【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第394回

2018/11/1
「J2残留確定」

 J2第38節、京都×新潟。
 この日は日光アイスバックス創設20周年記念OBマッチ&パーティーにかかりきりだった。特にOBマッチはCRT栃木放送・松井里恵アナと2人、出場選手インタビューをする役(本間勲引退試合で立石勇生さん、松村道子さんがやった感じ)で、なかなか大忙しだった。宇都宮グランドホテルのパーティー(県知事やスポンサーが顔を揃える)の終了が21時過ぎ、会場のかたづけをして22時過ぎ、セルジオ越後代表取締役とJR宇都宮駅にたどり着いたときはもうヘトヘトだ。やっと新幹線のなかで京都戦勝利を知った。

 余談だが、アイスバックスでは度々、是永大輔専務の話が出る。是永さんはアルビレックス新潟シンガポールの仕事を長くされていたが、その当時、アイスバックス取締役兼マネジメントディレクター、日置貴之とプライベートでも交流があったそうだ。僕は「是永さんさっそく動いてるよ」なんて話して聞かせている。世間は狭いなぁ。

 ところで、京都戦前の数日は「是永さん動いてるよ」案件で話題騒然だった。アルビレックス新潟シンガポールからGK野澤洋輔が完全移籍加入する旨、公式リリースされたのだ。実に11年ぶりの復帰だ。かつての勇姿を知るサポは歓声を上げた。若い世代は「リーダーシップに期待して? 戦力として? 広告塔の役割?」と目を丸くする。

 僕はあらゆる面でプラスしか感じない。彼なら百戦練磨、J2の厳しさも昇格の歓喜も知っている。明るいキャラはチームに好影響を与えるだろう。シンガポールリーグでは今季ベストイレブンに選ばれ、実戦の勘は鈍ってない。そして、クラブレジェンドの復帰はアルビにエネルギーをくれる。早川史哉は子どもの頃、野澤洋輔と一緒に撮った写真をツイッターに上げた。少年時代の「スーパーヒーロー」と一緒にやれるのだ。

 更にもちろん、スタジアムからいったん遠ざかっていたファン、サポーター層への訴求効果が期待できる。是永さんは「みんなで、一緒に! おとぎ話の第2章を!」と訴えている。懐かしいフレーズである。かつて反町康治さんが監督を退かれたとき、「新潟のおとぎ話の第1章が終わった」とコメントしたことを受けてのものだ。アルビが原点回帰して「おとぎ話」の熱気を取り戻そうとするとき、野澤洋輔というアイコンはわかりやすい。たぶん彼にしか出来ないことがあるはずだ。

 というわけで、京都戦前のムードは上々だった。僕も記念イベントの大仕事がなかったら、秋の京都へ飛んでいきたいところだった。夜、帰りの新幹線車中で確認したら2-0の完勝である。今週のアゲアゲムードのまま、勝ち切ったらしい。今頃はサポーターも久々の京都を満喫しているに違いない。あぁ、「いづう」の鯖寿司食いたいよ。

 帰京してその晩は泥のように眠り(一日じゅう立ちっぱなしで腰に来た)、翌朝起きてトーストとヨーグルトを食べながら動画再生する。おお、西京極だ。ずいぶん行ってないなぁ。おお、闘莉王だ。僕はいまだにうっかりすると「京都パープルサンガ」「名古屋グランパスエイト」と言いそうになるが、京都サンガFCだ。京都紫光クラブ由来の紫色だ。

 前半、アルビは風下だった。京都はロングボール作戦。前線の闘莉王(DF登録!)にボールを集めるわかりやすいサッカーだ。で、「わかりやすい」は「わからない」よりマシだが、だからといって対処が楽というもんでもない。大武&広瀬は奮戦に次ぐ奮戦である。全体にはやりにくそうだったなぁ。「風下で耐えた前半」くらいの表現になるのだろう。

 後半5分、セットプレーからカウエの先制ゴール! (相手も同じことを考えていたろうけど)こういう試合はセットプレーで点が取れると助かる。風上に立ったこともあり、これで精神的にはグッと優位に立った。現地の知人サポから「京都DFがボールウォッチャーになってて、夏までのアルビを思い出しました」とLINEが来ていた。確かに「失点の時間帯」も「フリーで打たれる」感じも思い当たるフシがある。まぁ、でもこっちが点取ったのに先方の失点具合いに感じ入ってるんだなぁ。いかに今季、苦しかったかという話だ。

 というといかにも「上から目線」もしくは「風上から目線」だけど、実は先制点取った後も苦戦が続いた。スコアだけ見て「アゲアゲムードのまま、勝ち切ったらしい」なんて思っていたけど、実際はかなり違う。セカンドボール拾えてなかったしなぁ。だから戸嶋祥郎のロスタイムゴールがあったかなかったかで結構見え方が変わると思った。

 そのサチローゴール、これはもう単独突破だ。自陣でボールを拾ってドリブルで持ち上がり、DFをかわして決め切った。サチロー本人が試合後、「ボールキープ」する選択もあったと「反省の弁」を述べているが、そうかなぁ、僕は決めに行ってよかったと思うけどなぁ。行っちゃいけないですか。

 この結果、アルビは(数字の上でも)J3落ちが完全になくなった。残り4戦は来季を見据え、ひとつでも順位を上げる戦いになる。片渕浩一郎監督の言っていた「最低限のミッション」は達成された。V字回復だ。その立て直しの手腕は賞賛に値する。人により見解が異なるところだろうけど、僕個人はフチさん続投を推したい。このサッカーを通しで見てみたい。


附記1、多分にネタだと思いますが、アルビの「カウエ」コールがよそのサポには「田植え」に聞こえるらしいです。いやぁ、そんな深い縁があるんじゃ大宮に帰せませんね。いっそ帰化して「田植施主郎(カウエ・セシリオ・ダ・シウバ)」じゃどうなのかなぁ。

2、是永さんはメディア露出をグッと増やしましたね。僕はradikoのエリアフリーで『ゆうなびラジオ』(BSNラジオ)と『GMPCサタデー』(FMポート)を聴きました。来季の大幅減益見通しにも言及してましたよ。マイナスの情報もちゃんと発信するのがいいですね。

3、新ユニホームが早くも発表されました。カッコいいですよ。僕が言うことじゃないけど、是非、前向きに購入を検討なさってください。それがクラブ経営の一助となります。 


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