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2018.09.06スペシャル
【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第386回
 「8月全敗」

 J2第30節、新潟×福岡。
 青春18きっぷ参戦。上越線の清水トンネルに入る前と出た後で見事に気候が違った。入る前の群馬県は炎天40℃近い猛暑、出た新潟県はいきなり曇天で湿度が高い。やがて信越線が新潟に近づくにつれ雨になって、鳥屋野潟はけっこう本降りだった。正式に監督就任して迎える片渕浩一郎氏の「初陣」である。監督自らの意向で試合前、ゴール裏へ向け直接スピーチ(「みんなでバンザイしようぜ!」)が行われた。

 フチさんはモチベーター型の監督さんだと思う。気持ちや局面のバトルを選手に求める。攻撃面では「前への推進力が足りない」と強調していた。この日のスタメンは左がSH田中達也、SB安田理大のベテラン2枚、右がSH渡邊凌磨、SB川口尚紀の若手2枚。今季初スタメン川口のオーバーラップするシーンが見たい。

 ボランチは新戦力のカウエと戸嶋祥郎。スタメン発表で僕が驚いたのはここだった。梶山陽平がスタメンどころかベンチ入りもしていない。聞けば梶山と小川佳純は体調不良で別メニュー調整だったそうだ。前節大宮戦で別格の存在感を発揮して、(先週の当コラムで)これはつまり残り試合を「梶山用兵」で拾っていくことになるだろうと見ていたわけだが、梶山のコンディションがそれを許さないらしい。確かに大宮戦の最後はきつそうではあった。梶山がどのくらい稼働できるかは重要ポイントだ。これがシーズン頭からだったら、少しずつ出場時間を増やしていくような考え方もできるが、もう30節だ。即戦力を即・戦力にしたいのだ。

 というわけで(プランBとして?)カウエ&サチローがどう機能するか注目することとなった。特にカウエがどんな選手か楽しみだ。今季、大宮で天皇杯2試合しか出場していないため試合勘の問題はありそうだが、梶山同様、レンタル移籍で獲ったということは、来季以降のことはともかく「即・戦力」にしたい考えだと思う。

 この試合は携帯ラジオにヘッドホンをつないで『FM PORTスポーツスペシャル REAL ALBI』(実況・立石勇生、解説・奥山達之)を聴きながら見た。特にDF出身で、長くフチさんの「同僚」でもあった奥山さんが現在の守備戦術をどう見ているか知りたかった。聖籠ではファーストディフェンダーの寄せが強調されたようだ。「前で奪ってショートカウンター」がファーストチョイスというイメージらしい。

 試合は前半14分の失点で暗転する(得点者・石津大介)。福岡は鈴木惇のフィードから新潟陣の右奥にドゥドゥを走らせ、マイナスの折り返しに石津がスライディングしながら蹴り込むゴール。解説の奥山さんは「富澤のマークだったんですけど結局走り負けてるので、自分の守備範囲を広くしないと、責任を取るというか。その時点で背後取られてしまったので、あそこがひとつ問題かなと」という指摘。僕は(ゴールラインを割るだろうとセルフジャッジした?)ソン・ジュフンが、ドゥドゥの折り返しを突っ立ったまま見送ったシーンにショックを受けた。2つ雑なプレーが続いてしまったのだ。

 チームはそこからガタガタになる。福岡の流動的かつ速い攻撃に全く対処できなくなる。ちょっとパニックだ。どんどん走り込まれる。「FWしっかりランニングしてくるので、それについていく、もしくはラインコントロールをしっかりしないことには簡単にやられてしまいます」「ファーストディフェンダーって言われていましたけど、もっと強く行かないと簡単にやられてしまうので」(奥山さん)

 まぁ、組織の完成度、練度の差と言ってしまえばそれまでだが、福岡が人数をかけ、動いたところに誰か入りながら走り込んでくる、その「圧」というか「推進力」に成す術なかった。皮肉にも「推進力」を発揮したのは福岡だったのだ。

