Jリーグのシーズン移行に関する報道対応について(10月21日)

2023/10/22
10月21日(土)、当クラブ代表取締役社長の中野幸夫が、Jリーグのシーズン移行について、報道関係の皆さまにお話しをいたしました。報道対応の内容について、以下の通りお知らせいたします。



■株式会社アルビレックス新潟 代表取締役社長 中野幸夫

シーズン移行の問題につきまして、いま現在、私が持っている情報をお伝えし、クラブとしてのスタンスを述べさせていただきます。

すべてを申し上げるには、時間が足りない案件となりますので、10月18日に開催された、実行委員会の状況からお話します。一部のweb参加の方がいらっしゃいましたが、全60クラブがJリーグ事務局に集まり、シーズン移行の問題についてのお話しがありました。今後のスケジュール感や議論の進め方についての会議となりました。

今年の2月から、この問題に取り組んできて、何度も分科会が開催され、実行委員会でも議論を進めて、10月となりました。できれば年内に方向性を決めたいという意向が、Jリーグから伝えられました。そのときの言葉を引用しますと「シーズン移行について前向きに残りの課題を検討しましょう」という提案がありました。前向きにという言葉のイントネーション自体が、シーズン移行ありきという風に感じ取られましたので、私も含め一部の方から、前向きにという表現がいかがなものかということを伝えました。(シーズン移行については)いくつかの大粒な課題があります。その課題につきましては、これから説明を申し上げますが、しっかりとそういった課題を整理して、どのように向き合うのかということを、これからの検討の中で進めていくべきだということです。移行を前提にしたときに存在する課題を、きちんと整理して議論しましょうという表現があって、議論に入ったというのが事実です。

(大粒の)課題は何かと言うと、8つの項目に分かれています。1つ目は、経営へのインパクトを試算する必要があるということ。また、スタジアム確保に関する整理。それから、JFLや地域リーグ、大学や高校との連携についての議論。新人選手の加入タイミングや、制度の設計について。また、移行した場合の大会方式をどのようにするのか。これらのことは、移行した場合が前提となります。

それから、試合日程のより詳細な精査が必要です。どういうことかと申しますと、最初に提案されたのは、12月の3週まで試合を行い、その後、2月の第1週から試合を行うという案でしたので、当然、私ども降雪地域のクラブとしては、12月末や2月の頭は雪が降りビッグスワンスタジアムも使えませんので、試合を「したい、したくない」という感情論ではなく「できる、できない」という現実論で、かねてから反対を表明していました。

それに対して、今と同じように、12月の第1週で終わり、その後は2月の第3週から行うとしたらどうか、という案をいただきました。(この案については)2月の2週目に開幕し、しばらくホームゲームを避けるという現状と同じなので、降雪地域のことを考えてくださっていると解釈しています。最終的に、その日程で本当にするのか、しないのかというところを詰めていく必要があると考えています。

あとは、移行したときの費用、例えばキャンプが増えることによるものをどうするのか。また、私どもクラブは、メディアの皆さん、パートナー企業の方々、サポーターの皆さん、行政など地域の皆さんといった、いろいろな方々と一緒に試合を運営させてもらっています。そのような方々とコミュニケーションをし、(シーズンの移行に)理解をいただかなければならいということ。そういったことが、先ほど申し上げました大粒のテーマがまだありますよね、という話となっています。

Jリーグが(移行有無の結論を出す時期として)目指す12月までに、こういったテーマを整理できるかということが、これからの議論の山場になってくると思っています。

ここからは、クラブの考えを申し上げたいと思います。この議論の背景には、野々村チェアマンを含めて60クラブと共に、Jリーグが30年を経過したことがあります。ここまで、皆さんのお力添えでJリーグは発展させてもらいました。これからの30年で、Jリーグがどこへ向かっていくのかという考えを、この議論の中でもう1回整理すべきだということになっています。全員で「これからの30年がどうあるべきか」ということを含めて、シーズン移行の課題に向き合っています。

これまでの30年に対して、私たちは皆様に感謝したいと思います。これから10年、20年、30年と歩む中で、ACLのシーズンが変わり、欧州のリーグとJリーグとの規模感にもかなりの差が開いています。例えばACLチャンピオンが4年に1度、クラブワールドカップに出場する権利が発生します。クラブワールドカップの出場クラブ数も増えてくるという、世界的な大会方式の変化も背景にはあります。そういった変化に対して、Jリーグがどう進むべきなのかということも、課題とのひとつです。Jリーグがこれからどうあるべきなのかということを考えながら、最適なシーズンはどうあるべきなのかという議論です。

我々も、Jリーグやサッカー界が発展するという考え方について異論はありませんし、1つのクラブとしてもっと発展したいと思っています。総論に対して反対しているわけではなく、それを目指すときに、日本の気候風土や私どもの地域を考えたときに、シーズンの移行をすることが、その目標を達成するために、果たして正しいのかどうかということを、アルビレックス新潟の立場で考えております。

