【コラム】えのきどいちろうのアルビレックス散歩道 第219回
2014/7/10
「ブラジルの慣用表現」
本稿は予備である。ブラジルW杯へ向かう直前、念のために書いて置いてく原稿だ。できればこの原稿が日の目を見ないほうが望ましいのかな。掲載されたとしたら、よっぽど忙しいかサッカーが楽しすぎてウヒョウヒョ状態になってるか、何かそういうことで机に向かえないのだと思う。あるいは通信がままならない事態もある得るか。何にしても、一種の緊急事態だ。僕は本稿を東京・エイヤードの丸山英輝さんに託して出発しようと思う。まぁ、使うタイミングがなかったら、秋頃、強引に掲載しちゃってもいい気がするし(?)、最悪でも単行本にはのっけられるだろう。
さて、今回はポルトガル語のネタだ。以前書いたことで、読者は果たしてご記憶かどうかわからないのだが、うちのマンションの管理人さんはブラジル人なのだ。ご夫婦で住み込みで働いておられるムラカミさん。人柄が素晴しく、住民からバツグンに人気がある。本当のお住まいはブラジリアだ。3人のムラカミーニョたちは大学を出て、既に独立している。
僕はムラカミさんご夫妻と顔を合わす度、サッカー談義に花を咲かせたりするのだが、こないだ奥様から小冊子を渡された。『texts OF BRAZIL/FUTEBOL サッカー』(2011年、ブラジル外務省広報室)という出版物だった。多くのページがかつての名選手の紹介記事に割かれているのだが、サッカー雑学コラムもある。ムラカミさんの奥様もそのコラムを僕に見せようと持ってきたのだった。
「『ポルトガル語のなかのサッカー』っていう記事、これが面白いんですよ。日常会話のなかでフツーに使うサッカーの言い回しがあるんです。日本でも例えば相撲の言葉で、誰々は仕事の問題で土俵際まで追いつめられた、なんて言うでしょ。ブラジルはサッカーの言い回しを使うんです。なかなかこれだけまとめた記事は見ないですよ」(ムラカミさん奥様)
なるほどね。サッカー王国・ブラジルは、当然、サッカーの慣用句が日常でも使われるんだね。それは日本人が相撲の慣用句、「土俵際」「一人相撲」「待ったなし」「勇み足」みたいのを自然に使ってるのと同じことだ。たぶん「砂を噛む」とか「つっぱり」も相撲由来だと思う。歌舞伎由来も「花道」とか「見得を切る」とか多いよね。つまり、それが文化なんだね。
それじゃお借りした小冊子から引用する形で、ブラジル文化の一端に触れましょう。字句と意味に関しては『texts OF BRAZIL/FUTEBOL サッカー』から引き、ちょこっとした感想というか思いついたことなどを僕がプラスしますね。
●「選手権まっ最中のこんなときに」(A esta altura do campeonato)こんなときに/今、現在/この時点で
これは感じわかりますね。慣用表現になってるのがすごいけど、この慌ただしいときにってニュアンスです。新潟弁に「アルビまっ最中」っぽいのができたら本物ってこと?
●「後半45分で」(Aos 45 do segundo tempo)最後の最後で
これは「潟る」方向と、ハッピーエンデイングな方向と両方使えそう。
●「地面すれすれの低いボールを蹴る」(Bojxar a bola)メンツを失う/プライドが地に落ちる
そうか、低いボールってイメージが何故かマイナスのニュアンスなんだなぁ。ふーん。
●「ゴールわくに跳ね返る」(Bater na trave)何らかの理由から、もう少しのところで目的達成ができないこと
そのモヤモヤ感はアルビサポなら身に染みている(笑)。
●「しぼんだボール」(Bola murcha)活気がない、楽しそうでない/悲しげ、寂しそう
しぼんでますからね。
●「ボールを前へ」(Bola pra frente)元気づけや励ましの表現
これ断幕に使えそう。
●「サッカーがうまい、すごいプレーをする」(Bater um bolao)
(何らかの分野で)優れている [例]彼女は情報処理のエキスパートだ。(Ela bate um bolao na informatica.)