 前半32分、ドゥドゥに追加点を決められる。「(パスを)出した選手がランニングするんですよね、福岡は。その選手をおろそかにするとこの状況になっちゃうんで」(奥山さん)。おろそかにすると言ってもハーフウエーラインくらいからパス交換して走られてるのだ。それに付ききれない。2失点してうつむくチームを矢野貴章が必死に鼓舞していた。雨が次第に強くなる。「流動的に動いてくるので、それ理解しないかぎりずっと続きますよね」(奥山さん)が前半終了の総括だった。

 このハーフタイム、すごいことが起きていた。ゴール裏がチャントをやめないのだ。「ガノワ」(オーオオオ…、さあ走り出せ、プライド・オブ・ニイガタ)が延々続く。いちばん雨が激しくなった時間帯だ。光景が白くかすむようだった。その雨に打たれながら「ガノワ」が続く。後半の頭、FM PORTの松村道子さんも言ってたが、僕もハーフタイムの間、チャントが途切れないというのは初めて目にした。

 が、そんなもんじゃなかったのだ。何と「ガノワ」はそのまま後半終了まで続けられた。1時間歌いっぱなしだ。みんな足に水ぶくれをつくったりして、限界まで頑張った。太鼓もよくぞもったと思う。あれが選手に届かないわけがない。あれ以上の意思表示はない。

 但し、試合はどうにもならなかった。後半は一転、堅守福岡(今季27失点)がかんぬきを掛けてきたのだ。攻撃は前線に任せて、後ろに人数を残した。完封勝利を狙っていた。ゴール前を固めて攻撃はカウンターだけ。アルビは何もできない。今季何度も見てきた繰り返しだ。サイド一辺倒。アバウトなクロスを跳ね返されるだけ。反撃するどころか、ロスタイムにダメ押しの3点目(得点者・松田力)を決められてしまう。0対3、ちょっとグウの音も出ない負けだ。

 これでアルビは通算6連敗、そして8月全敗に終わった。まさに最悪だ。あれで得点を取るにはクロスの精度を上げるか、セットプレーを磨くしかない。武器がない。敗戦のなかに収穫と呼べるものがあったとしたら、そのいちばんはカウエのプレーだろう。目配りができてすごく気が利くし、スペースの押さえ方もボールのさばきもセンスがある。もちろん梶山と並べたくなるが、梶山のコンディションを考慮して最適解を見つけていくしかない。

 最後にひとつ苦言。「サッカーの神様は、まだ勝たせてくれないのか。こいつら(選手)は頑張っているのに。結果に反映できない」。試合後、フチさんの口から発せられたという台詞だが、これはいただけない。熱血漢のフチさんの心情はわかるにせよ、こんなところで「神様」はいけない。みんなが不安になる。「神様」じゃなくて、まず人事を尽くそう。チームはやれることをやってない。できることまでできなくなっている。僕には富澤清太郎の反省の弁のほうが説得力あった。

 「1失点目は、対応していた選手が間に合っていると思ってしまったスキから。」しっかりついていかなければならないところでボールウォッチャー気味になり、もったいない失点。2失点目も、しっかり寄せることが大切だった。3失点目は自分に当たってコースが変わってしまったので反省している」
 「一歩を寄せ切れないのは、自信を失っていることが原因。自信があれば寄せ切って奪い切れる。悔しい結果だが、ひとつひとつしか積み上げられないので、やり続けるしかない。0コンマ何秒の遅れは精神的状況がそうさせている。それを理解して各々やっていかないと」(富澤清太郎コメント)


附記1、この試合の最高殊勲はゴール裏です。この日の「ガノワ」は絶対忘れないですよ。ありがとう。おつかれ様でした。このアクションがチームのメンタルに変化を起こすことを願っています。

附記2、前回のコラムで加藤大選手に触れたんですが、そうしたらその日の数時間後に左手骨折(全治6週間)のリリースがありました。失礼しました。一日も早い戦列復帰を祈ってます。

附記3、アジア大会男子サッカーは準決勝・UAE戦に勝利して、いよいよ決勝の日韓戦を残すのみですね。股関節を痛めたという原輝綺選手もスタメンでした。大丈夫なのかな? ここまで来たら金メダルを持ち帰ってほしいですね。

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