【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第148回
2012/9/20
「何を見ても思いは千里をかける」
キリンチャレンジカップ・日本代表×UAE代表。
先週は新潟で日本代表の国際親善試合・UAE戦が行われたのだ。あくまで今週火曜日(11日)のW杯アジア最終予選「ジーコ・イラク」戦が本番で、UAE戦は準備試合でしかないのだが、この試合は酒井高徳のA代表デビュー戦になった。すごくないですか? 地元&アルビ出身の若きブンデスリーガーがビッグスワンで初キャップを飾った。
僕は9月に入って、アイスホッケー開幕&単行本2冊の追い込み&ラジオの新番組準備でスケジュール表がびっしり埋まっている。UAE戦もテレビで見ただけだ。ちょっとうらやましかったなぁ、4万2千人のビッグスワン。時間に余裕があったら絶対見に行きたかった。香川真司のマンU入りで日本代表はますます活気づいている。
アルビサポのマインドを想像すると、セレッソ戦を落とし、意気消沈してちょっと現実逃避気味に迎えた代表戦じゃなかったかと思う。酒井高徳をピッチに迎えるときの歓声、コールをからすると、相当数のサポがオレンジのシャツをブルーに替えて、あの日、スタンドを埋めてた筈だ。サッカーで夢を見たい。楽しみたい。このところアルビレックス新潟は胃に来る試合が多かったから、たまには無心に騒ぎたい。と思っても不思議はない。
僕はこれが残留戦線で再現できたらなぁと思ってスタジアムの映像を見ていた。4万2千はやっぱり迫力がある。4万2千入るとイベント性があるのだ。俗に「鳥肌が立つ」と表現するが、4万2千がどよめきを起こすとどんなプレーも特別なものに化けてしまう。もう、どよめきや歓声に「鳥肌が立つ」のだ。
いや、代表戦だとホントに入るんだねぇ。皮肉でも嫌味でもなく、率直にそう思う。だって、これビッグスワンでしょ。駅南からバスでしょ。そりゃ代表戦だから新潟県外からの動員だって多かったに違いない。でも、これ大半は県内の人じゃないのかなぁ。何だよ何だよ、来れば来れるんじゃんと思うのだ。一生、ビッグスワンの座席とは無縁に過ごす誓いとかを立ててるわけじゃなかったんだ。あ、これはちょっと嫌味言ってるか。
アルビレックス新潟はもしかすると潜在的なサッカーファンをとり逃がしてるね。まぁ、もちろん代表戦と比較して、マンUとかインテルとかいないですよ。スペクタクルやファンタジーの面でもお眼鏡に叶いにくいかもしれない。でもなぁ、サッカーが嫌いなわけでもなさそうなんだなぁ。ひょっとすると単に「スターが見たい」って心理が大きいかもわかんないけど、とにかくビッグスワンまで来て、座る人間がこんなに沢山いるんだよ。
天皇杯2回戦・新潟×福井。
大変申し訳ないことだが、この試合は結果しか知らない。アイスホッケーのアジアリーグ開幕節と重なって僕は日光のアイスアリーナにいた。ちなみに10月の3回戦・福島ユナイテッド戦も見ることが叶わない。天皇杯はNHKが放送してくれないと映像が手に入らないからなぁ。ホッケーシーズン到来はすごく嬉しいんだけど、天皇杯だけうまく回避してもらいたいよ。
サウルコス福井は09年天皇杯2回戦で当たったかもしれなかった相手だ。ホームスタジアムは思い出深いテクノポート福井。僕は夜行バス「ドリーム福井号」に乗って初めて福井県を訪ねた。サウルコス福井は1回戦で奈良クラブに敗れ、「越前越後ダービー」の実現は3年後に持ち越しになったのだ。
「延長までもつれる大苦戦」という額面だけ見れば、おいおい越後衆、J1のくせに大丈夫か、という話にもなるだろう。が、この2回戦は各地で波乱の連続だった。何しろ前年王者のFC東京、現在2位の広島が姿を消している。正直、負けなくてよかった。負けていたら次の大一番・G大阪戦(J1第25節)にも影響が出かねなかった。
この試合で評判を呼んだのはフレッシュな川口尚紀の活躍だ。一応、「サッカー動画速報」というサイトでニュース映像(したがって得点シーンだけ)を見たが、後半11分、右サイドからDFをちぎって折り返したアシストは見事だった。それからPKも含め、ブルーノが2得点というのは大変心強い。ガンバ戦につながることを祈ろう。
と、こう書いていてガンバ戦にどうしても話が向く。たぶん市陸で試合をご覧になった読者も次節の決戦が頭を離れなかったろう。本当は「ガンバ戦の調整試合」にするには惜しいカードだ。越前越後の歴史的な因縁はかなり興味深い。もっと余裕のあるところで当たりたかった。わからないが、リアル「越」の国をかけて両者が激突するようなやつはどうだったろう。