いやいや、用例(の訳語)に「サッカーがうまい」が入ってませんがな~。しかし、ブラジル人と話してて「サッカーがうまい」って言っててもサッカーの話じゃないかもしれないんだなぁ。
●「順位表の順位が落ちる」(Cair pelas tabelas)立っていられない/ふらふらになる、疲労困敗する
これは笑った。いい表現だねぇ。
●「チームを背負って立つ」(Carregar o time nas costas)良い結果を出すために、共に活動する人をまとめる
悪い言葉じゃないのが一目瞭然です。
●「ボールを蹴る」(Chutar)確信がないのに答える。[例]勉強してなかったので、どの質問もあてずっぽうに答えた。(Nao estudou e foi chutando questoes.)
これは面白い表現だねぇ。こう、ボールをパッパッとさばくニュアンスも出てる。
●「コーナーにボールを蹴る」(Chutar para escanteio)
脇にどけて後回しにする/没にする [例]あまりに無能なので外された。(Era tao incompetente, que foi chutado para escanteio.)
コーナーってそんな場所なんですか。
●「ボールを食べる(=上手いプレーをする)」(Comer a bola)職業や、何らかの活動で優れていること
サッカーで食ってくんだったらわかるけど、ボールを食うんだ! で、誉め言葉なんだ。
●「走って行って抱き合う」(Correr para o abraco)
記念して祝う [例]取り決めが成立したから、あとは祝うだけだ。(O acordo esta feito, agora e so correr para o abraco.)
これはゴールが決まった後のイメージですね。
●「ボールをまわす」(Dar bola)信頼する/デートしたり付き合う気がある [例]その子は綺麗だが、俺を相手にしてくれない。(Essa menina e linda mas nao me da bola.)興味や注意を払う [例]招待客をかまいつけなかった。(Nao deu bola para os convidados.)
これは納得の慣用句。僕にもボールをまわしてほしいよ(笑)。
●「ボールをさばく」(Dar tratos a bola)精一杯やる、努力する、~しようと努める、/知恵をしぼって考える [例]問題解決のために知恵をしぼった。(Deu tratos a bola para resolver o problema.)
いいボランチは試合のコンダクターってニュアンスですかねぇ。
●「アウトにする」(Dar uma bola fora)ドジを踏む/言ってはいけないことや、場違いなことを言う
じゃ、スローインから再開ですか?
●「トップチームの」(Do primeiro time)非常に重要なもの/最高レベルにあるもの
これはトップチームの茶巾寿司です(笑)。
●「ドリブルする」(Driblar)(誰か、何か)をよける/何かによって落胆させられないようにする/避ける。[例]困難をすりぬけた。(Driblou as dificuldades.) [例]乞食にめぐんでやらなくてすむように避けて通った。(Driblou os mendigos para nao ter de dar esmola.)
例文はブラジル外務省の原文ママです。差別表現も異文化理解のためにカットしませんでした。しかし、ニュアンスはスルスルッと抜けてく感じなんですね。
●「チームをほうむる」(Enterrar o time)何らかの事や商談で失敗して、自分自身と同僚に被害を与える
ブラジル人は全員、できれば一生チームを葬りたくないでしょう。
●「スパイクの裏を見せてキックをする」(反則行為) (Entrar de sola)はじめから相手に、乱暴な調子や、ケンカ腰で話しはじめる
うわぁ、これが慣用表現になってるのがすごい。もう、お隣りの奥さんったらスパイクの裏を見せてキックするのよ~。
●「ボールを離さない」(Estar com a bola toda)指揮権をもつ、主導権をもつ
お隣りの奥さん、ボールを離さないわよ。
●「ボールに対してハングリーだ」(Estar com fome de bola)論争や活動に熱心であること
お隣りの奥さんはボールに対してハングリーだといえるわね。
●「ペナルティマーク上にある」(Estar na marca do penalti)もう少しのところで/間一髪
あとはレフェリーが指をさすだけ。お隣りの奥さん、レフェリーを止めて~。
●「MFを務める」(Fazer o meio de campo)調停や仲介の役割をする
ロングボールを蹴ったら調停や仲介ができないぞ!
