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2018.09.20スペシャル
【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第388回
 「ハルオスイングの夜」

 J2第32節、新潟×岐阜。
 5対0の大勝だ。僕は周囲の人と握手したりハイタッチしたりしてから、そっとコンコースを移動した。「ハルオスイング」(三波春夫の『世界の国からこんにちは』)が始まった頃はゴール裏の真後ろだ。そこでみんなの歓喜をしみじみ味わった。最高の気分だ。選手たちもサポーターも肩を組んで横に揺れている。みんな笑顔だ。この夜は久し振りのチャントをたくさん聴いた。なかでも「ハルオスイング」は圧巻だ。選手の横揺れの方向がズレていて、間になったムラーリャが(両方からひっぱられて)伸びる。それが何度見ても最高におかしい。やがて待ちに待ったバンザイ!

 3月25日の徳島戦以来、実に5ヶ月半ぶりのホーム勝利だった。長かった。この間、本当に様々なことがあった。あまりにもホームで勝てず、観客動員が減少し、J3降格危機にまで行き着いた。僕はこの週、沢山のサポーターと話す機会を持ったけれど、みんな大なり小なりダメージを抱えていた。トンネル生活が長過ぎて、ちょっと神経症気味になっている。サッカーから離れたい。サッカーと少し距離を置きたい。なのに試合になるといそいそ出かけてしまう。どうせ負けると思うから友達に声をかけなくなった。今まで見たことないくらいアルビは弱いetc。

 アライアンス2002の「サッカー談議場」という集まりに参加して、日光アイスバックスの現場の話をした。僕はホッケークラブの取締役になって以来、とにかく人に入っていくようにした。2000人キャパのアリーナだからできることだが、玄関口に立って、ファンの出迎えと見送りは欠かさないようにした。もう10年以上、取締役を退いても続けている。負け試合の後ほど見送りは大事だ。みんな僕に思いをぶつけてくる。何かぶつけないとやってられないし、「今日はまいったよ~」「はい、マジ悔しいです」と気持ちを共有することでお互い救われるようなところもある。

 で、岐阜戦の日、早目にスワンに到着したんで、アイスバックス方式を実地でやってみようと決めた。Nゲートの先行入場の待機列へ向かう。チャレンジしたのは「サポーターの入り待ち」、あるいは「応援の応援」だ。愛媛戦で引き分けて、この岐阜戦が運命の分かれ道だ。みんなの気持ちを上げたい。僕はアイスバックスの現場で10年以上続けているから、たった一人でも平気だ。手をぱんぱん叩いて、今日は勝ちますよ、勝ちましょう岐阜をやっつけましょう、上げていきましょう、がんばれ12番、がんばれがんばれ12番、と声をかけ続けた。

 昔は延々伸びていた先行入場の列もすっかり短くなって、僕が声をかけられたのはほんのわずかな人数だ。わずかだけど、あの12番たちは絶対戦ってくれた。だから「ハルオスイング」のときはこみ上げて来るものがあった。勝利は嬉しい。文句なく嬉しい。だけど、それ以上にね、切れかかったものがもう一度つながったんだ。それを見た。つながって揺れて、間のムラーリャが伸びているんだよ。みんな、「ハルオスイング」のなかでそれを感じたと思う。アルビが帰ってきた。サッカーが帰ってきた。

 そこに尽きまさぁねえ。何で伝法な江戸言葉になってるのか知らないが、尽きまさぁねえ。たった1試合。たった1勝。それで一切合切が変わるなんてムシのいいことは誰も考えちゃいない。この先も茨の道が待っている。てやんでい、あたりきしゃりきのこんこんちきよ、べらぼうめ、おととい来やがれってなもんだ。どん底まで落ちたら後は登り道だ。登り道が苦しいなんて5歳のボウズだって知ってらぁ。

 試合シーンが脳裏にフラッシュする。みんな持ち味が出せたなぁ。まぁ、何といっても殊勲の第一はハットトリックの河田篤秀だ。前半18分に右サイドを抜け出し戸嶋祥郎のクロスを流し込む。同35分には川口尚紀のクロスをヘッド。同42分には渡邊泰基のクロスにしっかり合わせる。何と前半だけでハットトリック達成! ハーフタイムはあちこちで「ハットトリック見たのいつ以来だろう?」という話になっていた。

