アルビの鼓動サンプル

【One Answer】~堀米悠斗インタビュー(1)~

希望に胸を高鳴らせて降り立った新天地で、これほど厳しく、苦しい戦いの日々が続くとは。それでも前を向き、進み続けた。その先に見つけたものとは。

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■感じたのは差と手応え

――堀米選手にとって、激動の2017年シーズンでした。率直な今の気持ちから聞かせてください。

「シーズンが終わって、報道などでも徐々にいろいろな選手の動きが見えてきて。“これがJ2に落ちることなんだな”と思うところもあります。だけどシーズンの終わり方として、自分たちにできる限りのことをやって、J1をああいう形で終えて、最後につかんだ手応えがある。それをみんな忘れずに、この意識レベルで、また来年のキャンプからやっていけば、1年でJ1に戻る目標は、十分に達成できると思っています。もちろん、楽観は少しもしていないですけど」

――メンバーの入れ替わりがあっても、最終節セレッソ戦のテンションそのまま、というのが本当に大事ですよね。そこに向かう1週間を含めて。

「今シーズンは、キャンプからなかなかチームとしての形が見えませんでした。シーズン前半、せめて中盤までに、もう少し勝ち点を稼いでおけば……。やっぱり開幕前のキャンプで、どれだけ自分たちの形をつくれるか。それがとても大事です」

――15位の広島とは、勝ち点6差でしたからね。

「本当にもったいない。2勝分だし、勝てたと思う試合は、もっとあった。だからこそ来年、キャンプに入る前にもう一度、今年の順位表を見なければならないし、試合を見返さないといけない。今の悔しい気持ちを、しっかりと2018年シーズンに持っていかなければならないです」
――移籍して左サイドバックのポジションをつかむきっかけとなったのが、第11節の(●1-6)浦和戦でした。堀米選手は後半途中からの出場で、その時点で大差が付いていました。
「その週のトレーニングはフチさん(片渕浩一郎コーチ)がやっていて、フチさんや臨時でコーチを務めたウチさん(内田潤U-15コーチ)とも話し合いながら準備を進めていました。その中で、“試合に出してあげたいけれど、レッズのサッカーを考えて守りは5バック、攻撃は4-4-2に戻す変則的なシステムで戦うので、今週はベンチスタートになる”と言われていて。その状況での途中出場でした。
自分が出たときは、もう試合は決まってしまったところはありました。だから開き直ったというか、思い切りやるだけだな、と。それができれば、その先のチーム内の競争意識を高められるとも思いました。
何より、サポーターのみなさんが辛いじゃないですか、ああいう試合になってしまって。だから応援してくれているみなさんに、せめて“少しは希望を持てる選手が出て来たな”と思ってもらいたかったし。そうすれば、また次に向かっていく力にもなる。
それと同時に、レッズとの差を痛感もしました」
――たとえば、どういう場面で?
「縦パスが入るときの質ですね。パスそのものはもちろん、前の選手の連動性がすごかった。フリックしたり、スルーしたり、ポジショニング、関係性がとても良くて、あの時点での自分たちの守備では到底止められないというのを感じました。
でも差を感じるばかりじゃなく、前からボールを奪いに行く自分の強さだったり、攻撃面では、十分通用するとも感じました。だから、ちょっとだけ自信にもなって。まだまだ通用しない部分と、可能性と、両方をしっかり感じ取ることができました」
■ボールを持ち、動かす
――堀米選手が浦和戦で感じた“差”を、チームとして、いかに埋めていくか。呂比須監督のもと、その作業に取り組みながらも、実際は思うように軌道に乗りませんでした。焦る気持ちもどんどん強まっていったのではないでしょうか。
「札幌に勝ったのはプラン通りと言えました(第12節〇1-0)。だからこそ、次の仙台戦がターニングポイントだったと思います(第13節●1-2)。先制したにも関わらず逆転されて。あそこで勝っていれば勢いに乗っていただろうし、勝てないまでも、ああいう負け方はダメージが残る。続けて勝って勝ちグセを付けたかったのに、逆に“点を取っても勝てないのか”という雰囲気が生まれてしまいました。仙台戦が終わった直後は、負けたけれど内容は悪くない、自分たちがやっていることは間違いないと思いました。ですが、そこから何試合か経ってみて、やはり今シーズンの流れをつくってしまったのは、あのときだったと思います」
――あの仙台戦は、それこそ先制するまではプラン通りだったように見えました。
「危ないシーンは何回かありましたけれど、ギリギリのところで守れていたし、カウンターもきれいにはまっていました。守りながらチアゴ(・ガリャルド)からホニ、ヤマ君、武蔵への配球もうまく行っていたし。前の4人でカウンターからシュートまで行けていたので、後ろとしては何とかそこにつなぐ守り方を心掛けていました。試合途中までは攻守がつながって、うまく機能していたと思います」
――その一方で、先制はしたもののズルズルと追いつかれ、最後は力が残っていなくて試合を引っ繰り返されてしまいました。試合が進むにつれて守備でスライドが間に合わなくなる、守備ブロックがスカスカになってしまうという、ここから続く悪いパターンが出たのが仙台戦でした。
「守備を保てないのはフィジカル的な理由もありました。でも、それは単純に体力的な問題というより、守り方に大きな負担があった。やっぱりもう少し自分たちでボールを持つ時間が増えないと、体力を消耗する一方ですし。
同時に、体力が残っていなくても寄せなきゃいけないところは寄せないといけない。それができなくて、相手にフリーでクロスを上げられたりパスを出されたり、そういう部分が甘かった。寄せるだけの体力があるのに、その判断ができなかった。思うようなサッカーができない要因はいろいろありました。でも、一番は自分たちがボールを持つ時間がとにかく短かったというのがあります」
――チームとしてのすり合わせ、共通意識ですね。
「そのときのビルドアップの仕方、ボールの回し方は、シーズン終盤と違いました。もちろん、メンバーも違いますが」
(つづく)
[プロフィール] 堀米悠斗(ほりごめ・ゆうと)1994年9月9日生まれ、北海道出身。小中高と札幌のアカデミーで育ち、2013年、トップチームに昇格した。14年はJ3の福島ユナイテッドに期限付き移籍。このシーズン、新しい環境でプレーすることでいかに成長できるかを学ぶ。15年、札幌に復帰すると豊富な運動量とクレバーなビルドアップができる左ウイングバックとしてコンスタントに出場。16年のJ1昇格に貢献した。17年、新潟に完全移籍で加入。168㎝、64㎏。DF、背番号27、利き足は左。