片渕浩一郎監督就任会見 会見録

2016/9/27
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いつもアルビレックス新潟に温かいご声援をいただきまして、誠にありがとうございます。アルビレックス新潟は9月27日(火)にアルビレックス新潟クラブハウスにおきまして、このたび監督に就任した片渕浩一郎監督の記者会見を行いました。

会見では、片渕監督から報道の皆様に挨拶とともに今後の戦いに臨む決意などが述べられました。

以後、会見での片渕浩一郎監督のコメント、また報道陣からの質疑応答について、ご紹介いたします。


【片渕浩一郎監督挨拶】
皆さんこんにちは。本日からアルビレックス新潟の指揮を執ることになりました、片渕浩一郎です。色々な状況がありますが、このクラブのために強い想いを持って、今回の監督交代をお受けしました。これからいろいろなところでお世話になっていくことになると思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。


※以後は報道陣からの質疑応答
――今回監督就任の打診があったタイミングと、(就任の決断は)難しい状況で即決に近かったのか、それともいろいろ考えてからだったのか。

まず、時期的なものですが、昨日のお昼前くらいにクラブハウスで田村社長と神田強化部長にお会いして、「監督をやってほしい」という依頼を受けました。神田強化部長からお電話を受けたときに、いろいろなことを自分の中でシミュレートして、その中のひとつに、こういうことがありました。もし、そういう言葉があったときは、『やるしかないな』というのが自分の中にありました。

今年吉田監督の下、チームが始動して、スタッフの一員としてこのチームの中にいましたから、『僕らでやってやろうじゃないか』という思いが強くて、結論から言うと即決でした。もちろん厳しい状況で、「迷っていないか」と言われると迷いましたが、やらなければいけない思いが強かったです。


――リリース文の中で、ご自身の色を少しずつ加えていきたいとあったが、攻撃、守備それぞれどこを変えていきたいと考えているか。

前置きとして、今年吉田監督の下でチームを作っていく中で、本当にいろいろなものを構築してきました。選手たちが本当に上手くなって、フットボールをしている。そういうところのベースはかなり上がってきています。そのベースを活かして、今までやってきたことを踏まえて、その中で自分の色を出していきたいと思っています。

ただ、同じことをやっていても変わらないので、何かを変えないといけないとなった時に、自分の思いは何だろうと考えていくと、“新潟らしさ”につながっていくと思っています。『自分の色、新潟の色って何なのかな』と考えると、やはりもっとアグレッシブにということはプラスアルファしていきたいと思っています。プラスアルファです。なかったわけではありません。今まで以上に、そういうところを強調していきたいです。

攻撃であれば、ゴールに向かう、前に向かう、前に進むという場面を増やしていきたいですし、もっともっとシンプルにプレーしていきたい。守備であれば、それを可能にするために、より前で強いプレッシャーを掛けてボールを奪いたい。チームで連動して、流れを持って、高い位置でボールを奪いたい。そしてゴールへ向かって出ていきたい。そういうところを今まで以上に、強調していきたいと思っています。


――新潟の良さとして、しっかり守って速く攻めるというものがあると思うが。

ひとつの形だと思いますが、それだけが新潟らしさではなくて、そういった状況に置かれた場合に、そういうこともできる。新潟はもうベースにしっかりとありますから、今年はそこにプラスアルファというところに取り組んできました。正直、結果で出なかったのがすごく悔しいです。私もコーチングスタッフの一員としてずっと選手と、もちろん(吉田)監督と一緒にやってきましたが、結果が出なかったのがすごく悔しいです。

でも彼らは、少なくともそこを引き出しとして増やしたのは間違いないです。今おっしゃられた通り、その新潟らしさというところも、ベースになってくるのは間違いないと思います。


――今日のミーティングでは、選手にどういったことを話したのか。

「やるしかない」と。前を向いて、上を向いて、やっていこうと。そして、「今みんなに足りないものは自信だとか、そういうものだと思う。だから、その一歩を踏み出すための勇気を持とう」と。勇気を持って、今いるところから一歩を踏み出そうと。でも、一人で行くのは怖いですから、チームとしてつながって、いろいろな人とつながって、みんなで一歩を踏み出していく勇気を持ってやっていこうと話しました。


――その時の選手の表情や雰囲気はどのように感じたか。

僕の目からは、『届いたかな』と思います。みんなの目が元々死んでいるわけではないですから。誰一人あきらめていませんし、誰一人外れてどこかに行ってしまっている奴もいません。ここ(ミーティングルーム)で私が話をした時には、みんなもう目の色が変わっていました。その中でも、しっかり僕の言葉は入っていったのではないかと感じています。


