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2018.08.30スペシャル
【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第385回
 「片渕監督就任」

 J2第29節、大宮×新潟。
 今になってみると興味深いのだが、試合後、監督会見で片渕浩一郎ヘッドコーチは「次の監督」に言及している。大中祐二さんの質問だった。スタメン5枚替え、ことに広瀬健太の右SB起用を念頭に置いてのものだったと思う。「これからも対戦相手によって起用の仕方を変えていきますか?」。

 「それは…、次の監督が決めることなので…。ただこの試合に関して言うと5枚替えしたのは(以下、戦術的な意図について具体的な説明。この話にはつながらないので省略させていただく)」

 大宮戦に1対2で敗れ、その翌日、熊本が岐阜に勝ったため、降格圏まで勝ち点差4(但し、ボトム2の京都、讃岐の試合数が1つ少ないためあくまで暫定)で迎えた8月第4週である。22日、聖籠の午前練習はミーティングで始められ、午後、「片渕浩一郎・新監督就任」がクラブから発表された。これは僕も全く想像していなかった。たぶん読者の多くがそうだったんじゃないかと思うが、しばらく固まってしまって仕事が手につかなかった。

 フリーズしてる間、頭のなかを駆け巡った色々の想念はSNSでサポーターがつぶやいてたのと大差ない。「新潟の状況を理解できること」「新潟のスタッフと一丸となり指揮が執れること」が条件だったら早々と片渕さん決定とすればよかったんじゃないか。「新しいことはしない」(片渕さん)のなら鈴木さんのままでよかったんじゃないか。アルビは大丈夫なんだろうか。報道によると片渕さんにオファーしたのは21日夜らしい。ものすごく追い込まれた感のある、不安なオペレーションだ。

 で、大宮戦の会見を思い出したのだ。あのとき、フチさん「次の監督」って言ってたなぁ。あの時点ではあくまで「つなぎの監督代行」として、2、3試合指揮する前提だったわけだ。僕はその「つなぎ」はどうなんだろうと思っていた。扱いとしてフチさんに申し訳ないし、残りの試合数を考えたら2試合宙ぶらりんの状態をつくるより、いきなり新監督のほうがいいだろう。カンフル剤的な、いわゆる「解任ブースト」を考えても、代行監督より新監督のほうがインパクト大だ。

 だけど、(あのとき気づかなかった)別のことも頭をよぎった。大中さんとフチさんのやりとりの意味だ。「これからも相手によって起用の仕方を変えていきますか?」「それは…、次の監督が決めることなので…」。フチさんの言いよどんだ部分を、僕は単に「代行監督の自分には何とも言えないところです」という意味に取ったんだけど、もし、片渕監督就任の流れを双方ともイメージしてたら面白いなと思う。これは「内定」を両者知ってて、すっとぼけてやりとりするケースだってあり得るし、記者がブラフで「今後も同じやり方ですか?」と質問を当て、反応を見るケースもあるし、全く偶然に意味深なやりとりになるケースもある。

で、なるほどと思った。物事の見え方があのときと今とじゃ変わってくるんだ。裏事情ばっかり憶測してもしょうがないから、大宮戦のフチさんは額面通り「つなぎの監督代行」として指揮を執ったと考えよう。栃木戦、大宮戦の采配は評価の分かれるところだ。まず、連敗である。これでチームは5連敗の泥沼だ。戦術的には「鈴木さんのサッカーとかわりばえしない」「鈴木さんの取り組みを台無しにしてしまった」という両方の声がある。

 僕は大宮戦のスタメン発表を見て、5人入れ替えはフチさんの意欲作だと考えた。次節・福岡戦からは「次の監督」だから、ここで思い切って自分の色を出して来たんだなと。注目ポイントは広瀬健太の右SBと、梶山陽平(&戸嶋祥郎)のボランチ起用である。広瀬はマテウスを抑える役割のようだ。原輝綺がアジア大会のため不在という関係もあるが、本職の川口尚紀じゃないんだなぁと思う。