そのことを3つに整理すると、我々の一番の課題は、スタジアムの確保が挙げられます。今は、1月にいろんな団体、例えば陸上やラグビー、新潟県サッカー協会、隣のHARD OFF ECOスタジアム新潟で開催する野球。いろいろな競技団体の方と、スケジュール調整をさせていただいて、我々の日程を決めさせてもらっています。

そういったものを、「5月に順位が出てから決めよう」と言われても物理的に無理な話です。私たちは、他の競技団体の方、あるいはスタジアムを使う、学校などいろいろな方々と棲み分けながら、このビッグスワンを有効に使わせていただいて、今日があると思っています。

私たちが日程を決められないという状況が、地域の方々が(ビッグスワンやエコスタジアムを)有効活用する上での弊害になる可能性があることを、一番に危惧しています。順位が決まらなくてもカテゴリーが決まらなくても、年間のスケジュール感を置けるのかという議論を、これから始めていきます。もし、これが可能であれば、私どもが最も懸念している、地域の方々に迷惑をかけるということは回避されるわけです。過去にもこのような議論はありましたし、難しいテーマですが、それを避けずに議論をしていきたいと思っています。これが私どもの1番の大きな懸念事項です。

もう1つの懸念事項は、先ほど申しました12月の3週まで、または2月初頭まで、本当に試合をしないのかということです。一方では、降雪地域のスタジアムや練習会場を改修したらどうかという提案もあります。ひとつの案だとは思いますが、現実論として、一挙に解決することはできないのではないかと思っています。もっと難しいのは、新潟のメディアの皆さんもお分かりだと思いますが、スタジアムや練習会場がということではなく、(新潟に暮らす)私たちは一晩でたくさんの雪が降ったら家から出られませんし、あるいはスタジアムまで来ることができません。

この地域に住んでいる我々は、(そういう状況を)当たり前のこととして受け止めて生活しています。その生活を否定するわけにはいきません。ただ、雪の降らない地域の方々にご理解いただくのは、なかなか難しい案件だと思います。そういう地域にある私たちとしては、「できる、できない」というところをはっきりさせていただきたいと申し上げております。これが2点目です。

そして、今年は9月末まで本当に暑かったです。そこから1ヶ月経っただけで、こんなにも気温が違う。これが自然現象だと思っております。議論の中では、暑い夏を回避しましょうということが一つの大きなテーマとなっています。しかし、選手の皆さんは5月にシーズンが終わると、6・7月に試合はありませんが、8月からゲームをするわけです。私たちの感覚で、2週間、多くて3週ほどのオフ期間をとったら、6月の半ば以降から、8月開幕という暑い時期のピークに合わせて練習をします。その期間に試合はありません。その意味で、暑い夏に(サッカーを)しないということであれば理解できますが、暑い夏に(サッカーを)するという前提では、試合にピークを合わせて練習する選手にとっての負荷は変わらないと私は思います。

そうであるのならば、1番長く試合ができる期間で調整をする。現状の2月の2~3週目の開幕から12月までの長いスパンの中で日程調整をして、ワールドカップや国際的なカレンダーの変化に対応することが、日本のサッカー界にとっても有利に働くのではないかというのが、私たちの考えです。暑い夏に対しても、6月や7月に試合をした上で、本当に暑い時期には試合数を少し減らすという工夫をした方が、選手の負荷にはならないと思います。選手だけでなく、お客様の暑さ対策も私たちは考える必要があります。

そして、試合自体ができる、できないではなくて、サポーターさんの目線や、地域の皆さんの目線で考えますと、私たち降雪地域のクラブだけが新潟で試合をするだけではなくて、降らない地域のクラブの方もお迎えして、新潟で試合をするわけです。冬に試合がある場合、新潟のサポーターさんは、車で雪道を抜けて関東などへ行きます。そういう負荷も考えると、現状のシーズンの中で日程を置くのが、Jリーグにとってもサッカー界にとっても、最も理に適っているのではないでしょうか。

それから、4月~3月という学校の制度は、恐らくそう簡単に変えることはできないと思います。(学校に所属している)選手の卒業や入学、チームへの帯同ということを考えても、シーズン移行が「目指す姿」を獲得するにあたって、本当に理に適っているかどうかというところに、疑問と違和感を感じています。そういった観点から、私たち新潟は明確にシーズン移行に反対を表明しています。

ただ、60クラブものクラブがある以上、それぞれの地域性も違います。そういうお考えでないクラブの方がいらっしゃるのも事実です。私たちは、新潟のチームとして、今まで申し上げてきました課題感や考え方を明確にして、シーズン移行の議論に参加させていただいています。


■発言内容の動画のご案内
クラブ公式YouTubeでは、本件に関する動画を公開しています。
Jリーグのシーズン移行に関する報道対応について(10月21日)
 


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