柳下正明監督 2014シーズン総括会見

2014/12/11
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いつもアルビレックス新潟に温かいご声援をいただきまして、誠にありがとうございます。アルビレックス新潟は本日12月11日(木)、デンカビッグスワンスタジアムで柳下正明監督の2014シーズン総括会見を実施しました。

柳下監督は冒頭、2014シーズンについて総括。以後は報道各社の質問に対して、ひとつひとつ丁寧に答えていました。柳下監督の挨拶、また報道各社との質疑応答について全文を以下にご紹介させていただきます。


【柳下正明監督 挨拶・シーズン総括】
こんにちは。まず、今シーズンをスタートする時にひとつACL出場権を獲得するという目標を持ってスタートしました。残念ながら12位ということで、目標達成ができませんでした。この結果に関しては、サポーター、スポンサーの方々にお詫びしなければいけないと思っています。

もうひとつ。昨年と同じサッカーではACL出場権を獲得するのは難しいだろうと、攻撃のところで少し自分たちでボールを保持しながら、意図的にボールを動かして相手を崩してフィニッシュまで持っていく。お互いの距離感を今までよりも近づけてサッカーをしていこうと。それをトライしていきました。

シーズンでは12節、中断くらいまで、負けはしなかったけれど勝ち切れなかった点に関しては、選手たちが今言ったことを逆に意識しすぎて、もともと持っていた速い攻撃やタテへの攻撃が少し薄れたのかなという感じはします。ただ、やっていくうちに90分でもいい距離感でプレーをして崩しているシーンが見られたので、選手たちには「このまま続けていこう」と伝えてやってきました。

中断以降、残り10試合くらいになってから、特に距離感も良くて、自分たちで主導権を握ってゲームを進めていくことが本当にできるようになった。ただ、毎試合言っていたんですが、一番大事なフィニッシュ、ゴールを奪う、決め切ることができなかった。そのために、内容は良くても結果がついてこなかった。そこでスタジアムまで足を運んで応援してくれたサポーターの人たちは、ちょっとストレスが溜まったんじゃないかと思います。

今シーズン、そういう流れでしたが、内容的には自分たちが主導権を握ってできるようになっている。来シーズンに向けては、やるべきことはすごく明確になっている。そこをしっかり突き詰めてやっていこうと思っています。


【以下は質疑応答】
――今シーズン、やりたいことが形になったと感じるベストゲームを挙げると。

ひとつではなくて、先ほど言ったように残りの川崎あるいは鹿島、FC東京。そのあたりは非常に手応えを感じましたね。その3チームは自分たちでしっかり組み立ててフィニッシュまで持っていけるチームなので、その相手に対して新潟の方が主導権を握っていたと感じていました。その3試合は非常に良かったと思います。


――崩しながらフィニッシュを決め切れなかったが、その課題は来季精度を高めていけば解決できることか。それとも別の方法があると感じるか。

フィニッシュ、シュートで終わるプレーは昨年とあまり変わらないかもしれないけれど、そのバリエーションが非常に増えていると思っています。ひとつは新潟の特徴であるショートカウンター、カウンター、速い攻撃。あとはクロスからもチャンスを作っているし、中央からの崩しも見られる。外からペナルティエリアを侵入して崩す。

そういう形も見られているので、崩すということに関しては非常に選手たちに身についていると。ですから、最後のゴールネットを揺らす、シュートの精度を上げる。あとはよく言っているのですが、シュートの際の落ち着きを持たせることが必要だと思っています。

その落ち着きを持たせるために、選手に自信を持たせるということ。シンプルですが、とにかくシュートを色々な所から撃たせて、その選手の得意なシュートレンジを見つけさせたいなと思っています。そうしたら、ゲームの中でそういうポジションでのシュートの精度が上がるのではないかと思っています。いくつかトライをしていきます。


――連勝がなかなかできなかったが、その点をどう感じていたか。

それは昨年も見られたんですが、シーズン初めぐらいはやっぱりパフォーマンスが、特にホームとアウェイでは少し違うなと感じていました。特に上位チームとやって白星を得ると、『あ、自分たちはできるんだな』とちょっと満足しているようなところも見られていたんですよね。

