【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第25回
2009/9/3
「連敗」
J1第23節、新潟×京都。
関越道は想像以上に渋滞していた。やっと埼玉を抜けたと思ったら、その先で事故渋滞。朝9時出発じゃ遅かったかなぁ。今日はキックオフは19時だけど、その前に15時15分から「アルビ・サッカー講座」の出番がある。愛車VWポロにETCを装着して、初めて自力の新潟行だ。途中、妻が「あなただけ大宮から新幹線で行った方がいいんじゃない?」と弱音を吐く。その大宮も過ぎて、ずいぶん来てしまった。もう、このまま行くしかない。
そんなわけでほぼ休憩なしで新潟中央まで走り、予定の14時にビッグスワンへ到着したときは、もう今日の仕事の8割は終わった気になった。僕は「未来のえのきどいちろう」の為に特に記しておく。5時間だぞ、5時間。5時間見とけば、20km級の渋滞が2回あっても大丈夫だぞ。ただ昼メシはサービスエリアでとれないから注意しとけ!
前節、ミッドウィークのG大阪戦(第22節・ホーム)はスコア以上の完敗だった。つまらない失点が気になる。立ち上がり1分で失点しては、後の展開がどうしても苦しい。
それから、まぁ、ペドロ、マルシオが徹底的にマークされていた。よく研究して来とるねぇ。今日の相手、京都も同様だろう。ガンバ戦でデビューを果たしたエヴェルトン・サントスのフィットが待たれる。新戦力の加入による化学変化が、もしかして今日見られるだろうか。
大事な試合だ。強行日程でしんどいのはお互い様。京都は何たることか、今季、アウェー未勝利だ。新潟もしばらく勝ちから遠ざかっている。守戦が予想される。今日は粘り強い方が勝つんじゃないか。
会場のムードは上々だった。観衆3万5千、夏休み最後のホーム開催だ。序盤の主導権争いから先にリズムをつかんだのは新潟だった。あ、これは勝つんじゃないかと思う。やっぱり選手が揃うと新潟は独特の面白さがある。先制ゴールは43分、右サイド矢野貴章のパスをマルシオが決めたもの。これで京都はゲームプランが難しくなった。
と思ったら後半、京都が型崩れしなかった。中央をしっかり固めて、チャンスをうかがう。むしろ集中力を落としたのは新潟の方だった。日程のせいでバテて来てるのか、雑なプレーが目につく。
セットプレー2発だった。53分、FKのこぼれたところをイ・ジョンス。67分、CKから頭で合わせてキム・ソンヨン(途中出場)。どちらもあっけないゴールだった。マークが甘い。おっかしいなぁ、想像してたのは骨のきしむ音のするような死闘だったんだけど。
結局、まぁ粘り強い方が勝ったんだと思う。新潟はいっぺん整理しよう。何かアレですよね、選手同志のミーティングとか、焼き肉決起集会とか、開くタイミングですね。
監督会見の後、京都・加藤久監督と立ち話した。久さんには昔、スカパーで番組やってたとき、本当にお世話になった。
目が充血していた。アウェー初勝利(と選手の頑張りが)涙腺に来たんだと思う。
「内弁慶と言われて、やっと勝てました。前節、清水にFK1発でやられて、それが悔しかったんです、最後まで集中が切れなかった」
ペドロんとこよく抑えましたね、と言う。
「あれは選手がよく内を固めて頑張った。サイドに来られた方が嫌だったんですけど」
なるほどねー。