●「守りに徹したプレーをする」(Jogar na retranca)はっきりした態度をとらない/(一般に不信感から)用心する
学生時代、女子から守りに徹したプレーをされたもんですよ。
●「11のポジションでプレーをする」(Jogar nas onze)様々な役割をこなす能力がある
キーパーまでこなす? どこの会社もリザーブとして是非加えたい人材。
●「~のチームでプレーする」(Jogar no time de)息があう/うまくかみ合う [例]こいつは俺と同じタイプだ。長年、息の合う仲だ。(Esse e dos meus, ha muito joga no meu time,)
山田はさ、俺と高橋と島田のチームでプレーして長いよね~。帰宅部以来のチームだな。
●「サポーターを気にしてプレーする」(Jogar para a torcida)実際に結果を出さないのに、自分に才能があるかのような態度をとる
いやぁ、そういうニュアンスの言葉なんだ! ふーん、わかるような気もする。面白いですね。やっぱ、結果が大事なんだぜってニュアンスでしょうか。
●「レッドカードをくらう」(Levar cartao vermelho)取り残される/クビになる
ブラジル人は全員、できれば一生、レッドカードを食らいたくないでしょう。
●「マークする」(Marcar em cima)近くで見張る
これはサポーター用語で使ってる気もしますね。
●「オウンゴールする」(Marcar gol contra)自分自身、または自分の仲間に害を与えるような行動をとる
オウンゴール選手ってけっこう1シーズンに何点も取りますね。
●「勝っているチームにはチョッカイを出さない」(Nao mexer em time que esta ganhando)上手くいってるときはそっとしておく
えー、これってチョッカイってニュアンスだったの? 金言の類かと思ってたんだけど、いきなり印象が軽くなった~。
●「スパイクを吊るす」(Pendurar as chuteiras)なんらかの職業をやめる/活動を停止する
吊るすらしいんですよ、どっかに靴ひもをひっかけるのかな。
●「ボールを踏む」(Pisar na bola)失敗する/ドジを踏む
これは転んだっぽいね。ボールを踏んだらけっこう危ないっす。
●「ボールのショー」(Show de bola)完璧になされた仕事や行為/素晴らしい演技や技能をみせること/非常に美しいものや役に立つもの
あぁ、ブラジル文化は見事な仕事、素晴らしい技能、美しい何物かを称賛してやまないんだなぁ。それが国民性なんだなぁ。
●「チームを退場させる」(Tirar o time de campo)その場から出ていく/何かを放棄する
よっぽどのことですよね。よっぽどカッとなったか、よっぽど覚悟を決めたか。
●「チームのシャツを着る」(Vestir a camisa)何らかの動機をもち、そのために戦う/競争意識からでなく、純粋に仕事や任務に励む
よくマフラーにクラブの魂が宿ってると言いますよね。この表現を見るかぎり、ブラジル人はシャツ(ユニホーム)に特別な意味を感じてるようですね。
フッキ1、現セレソンのフッキ選手にちなんで、今週は特別に「附記」を「フッキ」と表記することにします。まぁ、やっぱり柳下正明監督とのご縁もあるしね。で、申し訳ないけど、スカパー『プロホガソン』の仕事がハードすぎて、ぜんぜん原稿を書く時間がとれません。予備分の原稿をここに投入します。いきなり8時間級(正確には試合の間、番組は休止するのでもっと短いわけですが)の生番組を連日こなすのはけっこう骨ですねぇ。
フッキ2、とはいえW杯は決勝トーナメントに入ってますます面白い。東陽町のスカパーへ出かけるのが毎晩ホントに楽しいです。やっぱり、W杯はみんなで見たほうが盛り上がりますよね。
フッキ3、これから大会も試合のない日が増えるから、来週は「プロホガソン日記」が再開できると思います。原稿の仕事はそこで集中的に頑張るしかないな。
えのきどいちろう
1959/8/13生 秋田県出身。中央大学経済学部卒。コラムニスト。