ですが、中盤以降、本当にサッカー的なことが成長していくにつれて、そういったメンタル的な油断がまったく見られなくなっていった。内容もホームでもアウェイでも変わらないし、先ほどから言っている最後のところのシュートを入れるか入れないかで、勝つか負けるかが決まるというところだったんですよね。それが何かと言われると、ちょっと分からないところがあるんですが、最終的にはホームでもアウェイでもゴールを入れることを改善しなければいけないと思います。


――今シーズン戦っている中で、『これは残留争いに巻き込まれるかもしれない』と危機感を持った時期はあったか。

それはなかったですね。それよりも、『上位に行きたいけどいけないな』と。どうしたらと言うよりも、『あそこまで崩しているのに何で入らないんだろう』というような悩みというか。スタッフとも話して「どうしたらいい?」と。そういうことが多かったですね。


――その過程で「こうすればいい」ということを見つけられて、今シーズンを終えられたか。

そのゴールをするというところに関しては、結局できなかったですよね。でも、グループで、あるいはチームで崩してフィニッシュまで行く形はできている。そんなにやっていて不安なことはなかったですけれどね。


――フェアプレー賞を受賞することができたというのは非常に価値のあることだと思うが、その点は。

(フェアプレーを受賞することは)全然分からなかったんです。結構ファウルもしているし、イエローももらっているなという感じだったので。とにかく「ボールを奪いに行け」とこちらからは言っていて、選手たちも積極的に相手のボールをブロックしに行っていたので、そこでファウルをしてイエローをもらうのであれば、それは仕方がないなと。常にトレーニングから言っていましたが、そういうプレーをしながらも、フェアプレー賞をもらえたというのは、すごく価値があるなと思っています。


――今シーズンはチームを離れる選手、新たに加わった選手がいたが、加わった選手たちがもたらした効果、離れた選手たちによる影響がチームにあったか?

シーズン当初、新しく入った選手たちは、特徴をしっかり見極めて取っていました。新潟のサッカーに十分機能すると思っていた選手たちだったので、実際一年やってみて、期待通りのプレーをしてくれたと思います。ほとんどの選手はゲームに絡んで成長していってくれている。それぞれの選手の特徴を、実際のゲームで出せるようになってきている。ただ、まだ若い選手が多いので、もっともっとメンタル的にもフィジカル的にも成長できるので、今シーズンよりも来シーズンの方がいいプレーができると思っています。

途中から入ってきた3人ですか、夏場以降に。彼ら3人は実際に入ってきた時にフィジカル的なものが落ちていた。山本康裕はよく知っているんですが、彼でも落ちていて、指宿、ラファエルも、思ったよりコンディションが悪かった。コンディションを戻すのに、1カ月半あるいは2カ月かかってしまいました。だから、本当に最後の10試合くらいで、彼らのコンディションが上がって試合に絡むようになって、チームも機能し始めた。

途中から入ってきた3選手は、非常に新潟のサッカーの戦術を理解して、スムーズにチームに入っていけたので、コンビネーションがシーズン当初よりもアップしたと考えています。ただ、ラファエル選手は、ケガのために、彼が持っているものは残念ながら出し切れていないと感じているので、彼らも来シーズンの方がいいプレーをすると期待しています。

キム・ジンスが抜けたのは、正直一番痛かったですね。現代のサッカーで、やっぱりサイドバックというのがひとつのポイントで、攻撃の起点になる場所であるし、そこからのいいパスからいい攻撃ができる。もちろんアップダウンもできる。その彼が抜けたのは正直。そこを誰が適応できるかを探すのに、実際一番時間はかかりました。

川又は昨シーズン非常にいい働きをしたし、得点も取りました。今シーズンは少し周りとのコンビネーションという点に関しては、シーズン当初から遅れたのかなと感じました。夏、中断期間中も正直あまり変わっていないなと。それよりも周りの選手が、コンビネーションがアップしていて、非常にグループ、チームとして機能し始めていました。他の選手と入れ替わっても仕方がないなとは見ていました。


