Jリーグのシーズン移行に関する報道対応について(5月24日)

2023/5/25
5月24日(水)、当クラブ代表取締役社長 中野幸夫が、Jリーグのシーズン移行について、報道関係の皆さまにお話しをいたしました。報道対応の内容について、以下の通りお知らせいたします。


■株式会社アルビレックス新潟 代表取締役社長 中野幸夫
4月の実行委員会のあとにシーズン移行について、某新聞社様から、だいたいの実行委員の方が賛成という記事が出ました。その1週間後くらいに、今度は7割の実行委員会の方が反対という記事が出ました。そういった報道の事実がどうなのかということ。また、SNSで新潟の2選手が対談し、シーズン移行の問題を取り上げて話をしています。

そのような状況の中で、シーズン移行というテーマは非常に大きな、新潟もそうですが、サッカー界でもJリーグでも大きなテーマだと思います。その点につきまして、どういう状況なのかということを、皆さんにお伝えしたくて、お忙しい中、お集まりいただきました。

事実だけを申しますと、大体の実行委員が反対だとか賛成だとかというのは、事実とは異なっています。Jリーグの導きの中で、昨日も実行委員が開かれましたが、この件について「検討はしましょう」ということで、議論しているのは事実です。

資料を見ながら説明をいたします。この資料は、5月17日に選手や監督、コーチへの説明に使用したものです。Jリーグからアンケート調査が来たときの質問事項に沿って、選手たちに質問項目を示し、それに対してこれから議論が始まるという説明をしました。

「フットボール面でのメリットについて」というテーマで、猛暑の回避、シーズン中の海外移籍によるチーム編成の変動の回避、ACLが秋春制に変わるという、3つのフットボール面でのメリットが一点。一方では、「シーズン移行によって懸念事項もありますよね」ということも、質問事項にありました。ひとつはシーズン移行期。移行をするときの空白期間をどうするかという観点で、「フットボール面」、「経営面」、「各種契約面」についての質問。

それから、期ズレの問題があります。期ズレというのは、今はサッカーカレンダーが2月から翌年1月で回っています。それから、行政年度は4月から翌年3月で回っています。これから詰めるところはありますが、恐らく7月から翌年6月でサッカーカレンダーは回ることになります。そうすると、学校との期ズレ、パートナー様との契約、スタジアム確保の懸念それから、私たちを指すのだと思いますが、降雪地域のクラブができるかできないか。できないなら、アウェイゲームが連続するのか、またはその逆も出てきます。私たちは聖籠町にグラウンドがありますが、「降雪クラブの冬季の練習環境はどうですか」という質問もいただいています。

それから、集客について。夏休み期間は、おそらく8月の頭から(試合を)やることになると思います。7月から夏休みになりますが、「集客面はどうですか」という懸念事項が片方ではあるということで、そのような質問もいただきました。

それを全60クラブにJリーグが質問として投げかけて、それぞれのクラブがそれぞれの立場で答えて、それを集計しています。昨日、その集計状況の資料をいただきました。当然、その質問には、新潟の立場としての回答を出しています。そういうものをベースに、これから議論していくという申し合わせがありました。本格的な議論はこれから始まるということです。

いま持っている情報で、チームの選手たちがいろいろな発信をすることで、逆に世の中の混乱を招くのも良くないと思ったので、実行委員に出席する前の5月17日に、選手たちに、こういう内容で私たちに質問が来ているということを伝えました。また、23日に実行委員会が行われるので、その後に適宜選手に伝えていくということも伝えました。

テーマがあって、質問に答えて、そのアンケートによって、さまざまな議論が行われていきます。ただし、スケジュール的には、年内に結論を出したい意向をリーグは持っているようです。それを含めて、昨日はいろいろと意見交換がありました。


【質疑応答】
---昨日の実行委員会で、初めてアンケートの結果を踏まえた本格議論となったのか?

