早川史哉の前を向いて歩こう 第40回・選手ひとりひとりのがんばりがチームの力に

2018/11/27
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皆さんと勝点3を取りたかった

2018シーズンのJ2リーグ最終節。試合前から雨が降り、新潟の最終節らしい(苦笑)寒さの中、16,000人以上のサポーターの皆さんに足をはこんでいただきました。皆さんとともに、なんとしても勝点3を取りたかった。本当に残念です。

ひとりに頼らず、チームがフリーを作らない努力

1失点目は、自分たちのスローインからセカンドボールを回収できず、タテにボールを付けられ、3人目の動きで走ってきた50高井に決められました。まず反省点として、得点を決められた50高井を誰が見るのかを、ハッキリさせたかったですね。

ボランチが見るべき選手に付いていくことができれば、それが良かったかもしれませんが、付いていけない時にDFの選手同士の距離感を大切にして、しっかり内側に絞る。そうすることで、走るコースを防ぐことも可能だったと思います。ひとりのマークに頼るのではなく、チームとしてフリーな選手を作らない努力が必要になる、ということです。

マイボールの時に、いかに周りの相手選手の位置や、狙いを把握してポジションを取れるか。またフリーな選手が生まれた時に、どういう守り方をするのかを、チームで共有することが大切になると改めて感じました。

明確にすることと、細かく修正すること

DFとしては、守備の部分に目が行きがちです。44分の場面も。右サイドでボールを奪われ、19オナイウがセンターバックの間から背後を狙いました。結果的には19オナイウと50高井、2人を大武くんがひとりで対応し、ナイスシュートブロックで得点を許さなかったのは素晴らしかったですが、いい対応をするためには、どういう判断が必要だったでしょう。

19オナイウにボールが渡った瞬間。そのままゴール側から守備をすることができるジュフンが外に押し出すようにプレスをかければ、大武くんは走ってきた50高井をそのままマークすることができました。一瞬の出来事ですが、ジュフンは後ろに下がり、大武くんが50高井の狙っているスペースを防ぐための動きをしたため、オナイウには前を向ける時間ができました。ブロックはしたものの、シュートを撃たせてしまった要因です。

いつ、誰が、どの方向からプレスをかけてゴールを守るのか。明確にすることと、細かく修正することで、危ない場面が減少していくはずです。一瞬で最善の判断をするのは本当に難しいこと。仮にその判断ができなくても、ゴールを守らなきゃいけないのですが、経験を積み重ね、最善をと思います。

非常にもったいない2失点目

後半立ち上がりに追加点を許したことで、試合はより難しいものになりました。複数の誤った判断が重なると、やはり失点につながってしまう。分かっていることですが、改めて感じるのは悔しいですよね。

ボールを持った相手との距離の把握。クロスが入ってくる際の場所取り。そして相手の狙っているスペースを埋めること。ひとつひとつの判断を正確に行っていかなければ、簡単に失点してしまいます。非常にもったいないものでした。

攻撃はいかに相手の視線を動かし、マークを付きにくくするか

52分や60分のプレーに代表されるように、相手陣内深くのエリアに侵入できると、新潟はチャンスになりやすい。この2つとも、達さんが深いエリアを狙って、そこにボールが送られたものでした。

達さんはスペースの把握と、「そこに、いつ、どのタイミングで入るか」の判断が、本当に的確な選手です。そのエリアにボールが入り、ゴール前の選手がいいアクションを起こせれば、相手ゴールを脅かすことができる。いかに相手の視線を動かし、マークを付きにくくするか。新潟の武器として、精度を高めていきたいですね。

残り2試合から感じること

新潟は前節・徳島、今節・山口の2試合を、とても大事にしなければいけなかったと思います。この2試合の直接対決を制することで、順位を自分たちで引っくり返すことができる可能性があったからです。あくまで仮定ですが、これがJ1自動昇格圏ギリギリ、またはプレーオフ圏内をかけた戦いだったら。