 で、評価をしなきゃいけない。僕は広瀬SBはキャスティングの失敗だったと見る。こんなギャンブルは割に合わない。こんなリスクは取るべきじゃない。この試合、大宮にやられたわけじゃないのに負けた理由の一つは守備の穴だと思う。

 ポジティブな要素もあった。この日の主役は梶山陽平だ。この日はもう「梶山用兵」と言っていいくらい用兵の要を成していた。読者よ、このチーム状況のなかで、アルビは梶山を獲ったのだ。これに賭けるっていう意味だ。そして、もうひとつ大事なことは、チーム設計やり直しということだ。梶山を生かし切るということはそういうことだ。梶山を生かすためにチームを再構成する。サチローは梶山の露払いだ。大宮から獲ったカウエもおそらくそういうことだ。梶山が大黒柱になる。

 大宮戦の勝敗はとりあえず置いて考えた。そりゃ勝ちたい。勝って自信を取り戻したい。それは間違いないことだが、今日は「梶山用兵」だ。この最終兵器的なプロジェクトが無事走り出すかどうか。これがコケたら目も当てられないことになる。まず注目したのは梶山の状態だ。僕の知ってる梶山と今の梶山はどのくらい違う? 動けるか? スタミナはもつか?

 表面的な試合の流れとはぜんぜん別のところで、僕はチーム内の「対梶山」に注目した。最初は高木善朗の積極性が面白かった。考えたら梶山陽平、高木善朗はFC東京、東京Vの元10番だ。ここで「夢の競演」を果たすなんて一体、誰が予想した? そういえば小川佳純は名古屋の元10番だ(うちの10番はどうした?)。何か田中達也がいて矢野貴章がいて(安田理大がいて)、これって五稜郭っぽいな。

 で、梶山めちゃ上手い&収まる。ちょっと出色と言っていい存在だった。ケガをするとか、何か問題を抱えてるとかでなければチーム立て直しの決め手になるはずだ。スタメンデビューで、もはやチームの信頼を勝ち得ていた。レンタルだから来年はわからないが、今シーズンは「梶山用兵」で行くしかない。

 ただ大宮戦の段階で難しいのは「次の監督」というファクターだった。いくら「行くしかない」と言ってても「次の監督」が別のプランかもしれないじゃないか。時期的に考えて、梶山は鈴木さんの希望で獲ったのだと思う。それをフチさんが試運転して、例えば皆、足元でもらいたがって動きが足りない等の反省を生かせるかどうかは「次の監督」にかかっている。

 が、大宮戦のときは知り得なかったが「次の監督」はフチさんだったのだ。僕も知ったときは頭くらくらした。フチさんに丸投げか。他にいないのか。だけど決まったからにはやるしかない。チームの目標は「一つでも上の順位」と抑えた表現になったが、要はしっかりJ2残留戦線を生き残ることだ。やることはハッキリした。「梶山用兵」で勝負するしかない。

 言いたいことは山ほどある。アルビは「J3降格」よりある意味、深刻な「クラブ不信」の危機にさらされている。僕は公明正大なアルビをもう一度、取り戻したい。フチさんのアピールするように「一体感」を持ちたい。アルビはみんなの夢だった。アルビが夢でなかったらどうしてビッグスワンが満杯になるだろうか。


附記1、ピッチの選手もそうですけど、人は苦境のなかでどんなもん持ってるか如実にわかりますね。ここで頑張りましょう。

附記2、苦しいときに学ぶことがあります。組織を変えるチャンスかもしれないし、やり方を変えるチャンスかもしれない。僕は特にフロントの若い人にこの経験から学んでほしい。それは必ずクラブの将来につながります。

附記3、アジア大会は日程が詰まって大変そうですね。男子サッカーのベトナム戦は凡ミスから失点して、挽回できなかった。次は決勝トーナメント初戦、マレーシア戦ですか。原輝綺選手にこっちの心配はいらないぜって示したいですね。

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