2月に頭出しがあり、4月の実行委員会で進め方の確認がありました。その間に、アンケートが実施され、その集計が行われ、昨日の実行委員会で、これから議論を進めていくという確認がされました。個人的には、いろいろな観点で課題があると思っています。60クラブがありますので、地域差や規模感から、それぞれの立場で意見があると思います。

私たちもいずれはACLに出たいと思っていますし、Jリーグで優勝したいと思っています。そのような観点も含めて、どうあるべきかということを申し上げたいです。ただし、6月7月に試合がないのはいかがなものか。あるいは12月から2月までの過ごし方はどうするのかについては、新潟にいる立場で話をさせてもらいたいと思っています。

降雪の少ない地域の立場もあるでしょうから、一方的ではなく、全体で集まって、最適なカレンダーが議論されていきます。しかし、違うのは違うという部分があります。チーム数は、降雪地域の方が少ないと思いますが、試合ができるかできないかではなく、サポーターの皆さんの目線や、地域の応援してくださる方々の目線でどうなのかということも、よくお伺いしながらこの議論に加わっていきたいと思います。


---クラブとしての姿勢はまだ示さないのか?

先ほどアンケート項目を申し上げましたが、そのひとつひとつにすべて回答して提出しました。


---どのような意見を提出したのか?

これから議論をしていくことですが、シーズンを移行させたときに12月の第4週まで試合があり、2月の頭から試合をするようなスケジュール感です。当然、私たちにとって練習ができない時期となります。それから、試合ができるのかできないのかを検証しなければなりません。そういう観点もきちんと議論したいと思っています。新潟ならではの回答になるかもしれませんが、変えられるもの変えられないものがありますので、そこは明確に私たちの立場で、試合はするのかしないのか、できるのかできないのかの検証をさせてください、ということを書かせていただきました。


---降雪地域のデメリットが解消しない限りは反対姿勢?

賛成反対をこの段階で申し上げるべきでないと思いながらも、やはり、できるのかという疑問点や、変えられるもの、変えられないものがあります。「やれますか、やれませんか」という質問をいただきましたが、「できないものは、できない」という主張は明記しました。最終的にするかしないかは、議論の中で決まると思います。


---クラブの考えなのか、中野社長個人の考えなのか?

個人というのは、通用しないと思っています。私は、28年間のJリーグでの経験があり、今はこの立場にいさせてもらっています。ただ、地元の方々との議論はまだやれていません。これからJリーグという機構のなかで議論に参加していきますが、そこから出てくる情報をもとに、サポーターの皆さんやパートナー企業の皆さん、行政の方々、サッカーファミリーを含めたいろいろな方の意見を伺いたいと思います。いろいろな方の意見をお聞きして、私の意見としてJリーグと向き合っていきたいと思います。


---今後の取り組みは、地域の声を聞きながらJリーグへ持ち込む形か?

聞き方の手法をどうするかという問題はありますが、例えば、先回の試合でサポーターの皆さんが、「秋春制をこのまま推し進めるのか、1クラブたりともその影響で被害を受けることはあってはならない」という趣旨の横断幕を出されました。そのことは、サポーターの皆さんの想いだと受け止めて、掲出していただくことにしました。違う意見もあると思いますし、まだまだこれから地域の方々とコミュニケーションをとる必要があると思います。


---実行委員会では賛成と反対はどのくらいの感触だったのか?

昨日の論調は、「フットボール的にシーズン移行はメリットがありますよね。でも、いろいろ課題もありますよね。それを議論しましょう。それに対してどうですか」という投げかけがありました。

私を除いて他のクラブは「そうですよね」という印象でした。だからと言って、賛成か反対かが示された訳ではありません。先ほど申し上げた3つのテーマについて、フットボール的にメリットがあるというところをピン止めしました。

その上で先ほど申し上げたさまざまな問題、そこをこれから議論しましょうということです。その前段でアンケートをとり、いろいろな声が届いていることについて議論をする。昨日はそういう進め方でした。2時間強の中で、いろいろな方から意見がありました。ただ、フットボールという観点での抑え方について、私が特殊だったのか、フットボールは選手とコーチの方、いわゆるチームだけの問題ではなく、ステークホルダーさんとの関係も含めたものがフットボールだと、私は思っていたものですから。フットボールとはなんぞやということの納得感について、他の実行委員の皆さんとは違ったのかもしれません。そこは私の感じ取ったところから申し上げました。


---練習環境や試合の集客など、雪国クラブの不利な部分について、リーグから対応策など出ているのか?