自分たちの手で、チャンスをつかめる試合は、来季も必ず訪れるはずです。いかにその試合でいいパフォーマンスを発揮し、最高の結果を出せるのか。今後の我々は、そういう試合を制したり、苦しい時に耐えて最低限の結果を残したり、個人でもチームでも強さが求められます。日頃の練習から、高い集中力を保ち、試合さながらの激しさを出していければと思います。

シーズンを通して積み上げられたもの

アルビレックス新潟は2018シーズンを戦い終えました。勝点53で16位。起伏のあるシーズンでしたが、チームとして積み上げられたもの、個人としての成長はたしかにあったと思います。

守備ではしっかりといるべきポジションでセットした時には、前半戦に比べてしっかりとした対応がなされていたと思います。距離感も互いの良い位置を保ちながら、最後に体を張ることが、試合を重ねるごとにできるようになりました。守備の強さを、チームとして感じることができたと思います。攻撃はさっきも言った、深い位置でのプレーや、そこに至るボールの動かし方は、鈴木監督からフチさんになってより明確になり、ストロングとなっていったのではと捉えています。

キーワードだった「判断」について

鈴木監督も、フチさんも、「判断」という言葉を多く使っていましたね。おそらく、どちらも求めることは似ていたと思います。その判断に至る前のちょっとした距離感や、集団としての決まりごと、やらなければいけないことを上手く出すことができれば、終盤のような快進撃につながるのでは。

僕たちはそういうことをおろそかにせず、最終的な判断の場面で、いいものを求めていければ良かった。そう思っています。

守備、攻撃の課題

課題は相手の細かいパス回しや、動いて変化を付けた時の状況判断。セットされた状態では崩れることがなくても、そういった対応はまだまだ改善する余地があると思います。攻撃では相手が構え、自分たちがボールを保持しながら打開していく状況で、なかなかチャンスを作り出すことができませんでした。

それは、「いい守備から攻撃へ」という新潟のスタイルから考えれば、一朝一夕ではないのかもしれません。まして相手は5バックの多いJ2。しっかりスペースを埋め、ゴール前を固めてきます。それでもゴールまで運べなければ、チャンスを作れないし、上の順位には到達できない。克服していきたいものだと感じています。

個人的に強い印象が残った2選手

この1年で個人的に強い印象が残った選手。ひとりは尚紀を挙げたいと思います。最初はなかなか試合に出られず、苦しい思いをしていましたが、自分らしさを大事に、自信を身に付けて、右サイドを新潟の強みとしてチームを勝利に導いてくれました。

もうひとり。終盤はなかなか出場機会がなかったのですが、大ちゃん。どんな時でも練習には手を抜かず、最善を尽くす姿勢は、僕自身もサブ組、居残り組みでやっていて、本当にチームにとって大切な選手だったんだと強く思います。

もちろん選手としては試合に出場して結果を出すことが大事。でも、チームとしてのまとまり、ひたむきさは、大ちゃんがやり続けてくれたことは無駄ではなかったと思っています。素晴らしい選手だと思いますし、僕自身、とても見習いたい部分です。

選手ひとりひとりのがんばりがチームの力に

今年一年、がんばってくれた選手たち。一度はバラバラになりかけていたチームですが、苦しい状況をスタッフやサポーターも含めて、あらためてひとつになって戦うことができた。これから苦しいことがあっても、立ち帰れる場所になったのではないかと思います。それは当たり前にしながら進んでいきたいと思います。

先ほども言いましたが、勝点53の16位は、決して満足いく結果ではありません。サポーターの皆さんの応援に、結果で応えることができませんでした。でも、選手ひとりひとりのがんばりが、チーム全体の力になったのです。選手みんなには、「ありがとう」という言葉を伝えたいと僕は思います。最後までチームを鼓舞し戦い続けてくれた、サポーターの皆さんも本当にありがとうございました。


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