久さんは「崖っぷちの人生ですよ」と笑っていた。そして今は上下が詰まっているから「3連勝、3連敗すると順位がガラッと変わる」と言う。
新潟は次節、どうしても落とせなくなった。
附記1 「アルビ・サッカー講座」は僕よりも、むしろ小山直久・取締役(対談相手をお願いしました)の方が、ドッカンドッカン爆笑をとっていた印象があります。
2、そのスカパーの番組を御覧になってたのが反町康治・前監督だったんですよ。ちなみにヘビーローテーション級の出演者で、現在、監督さんを務めておられるのは、久さんの他は神戸の新監督・三浦俊也さんですね。
3、京都戦の晩一泊して、翌日曜日は観光です。寺泊まで足を伸ばしました。あ、海水浴場も行った。カーラジオでずっと日本文理の準決勝を聴いてました。
4、決勝進出が決まったとき、北海道日本ハムファイターズの渡辺浩司スコアラー(新潟商出身)に電話しました。さすがに郷里の躍進に声が弾んでいた。「抑えられてても打線が死んでないんだよなぁ、凄いですよ」と言ってたんですよ。決勝戦を見て、やっぱりプロの目は確かだなぁと思いました。
えのきどいちろう
1959/8/13生 秋田県出身。中央大学経済学部卒。コラムニスト。
大学時代に仲間と創刊した『中大パンチ』をきっかけに商業誌デビュー。以来、語りかけられるように書き出されるその文体で莫大な数の原稿を執筆し続ける。2002年日韓ワールドカップの開催前から開催期までスカイパーフェクTV!で連日放送された「ワールドカップジャーナル」のキャスターを務め、台本なしの生放送でサッカーを語り続け、その姿を日本中のサッカーファンが見守った。
アルビレックス新潟サポータースソングCD(2004年版)に掲載されたコラム「沼垂白山」や、msnでの当時の反町監督インタビューコラムなど、まさにサポーターと一緒の立ち位置で、見て、感じて、書いた文章はサポーターに多くの共感を得た。
著書に「サッカー茶柱観測所」(週刊サッカーマガジン連載)。
HC日光アイスバックスチームディレクターでもある。
※アルビレックス新潟からのお知らせ
コラム「えのきどいちろうのアルビレックス散歩道」は、アルビレックス新潟公式サイト『モバイルアルビレックス』で、先行展開をさせていただいております。
更新は公式携帯サイトで毎週木曜日に掲載した内容を、翌週木曜日に公式PCサイトで掲載するスケジュールとなります。えのきどさんがサポーターと同じ目線で見て、感じた等身大のコラムは、試合の感動が覚める前に、ぜひ公式携帯サイトでご覧ください!
J1第23節、新潟×京都。
関越道は想像以上に渋滞していた。やっと埼玉を抜けたと思ったら、その先で事故渋滞。朝9時出発じゃ遅かったかなぁ。今日はキックオフは19時だけど、その前に15時15分から「アルビ・サッカー講座」の出番がある。愛車VWポロにETCを装着して、初めて自力の新潟行だ。途中、妻が「あなただけ大宮から新幹線で行った方がいいんじゃない?」と弱音を吐く。その大宮も過ぎて、ずいぶん来てしまった。もう、このまま行くしかない。
そんなわけでほぼ休憩なしで新潟中央まで走り、予定の14時にビッグスワンへ到着したときは、もう今日の仕事の8割は終わった気になった。僕は「未来のえのきどいちろう」の為に特に記しておく。5時間だぞ、5時間。5時間見とけば、20km級の渋滞が2回あっても大丈夫だぞ。ただ昼メシはサービスエリアでとれないから注意しとけ!
