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アカデミー&メソッド部門:フェラン・シビラ氏(IFKヨーデボリアシスタントコーチ、メソッド部門ダイレクター)を迎えてのテクニカルディスカッション(トークメイド)

2021/8/17

729日(木)に、2019年から2021年までIFKヨーデボリ(スウェーデン)でトップチームアシスタントコーチ、メソッド部門ダイレクターを務めていたフェラン・シビラ氏を特別ゲストとして招いて、テクニカルディスカッションを行いました。

フェラン氏はエコノメソッドのコーチとして、JFAアカデミー福島でもメソッド部門ダイレクターを務めました。その後、2017年からはメソッド部門ダイレクターとトップチームのアシスタントコーチを兼務しました。

フェラン氏は、久保建英選手(RCDマジョルカ)に指導しただけでなく、ハムシュク選手(スロバキア代表)などエリートと呼ばれる選手達への指導経験が豊富です。

テクニカルディスカッションには、アカデミースタッフ、スクールスタッフ、トップチームスタッフも参加しました。また、アルビレックス新潟レディースと開志国際高等学校サッカー部の大久保悟監督にもご参加いただきました。

テクニカルディスカッションで話したテーマは「IFKヨーデボリのゲームモデル:ポジティブトランジションに関するコンセプト」です。IFKヨーデボリで使用されているゲームモデルの一部を紹介していただき、映像を通して全員で分析やディスカッション等も行いました。

2020年のトップチームの映像を用いて、チームで行っているコンセプトの説明をいただきました。IFKヨーデボリは、2020年にはスウェーデンの国王杯で優勝を果たしました。

テクニカルディスカッションの最後には質疑応答を行いました。ディスカッションの中で出た質疑応答の内容を紹介します。

(内田潤アカデミーダイレクター兼U-15監督)つくり上げたゲームモデルはトップチームだけのものでしょうか。それとも、クラブ全体のものですか?
(フェラン氏)IFKヨーデボリのゲームモデルは、クラブ全体でつくり上げました。アカデミースタッフやトップチームスタッフがつくり上げたゲームモデルを必要なときに確認でき、トレーニングのコンセプト等もそこから組み立てられています。


(内田潤アカデミーダイレクター兼U-15監督)ゲームモデルについて話すディスカッションでは、アカデミースタッフとトップチームスタッフも同席しますか?
(フェラン氏)はい。常に最低でも1人は各セクションのスタッフが参加する形を取っています。


(内田潤アカデミーダイレクター兼U-15監督)ディスカッションの中で反対意見等が出た場合には、どのように全体を合意の方向に持っていきますか?
(フェラン氏)意見が合わないことはよくあることで、それをどのように合意に持っていくかを決める際、トップの試合映像を見ながら、全員が納得できるように話を進めています。全員が納得できる形を持つことが大事だと思います。


(アルビレックス新潟レディーススタッフ)ゲームモデルをつくるのにどれくらいの時間がかかりましたか?
(フェラン氏)終わりがないのがゲームモデルだと思います。なぜなら、新しく付け加えていくものが出てくると思いますし、修正も必要になると思います。常に進化していくのがゲームモデルだと確信しています。

(アルビレックス新潟U-15スタッフ)選手をベースに考えてゲームモデルをつくっていくのでしょうか?
(フェラン氏)もちろん、はじめは選手の特徴に合わせてゲームモデルを調節していくことを行っていきますが、「自分達がどうプレーしたいか」を持っておくことが一番大切かと思います。その後、チームのゲームモデルに選手達が合わせられるようにする必要があると思います。


(アルビレックス新潟U-15スタッフ)テクニカルディスカッションでは、分析を行う際には映像を使われますか?
(フェラン氏)チームがゲームモデルに沿ってプレーできるようにするために、スタッフも自分が指導している選手達を映像で分析することが必要だと思いますし、加えてゲームモデルのシチュエーションをトレーニングで行っていくことも不可欠だと思います。我々が行うテクニカルディスカッションでは映像を通して、プレーのコンセプトを基にプレーできているか確認し、分析していきます。


(開志国際高等学校サッカー部大久保監督)我々のチームには外国籍選手が多く所属しており、それぞれが持っているイメージがあると思います。選手達を1つの方向に向かせるために大事だと思うことは何だと思われますか?
(フェラン氏)チームが持ちたい全体的なイメージを、まずは共有するべきだと思います。ピンポイントで一つのことだけについて選手と話すと、選手達が言っていることが理にかなっている場合がよくあります。ただ、一歩引いて全体を見渡してみると、自分がつくり上げたい形と選手の意思が同じ方向に向いていないことが浮き彫りになることがあります。その瞬間が、選手達に対してチームとして状況を打開したい形を教えこむ一番良いときだと思っております。選手が持っている解決方法をいつ行うべきかを整理してあげることが、選手の考えを真っ向から否定せずに同じ方向を向くために不可欠だと思います。


(開志国際高等学校サッカー部大久保監督)我々のようなチームの場合、一つの言語を使うのか、それともいろいろな言語を駆使して伝えるのか、どちらが良いと思われますか?
(フェラン氏)もちろん、選手やその家族の方々がその土地の言語を習得することは役に立つことが多いと思いますが、強制して学ばせる必要はないと思います。つまり、一つの共通言語を持てればそれに越したことはありませんが、難しいようであれば各選手が理解できるようにいろいろな言語を使って伝えられれば良いと思います。


アルビレックス新潟U-13コーチ 鎌田秀平


今回のテーマは守備から攻撃のポジティブトランジションについての内容で、IFKヨーテボリのトップチームで取り組んでいるポジティブトランジションのコンセプトをお話いただきました。
試合映像を使いながらコンセプトを説明していただき、非常に分かりやすい内容となりました。
自分たちはどんなサッカーをやりたいのか、そのためには何が必要かというところから、ボールを奪った局面ではどんなプレーが必要か非常に整理されている印象を受けました。
フェランさんは日本での指導経験もあり、質疑応答の中では日本の育成年代と海外の育成年代についても触れていただいて参考になる部分が多くあり、今後の活動に活かしていきたいと思います。
貴重な時間をつくっていただいたオスカルコーチ、フェランさんに感謝したいです。ありがとうございました。



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