附記1、代表のイラク戦、遠藤に入れさせない「ジーコ・イラク」の戦い方を見て、次のガンバ戦はあぁいう感じかなと思ったのは僕だけじゃないでしょう。
2、『アルビレックス散歩道2011』のゲラが手を離れました。録りおろしの田中亜土夢ロングインタビューも自信作です。震災中断があって、亜土夢が本格化し、川又堅碁がもがき続けたシーズン。あらためてゲラで読み返し、ずっしり感あるなぁと思いました。もうすぐご覧いただけます。
3、しかし、毎日めっちゃ原稿書いてるんですけど、移動が増えたので新兵器「ポメラ」(キングジム)を導入しました。これはワープロ機能に特化した軽量マシンです。マジで軽い。もう、僕は腰を痛くしながらノートPCを持ち運ぶ生活とおさらばですよ。「ポメラ」で原稿書いてQRコード化して、アイフォンで読み取って送ればいい。ライターの夢のアイテムです。もっと早く導入すればよかった。
えのきどいちろう
1959/8/13生 秋田県出身。中央大学経済学部卒。コラムニスト。
大学時代に仲間と創刊した『中大パンチ』をきっかけに商業誌デビュー。以来、語りかけられるように書き出されるその文体で莫大な数の原稿を執筆し続ける。2002年日韓ワールドカップの開催前から開催期までスカイパーフェクTV!で連日放送された「ワールドカップジャーナル」のキャスターを務め、台本なしの生放送でサッカーを語り続け、その姿を日本中のサッカーファンが見守った。
アルビレックス新潟サポータースソングCD(2004年版)に掲載されたコラム「沼垂白山」や、msnでの当時の反町監督インタビューコラムなど、まさにサポーターと一緒の立ち位置で、見て、感じて、書いた文章はサポーターに多くの共感を得た。
著書に「サッカー茶柱観測所」(週刊サッカーマガジン連載)。
HC日光アイスバックスチームディレクターでもある。
アルビレックス新潟からのお知らせコラム「えのきどいちろうのアルビレックス散歩道」は、アルビレックス新潟公式サイト『モバイルアルビレックス』で、先行展開をさせていただいております。更新は公式携帯サイトで毎週木曜日に掲載した内容を、翌週木曜日に公式PCサイトで掲載するスケジュールとなります。えのきどさんがサポーターと同じ目線で見て、感じた等身大のコラムは、試合の感動が覚める前に、ぜひ公式携帯サイトでご覧ください!
キリンチャレンジカップ・日本代表×UAE代表。
先週は新潟で日本代表の国際親善試合・UAE戦が行われたのだ。あくまで今週火曜日(11日)のW杯アジア最終予選「ジーコ・イラク」戦が本番で、UAE戦は準備試合でしかないのだが、この試合は酒井高徳のA代表デビュー戦になった。すごくないですか? 地元&アルビ出身の若きブンデスリーガーがビッグスワンで初キャップを飾った。
僕は9月に入って、アイスホッケー開幕&単行本2冊の追い込み&ラジオの新番組準備でスケジュール表がびっしり埋まっている。UAE戦もテレビで見ただけだ。ちょっとうらやましかったなぁ、4万2千人のビッグスワン。時間に余裕があったら絶対見に行きたかった。香川真司のマンU入りで日本代表はますます活気づいている。
アルビサポのマインドを想像すると、セレッソ戦を落とし、意気消沈してちょっと現実逃避気味に迎えた代表戦じゃなかったかと思う。酒井高徳をピッチに迎えるときの歓声、コールをからすると、相当数のサポがオレンジのシャツをブルーに替えて、あの日、スタンドを埋めてた筈だ。サッカーで夢を見たい。楽しみたい。このところアルビレックス新潟は胃に来る試合が多かったから、たまには無心に騒ぎたい。と思っても不思議はない。
僕はこれが残留戦線で再現できたらなぁと思ってスタジアムの映像を見ていた。4万2千はやっぱり迫力がある。4万2千入るとイベント性があるのだ。俗に「鳥肌が立つ」と表現するが、4万2千がどよめきを起こすとどんなプレーも特別なものに化けてしまう。もう、どよめきや歓声に「鳥肌が立つ」のだ。
いや、代表戦だとホントに入るんだねぇ。皮肉でも嫌味でもなく、率直にそう思う。だって、これビッグスワンでしょ。駅南からバスでしょ。そりゃ代表戦だから新潟県外からの動員だって多かったに違いない。でも、これ大半は県内の人じゃないのかなぁ。何だよ何だよ、来れば来れるんじゃんと思うのだ。一生、ビッグスワンの座席とは無縁に過ごす誓いとかを立ててるわけじゃなかったんだ。あ、これはちょっと嫌味言ってるか。