※2013年10月27日湘南戦で川又堅碁が達成して以来のことらしい。また前半だけで達成となると2009年4月18日広島戦でペドロ・ジュニオールが記録して以来にさかのぼる。

 誰か一人というものでもないのだが、特筆しておきたいのは川口尚紀の復活だ。ガンガン前へ行って勝負する。縦への推進力。あるいは前へつなぐ。気持ちよかった。僕は尚紀の良さを信じて使った片渕浩一郎監督のファインプレーだと思う。

 後半6分には戸嶋祥郎に待望のプロ初ゴールが生まれた。サチローの献身性、運動量は既にアルビになくてはならないものだが、やっぱりゴールは格別だ。こういうみんなが忘れない試合に初ゴールを決めるというところがスター性じゃないだろうか。

 後半19分の小川佳純(交代出場)のダメ押しゴールは、パス交換から鮮やかに決めたもの。僕は「おー、巧ぇ!」と声を上げていた。5点の大量リードはサポーターを安心させる。もし1点リードで残り20分みたいなことならみんな時計が進まずハラハラしていただろう。5点リードは時計が気にならない。5ヶ月半のうっ憤を晴らすかのようにみんな大声で「蹴散らせ」や「新潟ワンダーランド」を歌った。

 5得点も嬉しいが、僕は2試合連続零封にも目を向けたい。そりゃ点が取れるに越したことはないが、残り試合のアルビがどこを頼りにするかといったら守りなんだと思う。守れるチームにならないとずるずる落ちていく。まだ「堅守復活」を掲げるのは早いが、こうやって一つ一つ結果を重ねて、自信を取り戻していきたい。

 岐阜は古橋亨梧の神戸移籍が大きかった。シーズン途中に中心選手が抜かれてしまうきつさはよく理解できる。どうにか長良川でやられた借りをスワンで返すことができた。先方から見ると守備崩壊、クラブワーストの9連敗だ。選手らがピッチで迷子になり、戦意を失っていく様は、大量失点で負けた日のアルビとそっくりだった。だから「岐阜相手だから勝てた」という考えに僕は与(くみ)しない。何しろアウェーでは負けてるわけで、勝敗は紙一重だ。ひとつボタンを掛け違えばうちがこてんぱんにやられていた。

 アルビは前進あるのみだ。一つ結果を出したら次の結果につなげていきたい。次節金沢戦もあくまで泥臭く、しぶとく戦おう。ようやく取り戻したスワンの一体感を絶対に失いたくない。フチさんもチームも頑張っている。12番も上げていこう。勝ちましょう、次は金沢やっつけましょう。がんばれがんばれ、ホームがんばれ!


附記1、僕の比じゃないくらい人のなかに入っていってるのが是永大輔・新専務取締役じゃないでしょうか。ツイッターのレスポンスが早く、直接サポーターに語りかける。また疑問に解答する。栃木SCの「えとみほ」さんを連想させますね。この試合ではビッグフラッグお広げ隊に参加されたようです。風が変わりましたね。

2、岐阜戦の試合前、札幌出身の堀米悠斗選手が発起人になって北海道胆振(いぶり)東部地震の支援募金が行われました。堀米、柳、原、坂井、ターレスの5選手が参加してくれました。僕はこの日、日光アイスバックスの創設20周年開幕試合をさぼってスワンにいたんですが、翌日の第2戦は日光霧降アリーナへすっ飛んでいって、募金箱持って被災者支援を呼びかけました。アイスホッケー選手は北海道出身者が多いから他人事じゃないんですよね。

3、札幌からヘイス選手が移籍加入ですね。去年の対戦でFKゴールを決められたのが印象深いです。僕は金土とその札幌へ行ってきます。液状化の清田区は立ち入り禁止みたいだから、元町のほうを歩いてみる予定です。節電の札幌から金沢戦勝利を祈っています。応援のほうたのみました!

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