これから議論が始まるところです。この議論は今に始まったことではなく、2010年にこういった議論がありました。その後に何度か議題に出ましたが、2017年に次の2点で抑えました。ひとつは降雪地域の練習環境や試合環境が整うまで凍結しましょうということ。もうひとつは、ACLのシーズンが変更されたら再開させましょうということ。ACLのシーズン移行という、ひとつのピンが外れたのが今回の議論の起点になっています。

確かに、ヨーロッパにたくさんの選手が行くようになりましたし、代表活動の問題や、先日、浦和さんが成し遂げたようにACLでの優勝も目指すべきだと思います。さまざまな外的な変化があることも事実なので、それらとの比較をしながら、変えられないものや、変えなければならないものを議論の中で整理していくのだろうと思います。

雪が降るか降らないか、練習環境をすぐに変えられるかというと、なかなか難しい面もあります。気象データも調べました。細かい話になりますが、2021年12月にどか雪がやってきて、そのときは大変でした。そのあとに2回ほど大雪が来ました。2022年は割と雪の少ないシーズンだったと思います。そういう年もありますが、それは「神のみぞ知ること」なので難しいテーマとなります。

また、雪の降らない地域の皆さんにそういう状況を理解していただくことも、なかなか難しいことだと思いながら、議論に参加していきたいと思います。


---秋春制についてはWEリーグが採用している。レディースチームとメリットやデメリットの意見交換はしているか?

シーズンを変えたことだけでなく、新しいリーグが故に多くの課題はあります。シーズン移行だけを切り取り話をしないように注意をする必要があります。昨年の12月23日にサンフレッチェ広島レジーナ戦(アウェイ)がありました。新潟の練習会場は雪が降るため、4日前から関西に移動して練習をしていましたが、試合当日に広島で雪が降り、試合が中止となって帰ってきました。

12月23日ですから、新潟は雪が降っていましたが、広島でもそういう事象がありました。そういう事実も含めて、議論には参加していきたいと思っています。皇后杯もありますので、一概にいい悪いとは言えないですが。雪という問題がひとつのテーマなのは、そばにいて感じているところです。特に、冬季の練習会場の確保については苦労しているように見えます。


---いくつかある課題の中で、特に大きなネックになるところは?

12月と2月に試合があるかどうか、というのが非常に大きな問題です。試合があれば、降雪の問題になります。寒い中での楽しみ方もあると思う反面、雪の量によっては、試合会場に来れるのかが予測ができないので、非常に難しい問題です。

いま、集客や練習、どれが大きな問題かとご質問をいただきましたが、そもそも試合ができるかどうかが一番のネックだと思っています。12月と2月に試合をするかは、議論の中で捉えたいと思います。新潟で開催しないのであれば、アウェイが連続となり、反面その後はホームが連続となります。それを全体で良しとするかどうかの議論になっていくと思います。

シーズンが移行するとなれば、12月半ば以降は、雪が降るのか降らないのかは分かりませんが、恐らく新潟から外へ出て練習するようなことになると思います。当然、1月はキャンプトレーニングとなりますので、ウィンターブレークと言っても、正月明けからキャンプに入って2月の試合に向けて練習をするでしょう。

恐らく12月10日から2月一杯は県外で練習する状況で、我々は対応することを考えると思います。それもシーズンが移行して、日程がどうなるかによって対応を考えます。雪に対してなかなか一筋縄にいかないと思います。

台風と比較になることもあります。雪も予想はつきますが、どのくらいの量なのかはなかなか予測やコントロール、降雪後の対応は難しいと思います。降雪量が多いときは災害と認定されるような年もあります。

新潟市だけの問題ではなく、糸魚川市や上越方面からどのように試合会場まで来るのか。あるいは、村上市からどうやって来るのかと。(広い)新潟ならではの課題ですが。また、県外の方が来たときには、前日移動になるのか当日移動になるのかなど、アウェイの方々の心配もしなければなりません。万が一、中止となったときの宿など。先ほど申し上げた広島でそうだったように、宿代の補償も何もありません。サポーターの皆さんの目線から言うと、中止は避けるべきだと思っています。そういうことも論点としながら、最適なシーズンとは何かが、これから議論されると思います。


■発言内容の動画のご案内
クラブ公式YouTubeでは、本件に関する動画を公開しています。以下のリンクからご確認ください。
https://youtu.be/rv7p6SGKJ5M


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