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2018.03.22スペシャル
【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第362回
 「白い八海山」

 J2第3節、新潟×京都。
 僕は今季初スワンだった。胸が高鳴る。青春18きっぷの旅だ。車窓から見た白い八海山が実に見事だった。青空と雪景色だ。春の光景だ。この日は午後から崩れるという天気予報だったけど、もう雪にはならない。季節は確実に一歩進んだ。

 早めに新潟駅に着いて、あ、そうか、駅南「いちばん」は日曜定休かと思う。時間があったので、(超久々!)ぷらっと本町商店街へ行って、あの市場みたいなところで「丼や いし井」のごはんセットを食べたのだ。旨かった。帰りに万代まで歩いたら、新潟日報社がメディアシップ1階でアルビの応援ディスプレーを実施していた。気持ちが上がる。躊躇(ちゅうちょ)なくフラッグに応援メッセージを書き込んだ。

 スワンに到着。Eゲート前広場で、大中祐二さんのトークイベントをやっていた。TVカメラが廻っていて、どうも大中さんは『ある!ある?アルビ!!!』(NCVケーブルテレビ)という番組を始めたらしい。時代は「大中さんのメディア化」だなぁ。仕事の幅が広がって、ファン、サポーターに資するところ大。トークイベントでは、注目選手として安田理大の名を挙げていた。「本当に巧い。パススピードの変化で試合がコントロールできるサイドバックは内田潤以来」と絶賛だった。で、爆笑したのはターレス評だ。

 「来たとき太ってて、ずっと身体を絞ってたんで、僕もあんまりどんな選手かわからないんです。練習見てるとシュートが枠を外すんですよ。すごいパワーだけど、力が入り過ぎてる。僕は3割で打てば入るって言ってるんです。2割じゃ止められる。3割だと入ります(笑)」(トークイベントより、大中さん)

 トークイベントの客席には紫ユニの京都サポの姿もあった。京都サンガと当たるのはいつ以来だろう。確か加藤久さんが監督されていた記憶がある。大歓迎だなぁ。今年は多くの懐かしい対戦相手と再会する。願いは一つ、いい試合がしたい。ビッグスワンに来てよかったと思ってもらいたい。

 試合。京都はレンゾ・ロペスを1トップに置いて「4-5-1」くらいの守備的な布陣だった。こちらは「4-4-2」なので(前節の松本山雅戦と同様)中盤の人数が1枚足りない。展開としては「新潟がポゼッションを握って攻め込み、京都がプレスをかけ『5』の位置で奪って前線へ送る」という構図だ。このパターンを今年は何度も見そうだ。

 状況としては「2人の意地っ張りな男」をイメージしてはどうだろう。お互い主張を譲らず平行線だ。どっちがより頑固かというような戦い。で、アルビ側の主張は何かというと、これはポゼッションだ。ステージがJ1かJ2かの違いはあれど、方向性は柳下正明監督(の後半)や吉田達磨監督時代と似ている。僕は3節見て、しまったこれは「ジュビロ黄金期の鈴木政一監督」をもっと研究しなきゃダメだぞという気になっている。想像よりはるかにポゼッション一本道を行くという構えだ。

 頑固を貫いてよかったのは、前半15分、CKから矢野貴章ヘッドで先制点が奪えたことだ。このCKに至った経緯に注目されたい。延々ポゼッション持って、パスをつないでいた。この「延々ポゼッションでつなぎまくり」が鈴木アルビを理解する糸口なんじゃないか。「横パス→横パス→横パス→勝負パス」のタイミングを探る感じと、「セカンド拾う→サイドチャンジ→横パス→横パス→勝負パス」のセカンド拾って攻め続ける感じと両方あるが、とにかく持ち続ける。相手に渡さない。CKをもらったのは「延々ポゼッションでつなぎまくり」に相手が焦れたタイミングだ。取りに来てパスが雑になった。それを安田理大が狙っていた。奪って持ち込んでシュート。これでCKがもらえた。

 が、その直後の失点がいくら何でも早過ぎた。同19分、こちらもセットプレーからやられる(得点者・染谷悠太)。「先制→あっさり追いつかれる」パターンが続いている。これじゃ試合が支配できない。リードしている時間が長くなれば、それが心理的な効果をもたらし、駆け引きの材料にもなる。すぐ追いつかれるとずーっといっぱいいっぱいだ。1対1で前半終了。

 後半は当然、追加点をめぐる攻防である。1点勝負だ。新潟は二の矢がないねぇ。頑固もいいんだけど、得点の匂いがしない。形を変えてきたのは京都のほうだった。前の人数を増やし、厚みをかけてきた。まぁ、バランスは保ったままだからそんなにガンガン来るわけじゃないけど、何度か決定的な形をつくられたと思う。新潟がしのげたのは京都の最終局面での雑さ(もう一段ていねいにやられたらヤバかった)と、アレックス負傷でスタメンに入ったGK大谷幸輝の奮闘だ。

 二の矢問題。チーム方針として「パスをつないで崩しにかかる」のは、別にいい。続けていくことで次第に呼吸が生まれ、チームが成長していくだろう。が、現状、点を取る形が見えない。いや、ざっくりした言い方になるけど「安田がクロス入れて貴章ヘッド」がいちばん可能性を感じる。膠着(こうちゃく)してきたらこれをばんばん繰り出すんじゃダメかなぁ。あと交代投入のターレスだけど、おさまるんですよ。おさまるから面白いんだけど、渋滞すると下がってきちゃう。ターレスは下がったら怖さがないでしょう。前線に身体の強いのがいるから相手は嫌なわけで。

 ちょっと尻すぼみ感のあるドローで決着したのだ。後半は決めるチャンスも、危ないピンチも両方あった。鳥屋野潟の天気は小雨がパラつく程度で大崩れしなかったが、とにかく風が強かった。皆、「試合も(観戦も)寒かった~」と口々に言う。まだ時間がかかりそうだ。上越線で見た南越後の雪景色を思った。あんな感じなのかな。いつか全部融けて豊富な水になって大地を潤す。皆が本当の春を待っている。花の便りを待っている。


附記1、と思ったらルヴァン杯、FC東京戦の味スタは5月の陽気でした。久保建英にやられましたね~。16歳9カ月10日は「Jリーグカップ史上最年少ゴール」ですか。これは土曜日、カズに決められたくないですね。中2日で16歳と51歳に決められたチームってことになっちゃうもんな。

2、しかし、京都戦から中2日が続きますね。久保くんショックに対し、知人サポの名言。「中2日で次の試合です。落ち込んでるヒマと洗濯しているヒマはありません」。夏場じゃなくてよかった~。

3、以前、スポーツ紙の人に「あははは、どうやって来たんですか? 大変ですね~」ぐらい言われたことがあって、あんまり青春18きっぷ移動のことは書きたくないんですけど、ホントに感動的な景色だったんですよねぇ。道中はコラムとエッセイ2本仕上げたり、宮部みゆき『絶対零度』(「オール讀物」11月号収録、杉村二郎シリーズの新作!)を読んだり、僕なりに充実した時間でしたよ。

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