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2018.11.22スペシャル
【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第397回
 「田中達也のいないアルビ」

 J2第41節、徳島×新潟。
 試合翌日、高松市内のスターバックスでこれを書いている。朝うどんは瓦町の「手打十段 うどんバカ一代」だった。昨夜は日ハムOBの大貝恭史さん(高松在住)と遅くまで昔話に花を咲かせた。だもんで、試合後はダッシュで高徳線の特急うずしおに乗ってしまった。徳島県滞在時間、たぶん4時間半くらいだ。

 そして今回の特徴は「徳島県滞在中、ほとんどずっと立ちっぱだった」点だと思う。試合中も記者席に座らず、メインスタンドのいちばん上段で立ち見していた。前夜、ACL決勝のペルセポリス×鹿島を生で見て、眠れなくなったのだ。鹿島アントラーズ、初のアジア王者おめでとう。アザディスタジアムの10万人のブブゼラは凄まじかった。そのまま寝損なってしまって、朝のLCC便で四国入りした。ポカスタへたどり着いたときはちょっと朦朧(もうろう)としていた。これは立ち見だなと決心する。20代の頃、映画の試写会で編み出したワザだ。どんなに睡眠不足でも立ち見していれば集中が切れない。今でも(仕事でへろへろのときなど)日光のアイスアリーナでよく立ち見をしている。

 そうでなくてもポカスタは春のようなポカポカ陽気だった(まさにポカスタ!)。前半、日差しを浴びて僕はTシャツ1枚になっていた。あれは気持ちよすぎてキケンだ。今シーズンは次節山口戦で終わりなんだけど、このままではダウンジャケットの出る幕がない。一瞬、今までのことは全部夢で、今日が開幕戦なんじゃないかと考えてみる。そうだったらどんなにいいだろう。が、どんなにポカポカでも今は晩秋なのだ。昨日、J1は川崎フロンターレが2連覇を決めた。かつて「シルバーコレクター」と揶揄された時代を乗り越え、栄光の歴史を築きつつある。あぁ、昔、J2で昇格争いのライバルだったんだけどなぁ。

 ポカスタも徳島ヴォルティスのホーム最終戦だった。彼らは現在6連敗中だ。一時は8連勝(!)と好調の波に乗ったが、シーズン終盤になって急降下。6連敗の原因はデータ上はっきりしていて、6試合で1得点という攻撃力だ。ポゼッションは握るけれど攻めきれない。9月10月、V字回復に転じたアルビとは好対照なのだ。

 アルビは前節・熊本戦の負けをポジティブなきっかけにしようとしていた。固定していたメンバーをついに変えてきた。CBにソン・ジュフン、左SBに安田理大、左SHに高木善朗、2トップの一角にターレスである。特にチームを牽引してきた田中達也の不在は大きな出来事だった。達也がいなければ誰かが達也の代わりをするしかない。前目のタレント、渡邉新太や戸嶋祥郎にハードワークしてもらおう。

 で、腕組みしてポカスタ最上段に立った。立ってよかったと思ったよ。ちょっとびっくりするほど単調な試合だったんだ。前半は様子見、後半はハーフコートの練習みたいな感じだ。特に後半は徳島がボールを持って一方的に攻める。アルビはひたすらクリアする。全体の6割7割はそれを繰り返してたんじゃないか。専守防衛だ。何でこんなことやってるんだろう。新潟応援席の誰もこんな試合を見るためにはるばる鳴門まで来たんじゃないと思うけど。

 セカンドボールがまったく拾えない。といって(ピーター・ウタカのポスト直撃弾などあったものの)何となく徳島も点が取れそうにない。ワイドに開いてるせいで、パスがずれてくれる。フチさんのサッカーは身体を張る意識づけが強いから、最後の最後でアルビが頑張る。こっちも点が取れないけど、向こうも同様だ。サッカーは難しいなぁ。V字回復の上向きアルビがこんなに変貌するんだなぁ。

 ずっと考えていたのは「これ、どうやったらセカンドを回収できるんだろう」だ。セカンドを拾えない限り、ずっと敵の波状攻撃が続いてしまう。どうやったらの答えは複数存在すると思うのだが、ひとつの回答は「田中達也」だ。出てない選手のことを言って申し訳ないけど、達也が追い回せばその分、相手のパスが窮屈になって、どこかでセカンドが拾える。

 それからセカンドを拾った後の展開も「田中達也」なのだ。動いて受ける。パスコースを作り、ボールを引き出す。あるいはおとりになって、別の誰かのパスコースを作る。前線を活性化する。チームがアクチュアルに動き出す最初のスイッチなのだ。残念ながら田中達也の代わりに「田中達也」をやれる選手がまだ見つからない。

 はね返してるだけでカウンターの気配もないし、これは勝つとしたら唯一、セットプレーかなと思った。で、ついにメンバー入りしたヘイスのことを考える。昨年、札幌戦で食らったフリーキックが忘れられない。あんなの持ってる選手なんだ。これはワンチャン、ヘイスに賭けてみる手もあるんじゃないか。

 そうしたらソン・ジュフンが痛んで、3枚目の交代カードを柳育崇INに使ってしまった。これはもう不可抗力だ。ていうか、せっかく出てきたのにジュフンはアンラッキーすぎる。つまり、何も起こらない試合になってしまった。起きるとしたらこっちのゴールを割られるだけだから、何も起きるな何も起きるなとスタンド最上段から念じていた。残念ながら「塩試合」のスコアレスドロー。

 試合後、順位表と試合結果をにらみつつ、感心したのだ。(アルビ自体は昇格も降格もない「無風状態」だが)何とJ2最終節を残して上位4チームに優勝と昇格の可能性が残り、その上、降格のクラブも決定していないという「奇跡」が起きている。どうやったらこんな出来過ぎのドラマが成り立つんだろう。すべては最終節のたった一日、「ディス・イズ・ザ・デイ」で決するのだ。サッカーは美しく残酷で、人を魅了して止まない。


附記1、本稿執筆中、素晴らしいニュースが飛び込んで来ました。「早川史哉・契約凍結解除」です。僕は高松のスタバで「よっしゃ~!」とガッツポーズですよ。おかえりなさい、早川史哉選手! 大したもんだなぁ。すごいことをやってのけた!

2、フミヤとは来月9日、北書店でトークイベントです。詳細は「えのきど、北書店 2018」で検索してください。今回は即・完売しそうだから告知は今週だけにしますね。

3、片渕浩一郎監督の来季留任が決まりましたね。フチさん、アルビをよろしくお願いします。ところで僕は長年の野球ファンでもあるんですが、なるべくサッカーの監督さんに対して「続投」という表現は使わないようにしています。サッカーなのに野球用語を使うちぐはぐさもありますが、それ以上に「続投」っていう言葉のニュアンスです。野球の試合で「続投」というと、投手に疲れが見えて、相手打線に掴まりだし、どうしようかなぁもう無理かなぁ、交代させたほうがいいかなぁ、という気配がしてきたところで敢えて「続投」、というニュアンスだったりします。「このイニングだけ」とか「この右打者だけ」みたいな限定的、かつ消極的なイメージもある。たぶん政治記事(「〇〇首相続投」)から来た表現だと思うんですけど、あんまりうまくないと思うんですよね。フチさんが疲れを見せているわけじゃないでしょう。

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