大学時代に仲間と創刊した『中大パンチ』をきっかけに商業誌デビュー。以来、語りかけられるように書き出されるその文体で莫大な数の原稿を執筆し続ける。2002年日韓ワールドカップの開催前から開催期までスカイパーフェクTV!で連日放送された「ワールドカップジャーナル」のキャスターを務め、台本なしの生放送でサッカーを語り続け、その姿を日本中のサッカーファンが見守った。
アルビレックス新潟サポータースソングCD(2004年版)に掲載されたコラム「沼垂白山」や、msnでの当時の反町監督インタビューコラムなど、まさにサポーターと一緒の立ち位置で、見て、感じて、書いた文章はサポーターに多くの共感を得た。
著書に「サッカー茶柱観測所」(週刊サッカーマガジン連載)。 新潟日報で隔週火曜日に連載されている「新潟レッツゴー!」も好評を博している。
HC日光アイスバックスチームディレクターでもある。
アルビレックス新潟からのお知らせコラム「えのきどいちろうのアルビレックス散歩道」は、アルビレックス新潟公式サイト『モバイルアルビレックス』で、先行展開をさせていただいております。更新は公式携帯サイトで毎週木曜日に掲載した内容を、翌週木曜日に公式PCサイトで掲載するスケジュールとなります。えのきどさんがサポーターと同じ目線で見て、感じた等身大のコラムは、試合の感動がさめる前に、ぜひ公式携帯サイトでご覧ください!
本稿は予備である。ブラジルW杯へ向かう直前、念のために書いて置いてく原稿だ。できればこの原稿が日の目を見ないほうが望ましいのかな。掲載されたとしたら、よっぽど忙しいかサッカーが楽しすぎてウヒョウヒョ状態になってるか、何かそういうことで机に向かえないのだと思う。あるいは通信がままならない事態もある得るか。何にしても、一種の緊急事態だ。僕は本稿を東京・エイヤードの丸山英輝さんに託して出発しようと思う。まぁ、使うタイミングがなかったら、秋頃、強引に掲載しちゃってもいい気がするし(?)、最悪でも単行本にはのっけられるだろう。
さて、今回はポルトガル語のネタだ。以前書いたことで、読者は果たしてご記憶かどうかわからないのだが、うちのマンションの管理人さんはブラジル人なのだ。ご夫婦で住み込みで働いておられるムラカミさん。人柄が素晴しく、住民からバツグンに人気がある。本当のお住まいはブラジリアだ。3人のムラカミーニョたちは大学を出て、既に独立している。
僕はムラカミさんご夫妻と顔を合わす度、サッカー談義に花を咲かせたりするのだが、こないだ奥様から小冊子を渡された。『texts OF BRAZIL/FUTEBOL サッカー』(2011年、ブラジル外務省広報室)という出版物だった。多くのページがかつての名選手の紹介記事に割かれているのだが、サッカー雑学コラムもある。ムラカミさんの奥様もそのコラムを僕に見せようと持ってきたのだった。
「『ポルトガル語のなかのサッカー』っていう記事、これが面白いんですよ。日常会話のなかでフツーに使うサッカーの言い回しがあるんです。日本でも例えば相撲の言葉で、誰々は仕事の問題で土俵際まで追いつめられた、なんて言うでしょ。ブラジルはサッカーの言い回しを使うんです。なかなかこれだけまとめた記事は見ないですよ」(ムラカミさん奥様)
なるほどね。サッカー王国・ブラジルは、当然、サッカーの慣用句が日常でも使われるんだね。それは日本人が相撲の慣用句、「土俵際」「一人相撲」「待ったなし」「勇み足」みたいのを自然に使ってるのと同じことだ。たぶん「砂を噛む」とか「つっぱり」も相撲由来だと思う。歌舞伎由来も「花道」とか「見得を切る」とか多いよね。つまり、それが文化なんだね。
それじゃお借りした小冊子から引用する形で、ブラジル文化の一端に触れましょう。字句と意味に関しては『texts OF BRAZIL/FUTEBOL サッカー』から引き、ちょこっとした感想というか思いついたことなどを僕がプラスしますね。
●「選手権まっ最中のこんなときに」(A esta altura do campeonato)こんなときに/今、現在/この時点で
これは感じわかりますね。慣用表現になってるのがすごいけど、この慌ただしいときにってニュアンスです。新潟弁に「アルビまっ最中」っぽいのができたら本物ってこと?
