【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第117回(前編)
2011/11/17
「ネルシーニョのもたらしたもの」
J1第31節・柏×新潟。
スコアは4対0。気持ちのいい完敗だ。新潟はミシェウ累積欠場という事態に「トレスボランチの4-3-3」という新機軸で挑む。黒崎監督らしい積極策だ。ただ急造の不備は否めない。サポーターの間で話題になったのは前半、田中亜土夢がFKを蹴るとき、本間、小林慶、菊地が集まり長考に及んだシーンだった。僕は面白いと思ったけど、「選手にあんなに負担を強いてはいけない」という意見の方もおられたようだ。
そこら辺は難しいところだ。どうなのかなぁ。首位・柏にミシェウ不在で挑むという難問をバネにして、飛び出してくるアイデアもあるかと思う。そして、その経験は色濃くチームに残る。このアイデアの評価はむしろ今後にかかっているんじゃないか。例えば2012年モデルの新潟はこのシステムで大仕事をしでかすかもしれない。
と、でも言うしかないのは柏が素晴らしかったからだ。前半8分に失点してゲームの流れ自体も向こうに握られたが、いや、ちょっと勝てる気がしなかった。僕は優勝に値するチームだと思う。残念ながら前節、福岡に発した言葉を自軍に向けねばならない。柏レイソルとは簡単には埋められない差があった。
特に前半、ジョルジ・ワグネルにチンチンにされた内田の姿はショックだった。僕はマジで凹んだ。僕らは基本、「数的優位」とか「対応する人数がいる」とかを基準に物事を考える。が、とてつもないタレントがいるとそんなもん役に立たない。やり慣れた4-4-2なら何とかなったのかというと、ならなかった気がする。まぁ、これもサッカーの魅力だ。
柏はジョルジ・ワグネル、レアンドロ・ドミンゲスのクオリティに目を奪われがちだが、本質は守備が頑張るチームだ。大谷、近藤らの奮戦が凄かった。大宮戦で下手を打って、やっぱり勝負どころになると経験が足りないのかなぁと思ったが、この日見せたパフォーマンスはブレが全くない。僕は行くと思います。残り試合のカードも、よその勝ち負けもあまりカンケイないんじゃないか。
しかし、読者は不思議に思わないだろうか。柏はいつからこんなに強くなったのか。言っちゃアレだが、今季の昇格チームだ。「昇格即J1優勝」はアメージングな物語ではあろうけれど、それを手放しで称えるのも芸がないだろう。僕はその核にあるものを知りたいと思った。幸いレイソル関係者なら友人がいる。
スタジアム内で元広報の横井孝佳さんを見つける。この人はめちゃハートのある人で、07年3月に広報を辞めたときはわざわざサポーターが送別会を開いた。現在は出向元の会社に戻って、外部スタッフとしてウェブサイトの運営やイヤーブック、マッチデープログラムの制作に携わっている。そのブログ「オニギライズ」(刈り込んだヘアスタイルから「オニギリ」というアダ名がついた)は今でも最も熱い応援ブログのひとつだ。
横井さんは「凄いです。もう僕の知ってるレイソルとは別のチームになってしまいました」と話し始める。目標へ向かう選手らの意識の高さに驚いている。この日の勝利で柏はACL出場を決めた。
「これで3年連続してJ2から昇格したチームが好成績をおさめ、ACL出場を決めたんですよね。広島、セレッソ、うちです。共通項があると思うんですよ。3つとも指導力に定評のある外国人監督ですよね。で、内容自体は悪くないのに落ちた。そしてブレることなくJ2でサッカーを固めて戻ってきた。もしかすると(FC東京の)大熊さんが来年、日本人でそれを狙うのかもしれないですけど」
‐後編に続く‐
J1第31節・柏×新潟。
スコアは4対0。気持ちのいい完敗だ。新潟はミシェウ累積欠場という事態に「トレスボランチの4-3-3」という新機軸で挑む。黒崎監督らしい積極策だ。ただ急造の不備は否めない。サポーターの間で話題になったのは前半、田中亜土夢がFKを蹴るとき、本間、小林慶、菊地が集まり長考に及んだシーンだった。僕は面白いと思ったけど、「選手にあんなに負担を強いてはいけない」という意見の方もおられたようだ。
そこら辺は難しいところだ。どうなのかなぁ。首位・柏にミシェウ不在で挑むという難問をバネにして、飛び出してくるアイデアもあるかと思う。そして、その経験は色濃くチームに残る。このアイデアの評価はむしろ今後にかかっているんじゃないか。例えば2012年モデルの新潟はこのシステムで大仕事をしでかすかもしれない。
と、でも言うしかないのは柏が素晴らしかったからだ。前半8分に失点してゲームの流れ自体も向こうに握られたが、いや、ちょっと勝てる気がしなかった。僕は優勝に値するチームだと思う。残念ながら前節、福岡に発した言葉を自軍に向けねばならない。柏レイソルとは簡単には埋められない差があった。
特に前半、ジョルジ・ワグネルにチンチンにされた内田の姿はショックだった。僕はマジで凹んだ。僕らは基本、「数的優位」とか「対応する人数がいる」とかを基準に物事を考える。が、とてつもないタレントがいるとそんなもん役に立たない。やり慣れた4-4-2なら何とかなったのかというと、ならなかった気がする。まぁ、これもサッカーの魅力だ。
柏はジョルジ・ワグネル、レアンドロ・ドミンゲスのクオリティに目を奪われがちだが、本質は守備が頑張るチームだ。大谷、近藤らの奮戦が凄かった。大宮戦で下手を打って、やっぱり勝負どころになると経験が足りないのかなぁと思ったが、この日見せたパフォーマンスはブレが全くない。僕は行くと思います。残り試合のカードも、よその勝ち負けもあまりカンケイないんじゃないか。
しかし、読者は不思議に思わないだろうか。柏はいつからこんなに強くなったのか。言っちゃアレだが、今季の昇格チームだ。「昇格即J1優勝」はアメージングな物語ではあろうけれど、それを手放しで称えるのも芸がないだろう。僕はその核にあるものを知りたいと思った。幸いレイソル関係者なら友人がいる。
スタジアム内で元広報の横井孝佳さんを見つける。この人はめちゃハートのある人で、07年3月に広報を辞めたときはわざわざサポーターが送別会を開いた。現在は出向元の会社に戻って、外部スタッフとしてウェブサイトの運営やイヤーブック、マッチデープログラムの制作に携わっている。そのブログ「オニギライズ」(刈り込んだヘアスタイルから「オニギリ」というアダ名がついた)は今でも最も熱い応援ブログのひとつだ。
横井さんは「凄いです。もう僕の知ってるレイソルとは別のチームになってしまいました」と話し始める。目標へ向かう選手らの意識の高さに驚いている。この日の勝利で柏はACL出場を決めた。
「これで3年連続してJ2から昇格したチームが好成績をおさめ、ACL出場を決めたんですよね。広島、セレッソ、うちです。共通項があると思うんですよ。3つとも指導力に定評のある外国人監督ですよね。で、内容自体は悪くないのに落ちた。そしてブレることなくJ2でサッカーを固めて戻ってきた。もしかすると(FC東京の)大熊さんが来年、日本人でそれを狙うのかもしれないですけど」
‐後編に続く‐