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2018.05.24スペシャル
【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第371回
 「内弁慶vs外弁慶」

 J2第14節、千葉×新潟。
 午前中、『グッドモーニング・ポートシティ』(FM-PORT)、「アルビフリーク」9時台のサッカーコーナーに電話出演した。前日届いた進行台本を読むと、わりと僕に張本勲さん寄りというか、「喝!」みたいなことを言わせたがってる気配だったが、いやいや無理です無理です、僕なんかがラジオでダメ出ししたってなーんもいいことない。僕が番組で申し上げたのは「自分も含めてJ2舐めてた」という話だ。10年以上、J1張ってたんだからそりゃもう優勝できるとカンタンに考えてた。ここまで対戦してきて本当に好チームが多い。そして強い。13戦消化して5勝6敗2分(勝ち点17)の12位だ。この現実は認めざるを得ない。といって凹んでたってしょうがない。プレーオフ圏の6位・横浜FCまで勝ち点3差、19位水戸まで勝ち点2差という超ダンゴレースを一戦一戦勝ち抜くしかない。顔を上げて敵を見よう、戦局を見よう。と大意そのようなことだった。

 ジェフ千葉とは9年ぶりの対戦だった。得失点差で順位こそ違え、5勝6敗2分(勝ち点17)はアルビとぴったり同じ。勝ったほうが上へ行き負けたほうが沈む、実にわかりやすいマッチアップになった。興味深いことに両チームは極端な「内弁慶」(千葉のアウェー勝利は前節大宮戦のみ)と「外弁慶」(新潟のホーム勝利は6節徳島戦のみ)なのだそうだ。果たしてどっちの弁慶が勝つのか。ちなみに今節を終えるとJ2リーグ全日程の1/3を消化したことになる。両軍ともにうかうかはしていられない。

 ジェフは思い出深いクラブだ。市原臨海の頃、よく取材に行った。ベルデニックさんやオシムさんが監督の時代だ。フクアリもそうだけど、市原臨海も背景に煙突が見えて「工場萌え」っぽい気分に浸れる。いつもストーンズの『ファクトリーガール』を思い出していた。9年ぶりということは8シーズンもの長きに渡り、僕はジェフ千葉を生で見ていないことになる。

 もっともフクアリ自体はラグビーのNTTコムの試合を見に来たり、高校サッカー選手権の千葉県予選を見に来たりしている。専用スタというだけでなく、椅子がタテに積まれて本当に見やすい。そうだ、僕はここで聴くサポーターズ・チャントが好きだった。椅子がタテに積まれた効果と、屋根が覆いかぶさってる効果で、音の壁のようなものができる。すごい迫力になるのだ。ここで『アイシテルニイガタ』が聴きたい。純度100%の『アイシテルニイガタ』が聴きたい。

 試合。前半はきつかった。千葉は噂の「ハイライン&ハイプレス」を楽しみにしていたが、今はあまり極端なハイラインにはしないらしい。その代わり、積極的なプレッシングだった。アルビはターレスにあずけようとするが収まらない。セカンドボールをことごとく拾われた印象。ちょっとイライラが募った。前節大分戦からあまり変わっていない。パスは鈍行の各駅停車、そりゃ読まれて奪われるでしょう。再三、ピンチの場面を迎え、前半21分にはついに先制を許してしまう(得点者ラリベイ)。失点シーンを振り返るとクロスを入れられる前の段階で右SB・原輝綺の守備が軽かったな。

 で、この試合ね、記者席からベンチの鈴木政一監督が見えたんだ。僕はツァイスの単眼鏡(東独時代の製品!)を愛用していて、ベンチの半透明な屋根越しに監督の様子をウォッチした。僕の記憶では磐田時代もU代表監督時代も、ピッチサイドに立って大声で指示を出しておられた印象だ。それがアルビに来てからは基本的にベンチに座ってるでしょ。どんな感じなのかなと思って。

 そうしたら座ってらっしゃる位置はベンチのいちばん左端だった。真横に半透明の壁。アウェーベンチはメインスタンドから見て右側(アルビ応援席の側)だ。つまり、アルビが敵陣に攻め込んでるとき、監督は半透明のアクリル壁と金属の枠越しにしか戦況が見られない。これは大きな驚きだった。僕だったらストレスだなぁ。スタジアムによっては座席の前に金属の手すりがあったりしても(手すりは視界の一部しか邪魔してないんだけど)僕なんかもうそれがガマンならない。監督は気にならないのかなぁと思った。まぁ、前半は攻め込まれるシーンが多くて、自陣の様子は座ったまま(壁と関係なく)見られたんだけどね。