――磐田戦まで残り一週間もない状況だが、その中で自分の色を出していきたいというのは、メンタル面のアプローチも考えているか。

先ほども言いましたが、自信を取り戻すことがすごく大事になってくると思います。私も外から来た人間ではないので、ずっとこのクラブにいますし、このチームの立ち上げからずっといます。そういう意味では、選手とのコミュニケーション自体はやりやすいですし、今までも取っていました。

ただ、立場が変われば選手のとらえ方も変わってくると思いますので、もう一度そういう意味で、選手とのコミュニケーションや会話は増やしていきたいです。一方通行にならないように、双方向の建設的な話をしていきたいと思います。

一週間という時間はないですけれども、先ほども申し上げたように、ゼロからのスタートではありません。今までやってきたことがしっかりベースにありますから、彼らの気持ちを戦う、前に向かせる、勇気を持たせてやることができれば、いいゲーム、いい結果はついてくるのではないかなと考えています。


――監督就任が決まった後に、吉田前監督とのやり取りはあったか。

連絡もしましたし、今朝LINEも返ってきました。もちろん、一番悔しいのは達磨さんなので、その思いを表現していかなければいけないとは思っています。ただ、そのためにというだけではありません。それを踏まえて、いい雰囲気を作っていきたいです。(吉田前監督からは)「応援してるよ」という言葉をいただきました。先ほども言いましたが、今年やってきたことが全然間違っているとは思わないですし、いいサッカーができています。それを結果として表して、今年一年がいい一年だったとみんなで話せるように、やっていきたいという思いはあります。


――今年の吉田前監督のサッカーは、ていねいにボールをつないでプレーしていくサッカーだったと思うが、大枠は崩さずに、自分の色を加えていこうという考えか。

先ほども言いましたが、ボールを大事に持つということは、ひとつの状況の中でのプレーにしかすぎません。もちろんそれも要求しますが、リトリートして守備をしっかりすることも要求しますし、すばやくゴールを奪うこと、つまりカウンター攻撃も要求します。これということではなくて、サッカーは水物なので、相手の状況、そのときの状況の中で一番いいものを彼らがチョイスできるようなアプローチはしていきたいです。


――残り4試合、厳しい相手との戦いが続いていくが、改めてどのような心がけでやっていきたいか。

4試合とは言いますが、とりあえずジュビロ戦を取らなければいけないというのが、大きな使命としてあります。他の3試合はまだ期間もありますから、それはそれとしてまた考えるとして(笑)、とりあえずジュビロ戦に今持っている彼らのパワーを120%出せるようなアプローチが大事だと考えています。

浦和戦以降の3試合は、またその時に考えて、今日できること、明日できることを一個ずつやっていきたいと考えています。


――先ほど、よりアグレッシブにという話があったが、J1残留を最大の使命として、改めてどういうチーム像を理想として掲げて突き進んでいきたいか。

理想は、ビッグスワンに4万人が入って、皆さんが選手を応援してくれている、応援されている。そこで一丸となって、ひとつになっていくのが理想です。その理想から、今何が足りないのか、なぜ4万人入らなかったのか。サポーターの方々からポジティブな応援をもっともっといただきたいときに、どうしたらいいのか、何をしていかなければいけないかを考えると、最初に戻りますが、新潟らしさに行き着くのかなと思います。

今年やってきたことが新潟らしさではないのではなく、今年やってきたことも新潟らしさの一部です。皆さんが頭の中でイメージされているのは、堅守速攻、最後まであきらめずに走り切る、泥臭くやる、球際で粘り強くやること。田村社長のお言葉を借りれば、試合が終わった時に、ユニフォームが汚れている方がアルビレックスだと。そういうことだと思います。もちろんそれもすごく大事なことなので、原点回帰ではないですが、そこにも帰りたいですし、そこからいろいろな歴史を踏んできて、歴代の監督さんも指導されています。そういったいろいろなものも積んでいかなければならない。