●「後半45分で」(Aos 45 do segundo tempo)最後の最後で
これは「潟る」方向と、ハッピーエンデイングな方向と両方使えそう。
●「地面すれすれの低いボールを蹴る」(Bojxar a bola)メンツを失う/プライドが地に落ちる
そうか、低いボールってイメージが何故かマイナスのニュアンスなんだなぁ。ふーん。
●「ゴールわくに跳ね返る」(Bater na trave)何らかの理由から、もう少しのところで目的達成ができないこと
そのモヤモヤ感はアルビサポなら身に染みている(笑)。
●「しぼんだボール」(Bola murcha)活気がない、楽しそうでない/悲しげ、寂しそう
しぼんでますからね。
●「ボールを前へ」(Bola pra frente)元気づけや励ましの表現
これ断幕に使えそう。
●「サッカーがうまい、すごいプレーをする」(Bater um bolao)
(何らかの分野で)優れている [例]彼女は情報処理のエキスパートだ。(Ela bate um bolao na informatica.)
いやいや、用例(の訳語)に「サッカーがうまい」が入ってませんがな~。しかし、ブラジル人と話してて「サッカーがうまい」って言っててもサッカーの話じゃないかもしれないんだなぁ。
●「順位表の順位が落ちる」(Cair pelas tabelas)立っていられない/ふらふらになる、疲労困敗する
これは笑った。いい表現だねぇ。
●「チームを背負って立つ」(Carregar o time nas costas)良い結果を出すために、共に活動する人をまとめる
悪い言葉じゃないのが一目瞭然です。
●「ボールを蹴る」(Chutar)確信がないのに答える。[例]勉強してなかったので、どの質問もあてずっぽうに答えた。(Nao estudou e foi chutando questoes.)
これは面白い表現だねぇ。こう、ボールをパッパッとさばくニュアンスも出てる。
●「コーナーにボールを蹴る」(Chutar para escanteio)
脇にどけて後回しにする/没にする [例]あまりに無能なので外された。(Era tao incompetente, que foi chutado para escanteio.)
コーナーってそんな場所なんですか。
●「ボールを食べる(=上手いプレーをする)」(Comer a bola)職業や、何らかの活動で優れていること
サッカーで食ってくんだったらわかるけど、ボールを食うんだ! で、誉め言葉なんだ。
●「走って行って抱き合う」(Correr para o abraco)
記念して祝う [例]取り決めが成立したから、あとは祝うだけだ。(O acordo esta feito, agora e so correr para o abraco.)
これはゴールが決まった後のイメージですね。
●「ボールをまわす」(Dar bola)信頼する/デートしたり付き合う気がある [例]その子は綺麗だが、俺を相手にしてくれない。(Essa menina e linda mas nao me da bola.)興味や注意を払う [例]招待客をかまいつけなかった。(Nao deu bola para os convidados.)
