アカデミー&メソッド部門:カルラス・ロマゴサ氏(タイサッカー協会スポーツダイレクター/エコノメソッド創始者)へのインタビュー(トークメイド)

2021/6/16

テーマ:育成年代の選手をプロに導くために必要なことは?(トークメイド)

61日(火)、現在タイサッカー協会でスポーツダイレクターを務め、エコノメソッド創始者であるカルラス・ロマゴサ氏を迎えて、インタビュー形式のミーティングを行いました。

パリ・サンジェルマンでスポーツダイレクター、FCバルセロナのアカデミーで指導者としてジョルディ・アルバ、セスク・ファブレガスやカルラス・プジョルを指導した経験があります。


当日はアカデミースタッフだけでなく、アルビレックス新潟レディースアカデミーのスタッフが参加しました。


カルラス氏は、計10回以上に渡る来日経験の中で、選手と指導者のレベルが大きく成長しており、驚きを隠せない様子でした。育成年代の選手も、指導者も急速に成長しているとおっしゃっていました。


カルラス氏の話の後、質疑応答を行いました。

Q.U-18からの質問:ユースカテゴリーでは、選手のプレータイムを優先した方が良いのか、競争力を求めるために良い選手を試合に出した方が良いのか?

A.カルラス氏の回答: ユースカテゴリーでも選手のプレータイムを守ることは忘れてはいけないですが、年齢的にプロになる手前だということを考えると、より将来性のある選手を出していく決断に問題はないと思います。

Q.U-15からの質問: ジュニアユースカテゴリーとユースカテゴリーとでは、どういったことが求められるか?

A. まず、この年代ではプレー理解度に差が見られる場合が多いです。つまり、年代により求めていく事柄を整理してトレーニングをすることが求められます。ジュニアでは、自分とボールとの関係性を特にトレーニングしていくことが求められます。ジュニアユースでは、自分とボールの関係以外に味方と相手との関係性を理解しつつ、スペースの共有やボール保持者の状況によって助ける方法を判断できるようにしていく年代になります。ユース年代になると、集団の中でも自分の役割とチームのコンセプトを理解する必要があり、チームの中に自分がいることを理解する必要があります。自分ひとりのプレーがチームに与える影響がどんなことなのかを役割と言い、それを理解したうえでプレーすることを習得することが大切です。

Q.U-15長岡からの質問:カルラス氏の経験の中で、プロになる可能性のある選手とはどういった選手でしょうか?

A.一般的にはもちろんタレントがある選手であると思いますが、それ以外に細かい所までこだわれる選手もプロになる可能性が高くなると思います。つまり、タレント+トレーニングでの姿勢+ピッチ以外での生活をしっかりコントロールできること等が必要になる要素だと思います。ピッチ以外の部分をコントロールするには、指導者として選手の家族や選手に関わる人達がどんな人なのかに目を配ることが、以外と大切なことだと思います。選手を取り巻く環境はとても重要で、気持ちの変化が激しい年代だからこそ、特に気を配る必要があると考えます。

Q.U-12からの質問:ジュニア年代の選手に対する自由度の割合とは、どれくらい与えるべきなのでしょうか?

A.この年代で大事なことは、プレーを楽しむことだと思います。ただ、自由と楽しむということを区別することがより大切になると思います。やりたい放題のプレーをするという意味ではなく、覚えたことを自分自身の判断で実行し、うまくいった時に必然的に楽しみに変わり、成長に結びついていきます。そこに楽しみを覚えることで、また達成したいという気持ちが生まれていくものだと思います。

Q.アルビレックス新潟レディースアカデミーからの質問:ポジションを固定していく時期は、いつ頃が理想ですか?

A.いろいろなポジションを経験した方が良いと思っており、早すぎるポジションの固定は良くないと思っております。組織的に攻撃と守備をするチームの傾向としては、前線のポジションでプレーしていた選手がプロ選手になった時には、より後ろのポジションで活躍していることがあります。例えばですが、ジョルディ・アラバはU-14まではトップ下でプレーしてり、ブスケッツはFCバルセロナBでプレーしている時は大半をフォワードでプレーしていたという例もあります。そういった例もあるため、早い段階でもポジション固定は避けたほうがよいと思います。

Q.アルビレックス新潟アカデミーダイレクター兼U-15監督 内田潤からの質問:アカデミーの指導者に求められる要素とはどんなことですか?

A. 指導者としてサッカーに関する知識をたくさん持っておくことは大切ですし、サッカー以外の部分での教養も非常に大切だと思っております。加えて、持っている知識をすべて選手に伝えることが大事なことではなくて、持っている知識を整理して選手の成長につなげることをわかりやすく伝えてあげることが一番大切だと考えます。選手の成長を助けるとは、選手の能力を知り、その選手に適した情報を教えてあげることだと思っています。


アルビレックス新潟アカデミーダイレクター兼U15監督 内田潤

オスカルコーチからこの提案があり、即決でお願いしました。
指導者育成プログラムとして(月に12回程度)さまざまな企画を年間で計画しています。
3月はアルベルト プッチ オルトネダ監督、4月はエウ ガヴィランフィジカルコーチがゲスト出演。
「良い選手を育成するためには良い指導者が必要」という概念から、スタッフへ「学びの場」を今後も提供していきたいと思います。
今回も本当に有意義ですばらしい時間となりました。オンラインでの開催でしたので、カルラス氏に直接お会いできなかったのが本当に残念です。画面越しにも関わらず、このように思わせるのは、その人柄や人間性の豊かさだと思います。こういう要素も良い指導者には必要でしょう。
また、テーマに対する話や、各スタッフからの質問に対して、言葉の端々に経験値からくる説得力が強烈に感じ取られました。
アルベルト監督とも共通の言葉や考え方が見受けられ、各スタッフへのさらなるメッセージとなったことでしょう。
このような機会を与えていただいたカルラス氏、オスカルコーチに心から感謝いたします。今後も人と人の繋がりや出会いを大切に、指導者としても、教育者としても向上させていきたいと思います。



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