今は積んでいくというよりは、積んできたものをリスペクトしながら、原点回帰とは何なのかというところに立ち返ってみて、そこを強調していきたいと考えています。


――磐田戦に向けて、具体的にまずどこを修正しなければいけないと考えているか。

鹿島戦は、鹿島がいいプレーしたのかといえば、それだけではないと思います。ただ、結論は0-2。足りないところは、やっぱりゴール、シュートだと思っています。シュートを撃たなければ得点は入りませんから、シュートシーンを数多く作り出したい。相手のゴールに向かってプレーする人間の数を増やしていきたい。それが厚みのある攻撃になり、厚みのある守備になっていくと思うので、まずはゴールに向かうということ。プライオリティは、ゴールでありシュートであり、前に進むことであるということを、ジュビロ戦に向けては強調していきたいと考えています。


――ユースの監督も経験しているからこそ、J1に残る意義というのはどのように考えているか。

本当にJ1とJ2というのは別物だと感じています。もちろん経済面にしても運営面にしても、いろいろな規模が変わってくると思います。実際、私もJ1でプレーしたことがなくて、J2でしかプレーしたことがありません。やはり選手には、J1という日本のトップリーグでプレーしてほしいです。

日本のトップリーグでプレーする選手に、子どもたちは憧れると思います。新潟の子には、トップの選手に憧れてスクールに入り、ジュニアチームやU-15やU-18、そしてビッグスワンでプレーすることを夢に思ってプレーしている子どもたちがいます。日本のトップリーグでプレーをして、華々しい舞台でオレンジ色が埋まるということを夢見る子供たちがいっぱいいるということを考えると、絶対ここでプレーしなければいけません。

そこを夢見ている子供たちがたくさんいるということを、選手には分かってほしいですし、そういう目標となっていることも、彼らの使命だという思いがあります。是が非でもJ1のステージでプレーするということは、私自身強く思っていますし、選手も思ってくれていると思います。


――内田新コーチには、どういったところでサポートしてほしいと考えているか。

先ほどの会見でも、指導力という話にもなったと思いますが、それはこれから彼が身につけるものであって、彼には誰にも真似ができない経験があります。このクラブのDNAは彼の中には強くあります。苦しい中でも戦ってきた選手の一人ですから、やはりピッチの中と外の両面で、こういう状況での選手のあり方を、ぜひ伝えてほしいと思います。

指導力というのはそんなに関係なくて、想いがあれば伝わります。その想いを彼は持っているので、いろいろなところから今の状況の中で必要なものをどんどん伝えてほしいと思いますし、僕もそれを吸収したいと思います。そして、それを少しでもお互いにいいところを。私のいいところもありますし、彼自身にもある、選手もいいところがある。みんなのいいところがミックスできるような時間を作っていきたいと考えています。


――今日の練習でキャプテン、副キャプテンと話している場面があったが、彼らにはどういったことを伝えたのか。

「力を貸してほしい」と。この状況は僕一人ではどうしようもないので、みんなの力が必要だ、選手の力が必要だと。そのためにはキャプテンである裕紀や副キャプテンであるレオ、和成に、「君らのチームのまとめる力が必要だ。頼む、力を貸してくれ」と話しました。本当にこのお願いだけです。


――先ほど、選手たちの自信という話があった。今日の練習を見ていても監督自身が声を掛けることもあったが、今まで勝てなかったチームの雰囲気がどうだったかというところと、どういった雰囲気作りをしていきたいかを教えてほしい。

どうしてもネガティブなワードが出がちになりますが、極力そういうことではなくて、ポジティブに。相手がどうであるかという以前に、自分たちがこうあるべきだとか、そっちの方にベクトルが向くようにしていきたいです。自信を持てと言っても、なかなか簡単には自信は持てませんし、勝者のメンタリティなどというものは勝った方にしかないわけですから、それを今すぐ持たせるわけにはいきません。

ただ、ミスを恐れないようにすることは、トレーニングの中でもできていくかなと思います。もちろん、今日のトレーニング中にも言いました。ゲーム中、トレーニング中にもちろんミスはある。でもミスをいかにカバーしていくか、いかに少なくしていくかが、サッカーでは大事になってくると思うので、ミスを恐れずにチャレンジしてほしいと思っています。

僕はどんどん選手を褒めたいと思っています。僕らも、皆さんもそうだと思いますが、褒められたら嬉しいじゃないですか(笑)。選手は本当に純粋にサッカーが好きでやっていますから、そのサッカーをもっともっと好きになってもらうためには、楽しさが必要だと僕は思っています。厳しい状況ですが、その中でミスを恐れずチャレンジしていくこと。どんどん褒めていって、彼らがプレーしやすいように。そういうコントロールは定期的にやっていきたいと思います。

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