アルビレックス新潟はもしかすると潜在的なサッカーファンをとり逃がしてるね。まぁ、もちろん代表戦と比較して、マンUとかインテルとかいないですよ。スペクタクルやファンタジーの面でもお眼鏡に叶いにくいかもしれない。でもなぁ、サッカーが嫌いなわけでもなさそうなんだなぁ。ひょっとすると単に「スターが見たい」って心理が大きいかもわかんないけど、とにかくビッグスワンまで来て、座る人間がこんなに沢山いるんだよ。
天皇杯2回戦・新潟×福井。
大変申し訳ないことだが、この試合は結果しか知らない。アイスホッケーのアジアリーグ開幕節と重なって僕は日光のアイスアリーナにいた。ちなみに10月の3回戦・福島ユナイテッド戦も見ることが叶わない。天皇杯はNHKが放送してくれないと映像が手に入らないからなぁ。ホッケーシーズン到来はすごく嬉しいんだけど、天皇杯だけうまく回避してもらいたいよ。
サウルコス福井は09年天皇杯2回戦で当たったかもしれなかった相手だ。ホームスタジアムは思い出深いテクノポート福井。僕は夜行バス「ドリーム福井号」に乗って初めて福井県を訪ねた。サウルコス福井は1回戦で奈良クラブに敗れ、「越前越後ダービー」の実現は3年後に持ち越しになったのだ。
「延長までもつれる大苦戦」という額面だけ見れば、おいおい越後衆、J1のくせに大丈夫か、という話にもなるだろう。が、この2回戦は各地で波乱の連続だった。何しろ前年王者のFC東京、現在2位の広島が姿を消している。正直、負けなくてよかった。負けていたら次の大一番・G大阪戦(J1第25節)にも影響が出かねなかった。
この試合で評判を呼んだのはフレッシュな川口尚紀の活躍だ。一応、「サッカー動画速報」というサイトでニュース映像(したがって得点シーンだけ)を見たが、後半11分、右サイドからDFをちぎって折り返したアシストは見事だった。それからPKも含め、ブルーノが2得点というのは大変心強い。ガンバ戦につながることを祈ろう。
と、こう書いていてガンバ戦にどうしても話が向く。たぶん市陸で試合をご覧になった読者も次節の決戦が頭を離れなかったろう。本当は「ガンバ戦の調整試合」にするには惜しいカードだ。越前越後の歴史的な因縁はかなり興味深い。もっと余裕のあるところで当たりたかった。わからないが、リアル「越」の国をかけて両者が激突するようなやつはどうだったろう。
附記1、代表のイラク戦、遠藤に入れさせない「ジーコ・イラク」の戦い方を見て、次のガンバ戦はあぁいう感じかなと思ったのは僕だけじゃないでしょう。
2、『アルビレックス散歩道2011』のゲラが手を離れました。録りおろしの田中亜土夢ロングインタビューも自信作です。震災中断があって、亜土夢が本格化し、川又堅碁がもがき続けたシーズン。あらためてゲラで読み返し、ずっしり感あるなぁと思いました。もうすぐご覧いただけます。
3、しかし、毎日めっちゃ原稿書いてるんですけど、移動が増えたので新兵器「ポメラ」(キングジム)を導入しました。これはワープロ機能に特化した軽量マシンです。マジで軽い。もう、僕は腰を痛くしながらノートPCを持ち運ぶ生活とおさらばですよ。「ポメラ」で原稿書いてQRコード化して、アイフォンで読み取って送ればいい。ライターの夢のアイテムです。もっと早く導入すればよかった。
えのきどいちろう
1959/8/13生 秋田県出身。中央大学経済学部卒。コラムニスト。
大学時代に仲間と創刊した『中大パンチ』をきっかけに商業誌デビュー。以来、語りかけられるように書き出されるその文体で莫大な数の原稿を執筆し続ける。2002年日韓ワールドカップの開催前から開催期までスカイパーフェクTV!で連日放送された「ワールドカップジャーナル」のキャスターを務め、台本なしの生放送でサッカーを語り続け、その姿を日本中のサッカーファンが見守った。
アルビレックス新潟サポータースソングCD(2004年版)に掲載されたコラム「沼垂白山」や、msnでの当時の反町監督インタビューコラムなど、まさにサポーターと一緒の立ち位置で、見て、感じて、書いた文章はサポーターに多くの共感を得た。
著書に「サッカー茶柱観測所」(週刊サッカーマガジン連載)。
HC日光アイスバックスチームディレクターでもある。
アルビレックス新潟からのお知らせコラム「えのきどいちろうのアルビレックス散歩道」は、アルビレックス新潟公式サイト『モバイルアルビレックス』で、先行展開をさせていただいております。更新は公式携帯サイトで毎週木曜日に掲載した内容を、翌週木曜日に公式PCサイトで掲載するスケジュールとなります。えのきどさんがサポーターと同じ目線で見て、感じた等身大のコラムは、試合の感動が覚める前に、ぜひ公式携帯サイトでご覧ください!