これは納得の慣用句。僕にもボールをまわしてほしいよ(笑)。
●「ボールをさばく」(Dar tratos a bola)精一杯やる、努力する、~しようと努める、/知恵をしぼって考える [例]問題解決のために知恵をしぼった。(Deu tratos a bola para resolver o problema.)
いいボランチは試合のコンダクターってニュアンスですかねぇ。
●「アウトにする」(Dar uma bola fora)ドジを踏む/言ってはいけないことや、場違いなことを言う
じゃ、スローインから再開ですか?
●「トップチームの」(Do primeiro time)非常に重要なもの/最高レベルにあるもの
これはトップチームの茶巾寿司です(笑)。
●「ドリブルする」(Driblar)(誰か、何か)をよける/何かによって落胆させられないようにする/避ける。[例]困難をすりぬけた。(Driblou as dificuldades.) [例]乞食にめぐんでやらなくてすむように避けて通った。(Driblou os mendigos para nao ter de dar esmola.)
例文はブラジル外務省の原文ママです。差別表現も異文化理解のためにカットしませんでした。しかし、ニュアンスはスルスルッと抜けてく感じなんですね。
●「チームをほうむる」(Enterrar o time)何らかの事や商談で失敗して、自分自身と同僚に被害を与える
ブラジル人は全員、できれば一生チームを葬りたくないでしょう。
●「スパイクの裏を見せてキックをする」(反則行為) (Entrar de sola)はじめから相手に、乱暴な調子や、ケンカ腰で話しはじめる
うわぁ、これが慣用表現になってるのがすごい。もう、お隣りの奥さんったらスパイクの裏を見せてキックするのよ~。
●「ボールを離さない」(Estar com a bola toda)指揮権をもつ、主導権をもつ
お隣りの奥さん、ボールを離さないわよ。
●「ボールに対してハングリーだ」(Estar com fome de bola)論争や活動に熱心であること
お隣りの奥さんはボールに対してハングリーだといえるわね。
●「ペナルティマーク上にある」(Estar na marca do penalti)もう少しのところで/間一髪
あとはレフェリーが指をさすだけ。お隣りの奥さん、レフェリーを止めて~。
●「MFを務める」(Fazer o meio de campo)調停や仲介の役割をする
ロングボールを蹴ったら調停や仲介ができないぞ!
●「守りに徹したプレーをする」(Jogar na retranca)はっきりした態度をとらない/(一般に不信感から)用心する
学生時代、女子から守りに徹したプレーをされたもんですよ。
●「11のポジションでプレーをする」(Jogar nas onze)様々な役割をこなす能力がある
キーパーまでこなす? どこの会社もリザーブとして是非加えたい人材。
●「~のチームでプレーする」(Jogar no time de)息があう/うまくかみ合う [例]こいつは俺と同じタイプだ。長年、息の合う仲だ。(Esse e dos meus, ha muito joga no meu time,)
山田はさ、俺と高橋と島田のチームでプレーして長いよね~。帰宅部以来のチームだな。
●「サポーターを気にしてプレーする」(Jogar para a torcida)実際に結果を出さないのに、自分に才能があるかのような態度をとる
いやぁ、そういうニュアンスの言葉なんだ! ふーん、わかるような気もする。面白いですね。やっぱ、結果が大事なんだぜってニュアンスでしょうか。
●「レッドカードをくらう」(Levar cartao vermelho)取り残される/クビになる
ブラジル人は全員、できれば一生、レッドカードを食らいたくないでしょう。
●「マークする」(Marcar em cima)近くで見張る
これはサポーター用語で使ってる気もしますね。