――今シーズン、監督から見て成長が著しかった選手を挙げるとすると。

チーム全体としてのサッカーの質は昨年よりも上がっているので、それぞれが成長はしています。レオでも成長している。技術的なキック、シュート、そういったものが成長しているんですが、伸び率で言えば、若い松原健であったり小泉慶。最後に川口が昨年よりもいいプレーができるようになった。数試合ですけれども。

彼らは自分の持っている物を、自信を持ってグラウンドで表現できるようになったのではないかなと思っています。もちろんまだ足りないところもありますが、まず怖がらずにプレーできるのは、これからも伸びる要素だと思っているので。川口もそのあたりはメンタル的に昨年よりも強くなっているので、また来年いいプレーを期待できると思います。


――それぞれがサイドバックの選手だが、先ほどのキム・ジンスがいなくなったことで、監督がふさわしい選手を探したことにもつながるか。

本当は川口もたぶん右がいいと思うし、小泉もボランチが一番いいプレーをするだろうということは分かっているんですけれど。まだ若いので色々なポジションを経験して、自分自身を大きく成長させたいと、いま違ったポジションをやらせています。あとひとり、守田は全試合に出場してフルタイム出場しました。シーズン初めはもっと安定するのに時間がかかるだろうと思っていましたが、意外と早く落ち着きを持ち、自信を持ってプレーができるようになっているので、彼もやはり成長度は大きいんじゃないかと思います。


――ベストイレブンに輝いたレオシルバ選手のすごさと、先ほど話のあった小泉選手の良さを改めて。

レオシルバはみんなもご存じの通り、相手のボールを奪うという能力はすごいですよね。それが、よく見ると後ろから追いかけて取るというのが上手いんですね。一度はかわされるかもしれないが、その後にすぐリカバーして奪う。これはなかなかできる選手はいないので、そこはJでも一番じゃないかなと思います。

たくさんあるのですが、去年来た時は、キックは上手くはなかったんですね。ただ、徐々に、今シーズンもまだまだ成長している。そのキックの精度が上がったことによって、シュートの精度も上がってきて、得点力も付いている。28歳、29歳になるけれども、技術的なものが進歩しているのはすごいと思っています。

小泉の一番の良さはグラウンドに出たら絶対に負けないという気持ちを、プレーに出せる。ボール際に行けるし、レオと同じようにかわされてもまた必死になって追いついてアタックに行ける。そこがまずひとつ。攻撃に関しては、ボールを持った時に、自分でボールを運べる。自分で持ち上がることができる。そこが大きな特徴だと思っています。


――来シーズンやることが明確になったという話だったが、それは決定力ということか。もし他にもあれば。

それはゴールを奪うための精度を上げるところです。最後のフィニッシュですよね。もちろん今シーズンやったサッカーを対戦相手は分析して、守備をまた変えてくるだろうと思います。今シーズン見るかぎり、そのあたり対応はできるかなと考えていますので、シュート精度を上げることが一番の改善点だと思います。あとは流れの中でいくつかトライしたいことはありますが、やってみて「ちょっと無理だな」と思ったらやめようとも思っています(笑)。


――守田選手の話もあったが、今季は失点数も抑えることができた。DFラインの評価については。

全体として、被シュート数も昨年とそんなに変わらないと思う。もしかしたら撃たれているのが多いんじゃないかなと思うんですが、実際のシュート数はそんなに多くない。なぜかと言うと、シュートを撃たれる時に体や足でブロックできている。そういった最後の最後のところで体を張れるようになったのが、ひとつ成長だと思います。ブロックできるのは、相手に対していい距離感で対応しているわけだから。ゴール前でもいいポジションを取れるようになっているということです。

あとはビルドアップのところで落ち着いて、一番大事なところで落ち着いて動かすことができるので、中盤あるいはサイドバックに渡ってもそんなにプレッシャーがかからず、ボールを運ぶことができていると思います。


