりいるとずっと青春のままだぞ」等々のお叱りを受けたりもしている。が、Ksスタの観客動員を見ればわかる通り、夕陽の色のレプリカを着たサポはノリノリだ。水戸を叩いて3連勝のつもりで乗り込んできた。その数、約2700人。Ksスタ全体で7110人だから半数は切るけれど、ノリノリの2700人は場を制する。

 7110-2700=4410。数だけで考えたら水戸サポのほうがずっと多い。が、その4410人のなかにはメインスタンドでのんびり見る人もいるし、たまたまサッカーをご覧になった方もおられよう。コアサポの数が違うのだ。会場はさながらホームジャックの様相を呈した。僕の考える勝因のひとつはホーム同然の会場の雰囲気だ。連勝中の空気をそのままKsスタにつくり上げた。水戸はやりにくかったと思う。自分の家なのに何となく勝手が違う。特に前半、水戸はミスが多かった。あれは無関係じゃなかった気がするなぁ。

 試合。それなのにアルビはミスにつけ込めなかった。僕は水戸の出来を見て、ありゃりゃ~と思ったんだけど、アルビの出来を見ても、ありゃりゃ~と思った。「前半0-0」のゲームプランだったかもしれないが、チャンスをつかんだら勝負していいのに。この試合、ざっくり言うと「前半アルビ、後半水戸」という内容だった。フツーは「前半のチャンスで決めとかないと、後で祟(たた)るよ」って展開だ。が、大変幸運なことにそうはならなかった。

 たぶん大方の読者が僕の言う「幸運」を認識しているだろう。試合は「後半水戸」の流れだった。この試合の最高殊勲は決勝ゴールの矢野貴章(後半35分)で間違いないが、同等の第二殊勲はスーパーセーブ連発でチームを救ったGKアレックス・ムラーリャである。少なくとも2点は決定的なシュートを個人能力で防いだ。だから決していい勝ち方ではない。「元J1の新潟」が「水戸ちゃん」を粉砕したわけじゃない。そもそもムラーリャ頼みの、あんな危険な場面をつくっていいわけがない。(特に後半は)サッカーで負けていた。

 水戸は後半、落ち着いてからはさすが好調チームだなと思わせた。狙いがある。それを突いてくるとき、チームとしてまとまっている。読者も正直、驚かなかっただろうか。水戸ってこんなにしっかりつないでくるチームだったか。今シーズン、幾度となく使ってきた「練度」という言葉をここでも用いたい。チームとしての練度は水戸のほうが上だ。

 だからアルビは貴章とムラーリャ、個の力で勝ったと言っていい。元日本代表と元ブラジル代表の2人は、いわゆる「持ってる」のだった。そしてその「持ってる」が試合結果に反映するに当たっては、やっぱり勢いというものもある。アルビは(今までツイてなかった分?)ツキがあった。3連勝だ。勝ち点を39まで伸ばして、J3降格危機をひとまず脱することに成功した。

 但し、嫌な予感もある。チームが安心してダレてしまうことだ。これまで複数の監督さんが、アルビは勝つとホッとして緩(ゆる)んでしまう、と口にしてきた。これは弱いチームの典型だ。目標が低いのだ。3連勝して、残留の目安にしてきた勝ち点40まであと1にこぎ着けた、ここまで来ればもう大丈夫だ、なーんてダレてしまわないだろうか。

 実は水戸戦にも兆候はあった。すんごい頑張る選手がいる一方で、感情的かつセルフィッシュな姿を晒した選手や、瞬間的にスイッチが切れてた選手がいる。順位は1つ上がって17位だけど、下位をうろうろしてることに変わりはないというのに。次節・岡山戦は興味津々だ。あの組織されたチーム相手に今のアルビがどんな試合をするのだろうか。

 幸運に助けられはしたけれど、積極的な見方をすれば水戸戦は「ガマンのきいた試合」だったと思う。ペースがつかめず苦労した試合をモノにした。ゲーム展開的にも5-0の大量リードでなく、2-1の劇的勝利でもなく、1-0を耐えて勝ち切るのはすごくアルビっぽい。そんな心臓に悪い勝ち方じゃなく、3点くらい取ってよと思うのだが、おそらくKsスタの夕陽色のサポはラスト10分、時計が進まない感じを懐かしんだんじゃないか。


附記1、今回のタイトルは映画『カメラを止めるな!』にちなんで、いったん「カウエを止めるな!」にしたんですけど、ちょっとマニアック過ぎるかなと思い、「夕陽と3連勝」に変更しました。

2、当コラムで触れる機会を逸してたんですけど、小川佳純選手、柳育崇選手の負傷は本当に残念です。一日も早い回復を祈ります。

3、10月6日、駅南プラーカ2のフーズバーささきにて「ナミックス presents サッカー愛好会の集い」第3弾を行うことになりました。ご存知、FMポートの人気企画です。MC立石勇生さん、松村道子さん、ゲストが今回は僕が務めます。讃岐戦の後、19時開始だから試合の話もできますね。5千円で飲み放題。僕自身が最終の新幹線で帰京予定ですから、関東サポも安心して参加できます。詳しくはFMポートのHPで!

4、あ、そうそう、先週書いたFMポートの金沢戦radiko聴取の件ですけど、エリアフリーで聴けたらしいんですよ。おかしいなぁ、イージーリスニング音楽が流れて、女性アナウンスで「配信できません」って言ってたんだけどなぁ。失礼しました。ちゃんとログインできてなかったってことなのか。まぁ、いずれにしても至恩ゴールの瞬間は白神山地の上空かどこかを飛んでて、生では聴けなかったんですけどね。

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