●「オウンゴールする」(Marcar gol contra)自分自身、または自分の仲間に害を与えるような行動をとる
オウンゴール選手ってけっこう1シーズンに何点も取りますね。
●「勝っているチームにはチョッカイを出さない」(Nao mexer em time que esta ganhando)上手くいってるときはそっとしておく
えー、これってチョッカイってニュアンスだったの? 金言の類かと思ってたんだけど、いきなり印象が軽くなった~。
●「スパイクを吊るす」(Pendurar as chuteiras)なんらかの職業をやめる/活動を停止する
吊るすらしいんですよ、どっかに靴ひもをひっかけるのかな。
●「ボールを踏む」(Pisar na bola)失敗する/ドジを踏む
これは転んだっぽいね。ボールを踏んだらけっこう危ないっす。
●「ボールのショー」(Show de bola)完璧になされた仕事や行為/素晴らしい演技や技能をみせること/非常に美しいものや役に立つもの
あぁ、ブラジル文化は見事な仕事、素晴らしい技能、美しい何物かを称賛してやまないんだなぁ。それが国民性なんだなぁ。
●「チームを退場させる」(Tirar o time de campo)その場から出ていく/何かを放棄する
よっぽどのことですよね。よっぽどカッとなったか、よっぽど覚悟を決めたか。
●「チームのシャツを着る」(Vestir a camisa)何らかの動機をもち、そのために戦う/競争意識からでなく、純粋に仕事や任務に励む
よくマフラーにクラブの魂が宿ってると言いますよね。この表現を見るかぎり、ブラジル人はシャツ(ユニホーム)に特別な意味を感じてるようですね。
フッキ1、現セレソンのフッキ選手にちなんで、今週は特別に「附記」を「フッキ」と表記することにします。まぁ、やっぱり柳下正明監督とのご縁もあるしね。で、申し訳ないけど、スカパー『プロホガソン』の仕事がハードすぎて、ぜんぜん原稿を書く時間がとれません。予備分の原稿をここに投入します。いきなり8時間級(正確には試合の間、番組は休止するのでもっと短いわけですが)の生番組を連日こなすのはけっこう骨ですねぇ。
フッキ2、とはいえW杯は決勝トーナメントに入ってますます面白い。東陽町のスカパーへ出かけるのが毎晩ホントに楽しいです。やっぱり、W杯はみんなで見たほうが盛り上がりますよね。
フッキ3、これから大会も試合のない日が増えるから、来週は「プロホガソン日記」が再開できると思います。原稿の仕事はそこで集中的に頑張るしかないな。
えのきどいちろう
1959/8/13生 秋田県出身。中央大学経済学部卒。コラムニスト。
大学時代に仲間と創刊した『中大パンチ』をきっかけに商業誌デビュー。以来、語りかけられるように書き出されるその文体で莫大な数の原稿を執筆し続ける。2002年日韓ワールドカップの開催前から開催期までスカイパーフェクTV!で連日放送された「ワールドカップジャーナル」のキャスターを務め、台本なしの生放送でサッカーを語り続け、その姿を日本中のサッカーファンが見守った。
アルビレックス新潟サポータースソングCD(2004年版)に掲載されたコラム「沼垂白山」や、msnでの当時の反町監督インタビューコラムなど、まさにサポーターと一緒の立ち位置で、見て、感じて、書いた文章はサポーターに多くの共感を得た。
著書に「サッカー茶柱観測所」(週刊サッカーマガジン連載)。 新潟日報で隔週火曜日に連載されている「新潟レッツゴー!」も好評を博している。
HC日光アイスバックスチームディレクターでもある。
アルビレックス新潟からのお知らせコラム「えのきどいちろうのアルビレックス散歩道」は、アルビレックス新潟公式サイト『モバイルアルビレックス』で、先行展開をさせていただいております。更新は公式携帯サイトで毎週木曜日に掲載した内容を、翌週木曜日に公式PCサイトで掲載するスケジュールとなります。えのきどさんがサポーターと同じ目線で見て、感じた等身大のコラムは、試合の感動がさめる前に、ぜひ公式携帯サイトでご覧ください!