――1年目は途中からだったが、監督が指揮を執って今季で3年目。チームの伸びをどう感じているか。

ひとつメンタル的に大人というか、落ち着きが出てきているなと。その落ち着き、あわてないことが、実際のゲームの中でイージーミスが減ってきていることにつながっていると思うんですね。

そこは口では言えるけれどもなかなか難しいところで、経験を積めば直るかということでもない。それぞれがプレーを自信を持ってやれるようになったからじゃないかと思います。(最後の部分でもその落ち着きを出してほしい?)そうですね、本当にその通りです(笑)。


――今季は終わったばかりだが、来季の目標があれば。

もう少しじっくり考えてやりますが、サッカーにおいての目的であるゴールを奪うことを、どうやったら改善できるか、どうやったら選手ひとりひとりが成長できるかを、このオフじっくりと考えたいと思っています。


――来季に向けて戦力をアップするために補強も考えていると思うが、どういった選手を。

今シーズン一緒に戦ってくれた選手たちが、残るか残らないかというところもあるので。(残りそうですか?)残ってくれると思います。それによって補強するポジションもまた変わってくるだろうし。

得点を取れる選手が欲しいけれども、実際ラファエル選手はすごく能力が高いと思う。ただ、先ほども言ったようにコンディションは実はまだ戻ってきていない。それが戻ればもっともっと得点力はアップすると思うし、指宿に関してもまだ本当のコンディション、こちらから見ると能力を発揮できていないと思うので。今いる選手たちが成長することが期待できるので、それだけでも得点力はアップすると思っています。

もちろん今のままでいいとは考えていないので、足りないポジションの補強ということに関して、いま強化部と話し合っています。


――最終節は雪のためカシマスタジアムで戦った。天候のことなので来季以降もあり得る。それについて監督の考えは。

来季は2シーズン制になるので、すべてのゲームが終わるのは11月中に終わってしまうんですね。それ以降、クライマックスシリーズでしたっけ?それが入ってきて、もしそれに絡むことになれば、またこういう雪で延期になる可能性は出てくると思います。

ホームでやるのが一番いいのですが、今年こういうことが起こったら、12月に入ったら色々な代わりになるスタジアムを考える必要はあるかなと思います。


――2シーズン制で日程も変わってくると思うが、意識すること。今季はACL出場権獲得を目標としたが、来季具体的に決めていることがあれば。

まず目標はまだ決まっていないです。なぜかと言うと、先ほど言ったように選手が残ってくれるのかどうかもあるので。

日程的には先ほど言ったように11月で終わってしまうので、今シーズンよりも休む期間は短くなるんですよね。試合数は変わらない。ですから、逆に言えばやりやすいと思っています。昨年、一昨年もフィジカルコーチと話をして、どうやって持っていくかは分かっているし、実際シーズン最後でもフィジカル的なものは全然落ちていない。私自身は特別変える必要はないなと思っています。1stステージから2ndステージに行くのに1週か2週しか空いていないので、2、3日休んでまたスタートできるから問題はないですよね。


――4シーズン目に入るが、ここまで新潟の指揮を執ってきて、一番のやりがい、面白さは。

もともと持っている新潟のスタイルと、自分が考えていたサッカーと、非常に近いところがある。それに「いま選手を見ていてこういうことができるかな」ということをプラスさせながらチームを作っている。それに反応できている、対応できているので、すごく毎日が楽しいですよ。先ほど言ったように、レオのように30歳近い選手でも変化できるのはなかなかないんですけれど、そういうことが他の日本人でも見られるので。

だから中学生を見ているような、毎日変化があるので楽しいですよ。それに、簡単に思ったようにできないところも、難しさは感じながら楽しんでいます。一番はゴールですけれどね(笑)。


――来シーズンに向けて、サポーターへのメッセージを。

やっぱりスタジアムで見ていて、サッカーはゴールをするシーン、あるいはゴール前での攻防が一番面白いだろうし、興奮するだろうし。そういうプレーをもっともっとたくさん見せたいと思っています。そして、新潟がゴールをたくさんするところを、来シーズンは見せていきたいと思っています。ありがとうございました。


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