前節、ミッドウィークのG大阪戦(第22節・ホーム)はスコア以上の完敗だった。つまらない失点が気になる。立ち上がり1分で失点しては、後の展開がどうしても苦しい。
それから、まぁ、ペドロ、マルシオが徹底的にマークされていた。よく研究して来とるねぇ。今日の相手、京都も同様だろう。ガンバ戦でデビューを果たしたエヴェルトン・サントスのフィットが待たれる。新戦力の加入による化学変化が、もしかして今日見られるだろうか。
大事な試合だ。強行日程でしんどいのはお互い様。京都は何たることか、今季、アウェー未勝利だ。新潟もしばらく勝ちから遠ざかっている。守戦が予想される。今日は粘り強い方が勝つんじゃないか。
会場のムードは上々だった。観衆3万5千、夏休み最後のホーム開催だ。序盤の主導権争いから先にリズムをつかんだのは新潟だった。あ、これは勝つんじゃないかと思う。やっぱり選手が揃うと新潟は独特の面白さがある。先制ゴールは43分、右サイド矢野貴章のパスをマルシオが決めたもの。これで京都はゲームプランが難しくなった。
と思ったら後半、京都が型崩れしなかった。中央をしっかり固めて、チャンスをうかがう。むしろ集中力を落としたのは新潟の方だった。日程のせいでバテて来てるのか、雑なプレーが目につく。
セットプレー2発だった。53分、FKのこぼれたところをイ・ジョンス。67分、CKから頭で合わせてキム・ソンヨン(途中出場)。どちらもあっけないゴールだった。マークが甘い。おっかしいなぁ、想像してたのは骨のきしむ音のするような死闘だったんだけど。
結局、まぁ粘り強い方が勝ったんだと思う。新潟はいっぺん整理しよう。何かアレですよね、選手同志のミーティングとか、焼き肉決起集会とか、開くタイミングですね。
監督会見の後、京都・加藤久監督と立ち話した。久さんには昔、スカパーで番組やってたとき、本当にお世話になった。
目が充血していた。アウェー初勝利(と選手の頑張りが)涙腺に来たんだと思う。
「内弁慶と言われて、やっと勝てました。前節、清水にFK1発でやられて、それが悔しかったんです、最後まで集中が切れなかった」
ペドロんとこよく抑えましたね、と言う。
「あれは選手がよく内を固めて頑張った。サイドに来られた方が嫌だったんですけど」
なるほどねー。
久さんは「崖っぷちの人生ですよ」と笑っていた。そして今は上下が詰まっているから「3連勝、3連敗すると順位がガラッと変わる」と言う。
新潟は次節、どうしても落とせなくなった。
附記1 「アルビ・サッカー講座」は僕よりも、むしろ小山直久・取締役(対談相手をお願いしました)の方が、ドッカンドッカン爆笑をとっていた印象があります。
2、そのスカパーの番組を御覧になってたのが反町康治・前監督だったんですよ。ちなみにヘビーローテーション級の出演者で、現在、監督さんを務めておられるのは、久さんの他は神戸の新監督・三浦俊也さんですね。
3、京都戦の晩一泊して、翌日曜日は観光です。寺泊まで足を伸ばしました。あ、海水浴場も行った。カーラジオでずっと日本文理の準決勝を聴いてました。
4、決勝進出が決まったとき、北海道日本ハムファイターズの渡辺浩司スコアラー(新潟商出身)に電話しました。さすがに郷里の躍進に声が弾んでいた。「抑えられてても打線が死んでないんだよなぁ、凄いですよ」と言ってたんですよ。決勝戦を見て、やっぱりプロの目は確かだなぁと思いました。
えのきどいちろう
1959/8/13生 秋田県出身。中央大学経済学部卒。コラムニスト。
大学時代に仲間と創刊した『中大パンチ』をきっかけに商業誌デビュー。以来、語りかけられるように書き出されるその文体で莫大な数の原稿を執筆し続ける。2002年日韓ワールドカップの開催前から開催期までスカイパーフェクTV!で連日放送された「ワールドカップジャーナル」のキャスターを務め、台本なしの生放送でサッカーを語り続け、その姿を日本中のサッカーファンが見守った。
アルビレックス新潟サポータースソングCD(2004年版)に掲載されたコラム「沼垂白山」や、msnでの当時の反町監督インタビューコラムなど、まさにサポーターと一緒の立ち位置で、見て、感じて、書いた文章はサポーターに多くの共感を得た。
著書に「サッカー茶柱観測所」(週刊サッカーマガジン連載)。
HC日光アイスバックスチームディレクターでもある。
※アルビレックス新潟からのお知らせ
コラム「えのきどいちろうのアルビレックス散歩道」は、アルビレックス新潟公式サイト『モバイルアルビレックス』で、先行展開をさせていただいております。
更新は公式携帯サイトで毎週木曜日に掲載した内容を、翌週木曜日に公式PCサイトで掲載するスケジュールとなります。えのきどさんがサポーターと同じ目線で見て、感じた等身大のコラムは、試合の感動が覚める前に、ぜひ公式携帯サイトでご覧ください!