 0-1でハーフタイム入り。あれだけ攻められてよく1失点にとどまったとも言える。僕はFW登録の小川佳純、ターレスの2人心配だった。特に小川はコンディション的に本来じゃなかったでしょ。この日は30℃近い暑さで、後半は選手がバテるに決まっていた。「こりゃ後半きびしいかもなぁ」とつい口に出したら、記者席で隣りに座ってた元サカマガ、平澤大輔さんが「でも、ジェフもこのままもつかですよね」と言う。なるほど、それもそうだなぁ、この暑さだもんな。

 鈴木監督は後半アタマから小川→高木善朗、同8分にターレス→矢野貴章と続けざまに交代カードを切る。これが効果テキメンだった。高木は小川がやりたかったことをやってくれてる感じだった。チームをけん引し、流れを変える仕事。そして貴章がピッチに入ったことでアルビにリズムが生まれる。あずけても失わないから皆、貴章を見る。で、ふと気が付くと鈴木監督が席を立ってるんだ。いつ立ったのか、その瞬間を僕は見逃した。といってピッチサイドではない。ベンチのアクリル壁の外側に立っている。これは後半勝負ということでスイッチが入った状態か。

 アルビは一変した。前からプレスをかける。セカンドボールを拾う。足元→足元の各駅停車でなく、スペースへ急行列車のパスを出す。そこへ前目の選手が駆け込んで仕事をする。面白いもので平澤さんが予言した通り、千葉はいきなりガクッと運動量が落ちた。ハイプレスによるガス欠らしい。試合は完全にアルビペースだ。

 ここで輝いたのが大卒ルーキーの2人、渡邉新太と戸嶋祥郎だった。この2人が抜群の働きをする。アラタはバイタルエリアから右足を振り抜いた1点目、安田理大のクロスにヘッドで飛び込んだ2点目、どちらも躊躇(ちゅうちょ)なくマックスでやり切る良さが出ていた。結果を出し続けている。チームを救う新ヒーロー誕生だ。

 が、サチローもハンパない。「チームを活性化する」なんて常套句じゃ表現しきれない運動量だ。いっぺんボールの動きから離れて、サチローだけ目で追ってみてください。あり得ないくらい動いている。そして常に効いている。アラタとサチロー、ルヴァン杯戦でチャンスを掴んだヤングパワーがいきなり台頭してきた。こんな嬉しいことはない。

 試合終盤、アルビ応援席は『アイシテルニイガタ』を繰り出した。力強く高らかに。僕は感動したよ。選手もサポーターも全力で勝ち切ろうとしていた。今シーズンは後半尻つぼみになる試合が多かったけれど、この日は違う。逆転勝利だ。そして2点ともサポーターの真ん前のゴールに吸い込まれた。最高の勝ち方。『アイシテルニイガタ』はずっと途切れなかった。


附記1、ルヴァン杯は16日の横浜FM戦に敗れ、グループリーグ敗退が決まりました。だけど(本文でも触れましたが)新しい力を掘り起こせた有意義な戦いだったと思います。横浜FM戦もGK田口潤人選手がスーパーセーブ連発の大活躍でしたよ。古巣Fマリノスのサポが帰り道、大絶賛してました。

2、高木善朗に「違いが出せる選手」(サッカーライター、海江田哲朗さんの評)という感じが見えてきましたね。

3、千葉戦の夜遅くは、HSVが独ブンデスリーガ創設以来、55年目にして初の2部降格を決めるというつらい試合を見ました。酒井高徳主将も泣いてましたね。それから英プレミアリーグはスワンズ残れなかったなぁ。白鳥チームだから身びいきしてたんだけど。

4、アルビは「外弁慶」を直す必要があります。千葉戦のいい流れを次節山形戦につなげましょう。ホームで勝たなくちゃ地元が盛り上がりません。観客数も伸びません。僕はいつも思うんですけど、なぜかアウェーのほうがサポも熱いんですよ。人数はせいぜい何千人(場合によっちゃ何百人)だから比較にならないのに。何でなのかなぁ。次節山形戦は「えのチケ」(僕が生解説ってことになってるけど、もちろんそんな力はありません)って企画を実施するんですけど、狙いはホーム勝利です。熱を共有したいんです。とにかく盛り上がりましょう。

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