【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第382回

2018/8/9
 「どうしてホームで勝てないのだろう?」

 J2第26節、新潟×千葉。
 DAZN見逃し配信。東から西へと異例の「逆コース」をたどった台風12号の影響で、東京下町は隅田川花火が1日順延、新潟はフェーン現象で38.4℃(観測史上最高)の猛暑に見舞われた。鳥屋野潟は熱風が吹く異様な気象条件だったそうだ。ちょっと今回の台風は様相が違っている。

 もちろん暑さのなか、両軍タフな闘いを強いられることになった。気温のイメージは何年か前、甲府で体験した39℃近い猛暑を思わせた。あのときは呼吸が苦しかった。新潟は(盆地じゃないから)夕方になるとだいぶマシだと思うが、それでも選手はきつかっただろう。この試合はミスが散見され、まぁ、結果的にそれが試合の行方を決めてしまうのだが、気候の影響がなかったとは考えにくい。

 大づかみに試合の流れを言うと、前半7分、原輝綺のクリアミスを押し込まれて先に失点(得点者・船山貴之)、同9分に田中達也と矢野貴章の連携ですぐに追いつく(得点者・貴章!)。先週も書いたことだが、先に失点しても盛り返せるようになった。アルビは「4-4-2」の陣形を整え、千葉のハイプレスにもあわてない。ブロックをしっかり築いて奪ってカウンター、という流れは暑さを考えても理に適っている。「前半ガマン、後半勝負」というイメージだ。

 で、後半は押し込んだ。僕はここ数試合、勝ち負けとは関係なくアルビに良い点をつけているが、この試合も積極的に評価したい。悪くなかったんじゃないかな。何度も決定機をつかんだ。あれを決め切っていれば「やりたいサッカーで勝てた試合」として記憶に残ったと思うのだ。バー直撃、ポスト直撃、相手キーパーと1対1。それが魔物が憑いているように決まらない。真夏の怪談だ。

 後半39分、渡邊凌磨のパスミスから為田大貴に決められる。それが決勝点になってしまった。凌磨はそれまでよくやってたんだけどなぁ。本当に呪われてるとしか思えない。どうしてホームで勝てないのだろう。ずっと攻勢を続けながらほとんどワンチャンスでやられてしまった。サッカーは怖い。底なし沼に足をとられたような恐怖感だ。

 その恐怖感の正体は手短に言うと「J3降格圏」だ。これまでも皆、「しっかりしなきゃJ3に落ちるぞ」なんて試合後の居酒屋談義で口にしてきたと思う。が、それは単にしっかりしろと言ってるのであって、本心ではなかった。感じとしては「スイカの種を食べるとおへそから芽が出るぞ」みたいな話だ。本気でおへそから芽が出るとは思っていない。

 だけど千葉戦終わっての順位と勝ち点差を見よう。アルビは17位、勝ち点29だ。プレーオフ出場権ぎりぎりの6位山口が勝ち点42、降格圏の21位熊本が勝ち点23。誰の目にも降格圏のほうが近いのは明らかだろう。つまり、アルビレックス新潟は現時点でJ2残留争いに片足突っ込んでいる。これは数字が物語る現実だからごまかしようがない。「情けない」とか「プライドが許さない」とか情緒的なことを言っても始まらない。

 幸い現場は自分らでやるしかないと腹をくくっている。心配の種はあるけれど、おへそから芽が出ないよう達也や貴章が頑張ってくれている。選手個々の奮闘には常に見るべきものがある。そう思ってる僕は甘いだろうか。

 それにしてもだ。どうしてホームで勝てないのだろう。何年も持ち越してる疑問なのだ。僕は確かラストイヤーの柳下正明監督(当時)にも会見でこの質問を投げている。ヤンツーさんの答えは「勝てないのはホームだけじゃない」だった。まぁ、それはそれで納得するしかない戦績だったのだけど、疑問はやっぱり残った。

 吉田達磨監督、三浦文丈監督、呂比須ワグナー監督、鈴木政一監督。チーム成績は下降線をたどり、今、J2の17位はまさにどん底である。「勝てないのはホームだけじゃない」のは間違いない。会場がどこであれ、もう少し勝っていればこんな順位にはいない。

 それにしても特にホームに弱いのだ。僕の身近に京都サンガのサポがいないんだけど、夜を徹して語り合いたい。京都は3月17日の第4節・岐阜戦に2対1で勝利して以来、ホーム勝利がない。アルビに似ている。共通した問題点でもあるのだろうか。どうすれば脱却できるのか。これ以上、何かできることはないか。

 京都と「ホーム2勝目ダービー」を共同企画するのはどうだろう。どちらが先にホーム2勝目を飾るか。少々、自虐ネタかもしれないが、苦境を逆利用するアイデアだ。そうだなぁ、京都府も新潟県も酒どころだから、負けたほうが「祝 ホーム2勝」と熨斗(のし)をつけて酒2升を贈るのはどうだろう。もらったほうはスタジアムに展示して、みんなでブログやインスタに上げたりする。これは「2升ダービー」として語り草になるだろう。ぜひEゲート前広場あたりに「京都伏見の銘酒撮影スポット」を設けたいものだ。


附記1、強引に話を「2升ダービー」まで持っていったため、文章構成がデタラメになっています。まぁ、しょんぼりした話で終わりたくなかったからですが、「2升ダービー」は実現したら面白いですね。話題になり、かつ皆が「ホーム2勝目」にフォーカスし、最悪負けても「新潟酒のPRに一役買う」という大義名分が立ちます。お互い日本酒メーカーとタイアップして、宣伝ブースを出すような感じがいいでしょう。

2、磯村亮太選手の長崎完全移籍は度肝を抜かれました。「どうして主将が抜けていくのだろう?」は、今週のタイトルと並んで二大謎ですね。

3、本間至恩、岡本將成両選手のトップチーム昇格が発表されました。来季からの新加入という話です。おめでとう&よろしく頼みます!!


ユニフォームパートナー