NEWSニュース

アカデミー&メソッド部門:パリ・サンジェルマンメソッド部門ダイレクターを経験したダビッド・エルナンデス氏によるテクニカルディスカッション(トークメイド)

2021/12/11

サッカーサービス・バルセロナ社に所属し、アルビレックス新潟のプロジェクトを現地からフォロー、管理しているダビッド・エルナンデス氏を迎えて、119日(火)にテクニカルディスカッションを行いました。

ダビッド・エルナンデス氏はエコノメソッドの創始者であり、日本人の若手選手への指導経験が豊富です。パリ・サンジュルマンアカデミーでは、メソッド部門ダイレクターとして、スタッフや選手とともにさまざまな活動を行いました。

当日は、アカデミースタッフとスクールスタッフが参加しました。

“エリート選手が所属するクラブにおいて価値(バリュー)を生み出すために、どう取り組んでいくべきか?”をテーマに、エリート選手の所属するクラブで働いてきた経験を基に、価値(バリュー)についてお話いただきました。
※ここで言う「価値(バリュー)」とは、クラブに所属する選手がオン・ザ・ピッチだけでなく、オフ・ザ・ピッチでも成長を感じられるようになることを指しています。

セッションの中で氏が語った内容で、アカデミーの選手教育に必要不可欠な要素についての説明が、以下の事柄になります。

1.まずは楽しむこと
2.トレーニングの中で成長をする
3.人生に役に立つことを学ぶ

以上の3点が、特に価値(バリュー)を生むために大切な部分であり、学校教育の中でも同様に重要視されています。

例として、ダビッド氏は価値(バリュー)に関して取り組んでいるアマチュアクラブとプロクラブを2つ紹介しました。

CF Can Vidaletというバルセロナの街クラブで、14年前から価値(バリュー)に関する活動を行っています。クラブには小学校の先生がいて、価値(バリュー)に関する活動内容を行い、地域密着で教育者が集まるコミュニティを作り、さまざまな取り組みを行っています。


パリ・サンジェルマンで2年に渡り、アカデミーの選手に対して行った取り組みについて紹介しました。この取り組みに関しては、まずクラブが選んだ価値(バリュー)を達成するために、目標、プロセスと構成が組み立てられました。
 

氏は価値(バリュー)についての取り組みは、プロクラブはもちろんですが、街クラブでも取り組めることであって、チームのゲームモデルにも落とし込めるだと考えています。例を挙げると、アスレチック・ビルバオは「努力」に関する価値(バリュー)への取り組みを長い間続けており、努力というものがトップチームとアカデミーのチームの戦い方に繁栄されていることが分かります。

選手に対する個別指導プログラムについてもお話いただきました。選手に対し、指導者が日常生活の中で取り組むことができます。

・トレーニングの状況
・学校生活について
・家族
・友好関係

アルビレックス新潟アカデミーでは、U10U15のカテゴリーを対象に、指導者と選手間で行う個別指導プログラムのテストを行うことになっています。この個別指導プログラムで使用するテキストは、ダビッド氏、またバルセロナ大学の初等教育科の教授によって作成されたものです。

最後に氏は、コミティ(委員会のようなもの)というプロセスについて説明しました。このコミティに集まる人たちは、横断的な形で46人くらいのグループワークを行うためのものです。クラブ内のさまざまな部署の人や、クラブ関係者が集まる場です。例えば、選手、クラブ社員、選手の親戚、それ以外にもクラブに関わっている教育者など、さまざまな人でグループが形成されています。このコミティの大きな目的は、クラブに携わる人が話し合い、クラブに所属する選手に対して価値(バリュー)を生むということです。
パリ・サンジェルマンでは、選手に対して価値を生むためにさまざまな形でコミティを行い、その中の活動で“オールド・ブラザー”をいうものを行いました。この活動の目的としては、パリ・サンジェルマンのアカデミーにはさまざまな人が所属するため、選手間で信頼関係を構築し、お互いを尊重し合うことです。

最後に、スタッフからいつくかの質問がありました。そこで、さらに理解を深めていきました。

(湯田哲生U-18GKコーチ)選手の日常生活の様子を知るために学校とのコンタクトは密にあったほうが良いと思いますか?
もし、選手全員が同じ学校に通っている場合は、より学校との連携を深めた方が良いと思います。ただ、選手各々が別の学校に通っている場合は、評価表を集めて選手の管理をする方法もあると思います。


(佐藤征宏U-12コーチ)価値を生むプロセスを対外的にどのように発信していきましたか?
私にとって、発信はとても大切だと思っています。クラブ内では共有のツールを使い、活動内容の詳細を発信していました。クラブ外への発信の方法に関しては、ソーシャルネットワークを使いながら発信していました。


(鎌田秀平U-13コーチ)選手の保護者との関わり方に関しては、どのように考えますか?
このプロセスを成功させるために、保護者のサポートがすごく大切だと思います。クラブの方針に保護者の賛同は不可欠です。そうでなければ、選手に対してもクラブ側が求めていることが浸透しないと思うからです。クラブで行うことを保護者も理解し、選手が納得できる環境を作り上げることが必要だと考えます。


(内田潤アカデミーダイレクター)指導者に求められる要素で不可欠なものはどんなことでしょうか?
私が考えることで、指導者にとっての一番の成功は、公式戦やトーナメントで勝利することではないと思っています。指導者としての成功とは、自分が指導に携わった選手がチームを卒業して大人になったころに、何気なく指導者に対して家族の喜ばしい話や何でもないような人生の話を突然でもできるような関係を築くことだと思っています。学校の先生と同じように選手との関係を築けることが、指導者にとって最も大事なことだと思っています。

アルビレックス新潟アカデミー佐藤征宏U-12コーチ


アカデミーの価値(バリュー)をどのように高めていくか、考える機会になりました。
サッカー選手としての成長はもちろん大事ですが、「心」の成長も同じように大事ですし、それ以上に大事なことかもしれません。
「心」の成長を促す取り組みを今まで以上にやっていくべきだと感じました。
そして、このクラブを巣立った選手がいつでも戻ってこられるような「心の拠り所」のクラブにすることが、今後の重要な課題の一つと考えました。




ユニフォームパートナー